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日記・コラム

日記 2008年11月

2008年11月26日

年内に競馬場に戻れるようにと考えています

 大変お騒がせしました。

 競馬場では、落馬シーンが何度も放映されたそうですし、通常のニュース番組でも取り上げていただいたと聞きました。

 今回の落馬は、騎乗馬の突然の故障による転倒が引き金ですから、誰も悪くありません。故障には前兆が感じられることも少なくないのですが、今回のケースはまさに突然でした。こういう危ない目に遭うこともあるのが騎手という仕事の宿命で、正直言って気をつけようがないとも言えるのですが、痛ましい事故はみんなの努力で減らさなければなりません。毎年、「今年こそ無事故で」と誓うのですが、なかなかそうもいかないのが実情です。

 それでも、あれだけの事故だったのに、右手の尺骨骨折だけで済んだのはまさに不幸中の幸いでした。今日、慎重な精密検査の結果が出て、「ピンを入れる手術をしてもしなくてもいい」という医師の診断。となれば、ピンを抜くときの痛みやら、手術のときの麻酔の不安などを考えて、ボクの結論は「それなら手術はなしで」に決まっています。あとは、患部の治癒を待つのみです。

 正直言って、まだジンジンした痛みは残っており、リハビリを始めるのはまだ早すぎるとたしなめられています。全治期間についてはなにもわかりませんが、気持ちは前向きに、年内に競馬場に戻れるようにと考えています。

 しばらくの間、皆さんの前に出て行くことはできませんが、骨盤をやったときほど長い間お待たせすることはないと思います。有馬記念には乗りたいですね。

2008年11月19日

大仕事へ、気持ちを前向きに

 今日はマイルCSの追い切りと、ジャパンCの1週前追い切りが行なわれる大事な日です。もちろん、調教に騎乗する段取りは組んでいましたが、ご存じの通り、ボクは先週のエリザベス女王杯で落馬。言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、スタート直後の躓きだけは、どれほどの技術と反射神経の持ち主でも、人間である限り対応できるものではありません。目の前が真っ暗になるような気持ちを味わう前に、今までボクが乗っていたはずのポルトフィーノにドカドカと踏みつけられていったときの体の痛みがきつくて、息もできないほどでした。幸い、骨や内臓に損傷はありませんでしたが、今週末に万全の体調で臨むことを最優先して、今日の調教は休ませてもらうことにしました。

 それにしても、ポルトフィーノの能力の高さと、鞍上が制止しなければどれだけ引っ掛かって行ってしまう馬なのか、ご覧になった皆さんもよくお解りいただけたと思います。あの馬で、なんとしても大仕事をしたいと、いまはその気持ちで前向きになろうとしているところです。

 今週はスズカフェニックスでマイルCSを狙います。馬のデキはちょうど上向いてくる頃ですし、距離延長もいまならむしろ好材料。人気が落ちるのも、乗っているほうとしては気楽でありがたいものなんです。頑張りますよ。

2008年11月12日

三浦君と大先輩たちの盛り上げをさらに

 今日の栗東トレセンはマスコミが大勢。なにかと思ったら、三浦皇成君が来ているのだそうで、ボクの1年目のときはこんなに騒がれなかったなあと、懐かしいようなうらやましいような気持ちにさせられました。でも、彼の出現で明るい話題がたくさん出てくるようになったのは本当に喜ばしいこと。このまま順調に育ってほしいと、そういう気持ちになるのもボクが年をとったせいなのかもしれませんね。

 年をとったといえば、先週のジョッキーマスターズは非常にいい企画でした。騎乗した皆さんが、「あんなに盛り上がってもらえるとは想像もしていなかった」と興奮していましたし、見ているボクらも「あの年で、こんなに乗れるんだ!」と素直に感動していました。特に佐々木竹見さんの67歳の騎乗姿は見事なもの。あんなにバランスよく乗れるものではありません。いつまでも続けてほしい企画ですし、今後は関西のファンにも見てもらいたいものです。

 今週はエリザベス女王杯。ボクはポルトフィーノに騎乗する予定です。ここまで、G1というと直前でなにかがあって出られていない悲運の馬ですが、素質の高さは皆さんもご存じの通り。今度こそ、晴れの舞台に立って、いい結果も出せたらと思っています。

 先週、大先輩が盛り上げた空気を、さらに盛り立てていきたいですね。

2008年11月05日

2日連続G1勝利の達成感

 天皇賞の翌日は園田競馬場で行われたJBCクラシックに勝利。ウオッカの強さにもしびれましたが、ヴァーミリアンもさすがの強さでした。あれほどの小回りコースは、馬にとってもちろん初めての体験でしたが、きついコーナーを体を斜めにしながら加速していく感覚は、また独特の迫力でした。2日連続でいいレースをお見せすることができて、気分は最高です。

 聞けば、G1レースを2日連続で勝ったのはデットーリだけだそうで、ボクの記録は日本人初となりました。日本では2日続けてG1レースが行われること自体が稀ですから、なかなかできないことをやった、という達成感に浸らせてもらってもいいでしょう。ボク自身もいい流れに乗れてきました。

2008年11月02日

本当にホッとしました

 勝てたのかどうか、その瞬間は正直わかりませんでした。ただ、負けてはいないのではないかとも思ってはいました。

 ところが、検量室前の枠場へ帰り着いてみると、安藤さんが先に1着の場所に入って関係者と喜び合っているではありませんか。ボクはつとめて平静を装って、2着の枠場に入りましたが、内心は愕然としていました。馬は完璧に仕上がっていましたし、最後の直線も思った通りの伸び脚でこたえてくれていました。それでも勝てなかったのだとしたら、こんな悲しいことはありません。あのときは、ホントへこみました。

 しかし、検量室の中に入ってみると、到達順を掲示しているホワイトボードには、写真判定ながらもウオッカの14番が先に書いてありました。この順番はボクの経験上では8割方当たるので、まだまだわからないぞと気持ちを立て直したりしていました。とはいえ、生きた心地がしなかったというのは、あの長い写真判定の時間のことだったと思います。今回ほど、負けたくないと思ったことはありませんでした。

 ホワイトボードの数字と写真判定の「写」の字が消され、そのあとに14番の数字が出たときのうれしさは忘れられません。直後のテレビ用のインタビューでは、「笑顔がなかった」と言われましたが、本当にホッとしたときというのはあんな顔しかできないのかもしれません。いまは、「やった!」とはしゃぎ回りたいぐらいです。

 今夜は最高です。ウオッカの素晴らしい頑張りと、角居厩舎のスタッフの努力、そして谷水オーナーの強運に乾杯です。ファンの皆さんにも、応援ありがとうございましたと心より述べさせていただきます。