| 山本美智子●取材・文 text by Michiko Yamamoto | ||
| 第33号(2006年2月3日) | ||
銀河系軍団の行く末〜レアルの新戦力
今年の冬、レアルは周知の通り、FWアントニオ・カッサーノ、DFシシーニョを獲得。シシーニョのプレイは、なかなかレアルでも通用しそうで期待が持てる。だが反面、これでは夏に獲得したカルロス・ディオゴの意味が全くない。サルガドもいれて、なんで右サイドバックが3人も必要なのか、セルヒオ・ラモスを含めて4人もいるのは何故か、なんてことを誰も突っ込まないのは、フロレンティーノ・ペレス会長の権力がなせる業であろう。それもシシーニョは11番なんて、ディフェンダーにあるまじき背番号まで頂いたりしている。一方、ディオゴは入団会見もパブロ・ガルシアと一緒くた、ひとまとめにされ、背番号は出て行ったソラーリのおこぼれの21番。ディオゴに同情を覚えてしまうのは私だけではあるまい。なんといってもまだ22歳。前途有望な選手のハズなのだ。背番号同様、ソラーリのように周囲に惜しまれつつ、結局、放出なんて一途を辿らないことを祈る。まあ、今のところ、惜しまれるほどプレイもしていないのだが……。 だが、この冬、なんといっても周囲を驚かしたのは、イタリア代表FW復帰の触れ込みでやってきたアントニオ・カッサーノだろう。確かに、スペインのサッカー番組でも毎週のように、欧州リーグをダイジェストで紹介する。だが、当然の如く、ベンチに座っている選手や負傷していた選手に関しての情報は、ほとんど流れない。スペインに住む我々が抱いていたカッサーノのイメージは、若くて、きかん坊ながら、ピッチでは結果を出す「あの」カッサーノだったのだ。だからこそ、誰もがも息をのんだ。まさか、あそこまでカッサーノが太ってしまっていたとは……。ユニフォーム姿でピッチに降り立ったカッサーノの下腹は、スペインの陽光に燦々と照らされ、くっきりとカーブを描いていた。 「カッサーノもロナウドも太っているんじゃないよ。白い色が膨張して見せるだけさ」 なんていう、レアルのユニフォームカラーをもじったジョークがまたたく間に広がったのは言うまでもない。 本来、ラウルが負傷したために獲得され、即戦力として活躍するはずだったカッサーノは、「まずは、プレイできるコンディションに整える必要がある」とロペス・カロ監督に言われ、グループ練習を離れて、ひとり、黙々と減量にいそしむことになった。クラブ側いわく、4、5キロの減量が必要な状況だとの判断だが、1カ月以上経った今、その目標は未だに達成されていない。 そんなこんなで、相変わらず、話題を振りまいてくれるレアル・マドリードだが、それでも監督が交代してから状況は目に見えて良くなっている。体調が整い、ジダンも精彩を取り戻し始めたし、ベッカムもロペス・カロ監督以降、チームのフィジカル面がぐっと向上したと明言している。選手は本来のポジションでプレイするようになり、それにあわせてシステムも4−3−3に変わった。これだけ軌道修正されているのだから、様子次第でロペス・カロの続投があってもいいのではないかと思うが、今のところ、来季監督候補はカペッロで、最終的なペレス会長の夢は、モウリーニョがレアルを率いることだと言う。ベッカムは言う。「来て数シーズンで5人もの監督が率いるなんて、尋常じゃない」。マンチェスター・Uから来れば、なおさら、その驚きが深いだろうことは想像できる。ベッカムの感覚の方がまともだと言えるだろう。 ちなみに現地では来季のイブライモヴィッチ獲得が報道されている。代理人がレアルと接触を持ったことを明かし、クラブ側はその事実を公式に否定したばかりだが、ロナウド、ジダン、フィーゴ、ベッカムの獲得報道の度に、それを否定してきた前科は否定できない。しかし、FWロナウド、ラウル、カッサーノ、ロビーニョ、バティスタにMFグティ、ジダン、ベッカム。このメンバーに更にFWイブライモヴィッチを加えようというのだろうか。ディフェンダーも、ロベルト・カルロス、シシーニョ、サルガド、セルヒオ・ラモス、エルゲラと攻撃性の高い選手ばかり。レアル、史上初のDFなしの新システム構築なるか。レアル・マドリードの目指す行く末はいまだに見えない。 注:添付写真のイラストは、バルセロナ寄り新聞の「スポルト紙」掲載のもの。ロナウド、カッサーノの肥満(ロナウドの手にはハンバーガー、カッサーノにはスペインのサンドイッチ・ボカディージョ)やジダン、ロベルト・カルロスの老成を揶揄している。ロナウドに「僕達、飢えているんだよね……タイトルに」と台詞を言わせるなど、アンチレアルなブラックジョーク全開。 |







