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第65号(2008年2月6日)【イタリア】セリエA有力クラブの冬の補強〜オーナーの懐具合
1月31日19時、イタリア冬の移籍市場はクローズした。
モッジがこの業界を支配していた時代は打ち止めとなる終了時間がかなりルーズで、例えばミッコリ(当時ユベントス)のフィオレンティーナ行きが決まったのは2月1日の昼、ということすらあったほど。だが、“ドン”なき今、時間はかなりしっかり守られるようになっている。
今回のメルカートは、半年前に海外へ旅立ったばかりのルカレッリとビアンキの里帰り、サンプドリア−パレルモ−トリノ−ブレッシャ−レッジーナにグラスゴー・レンジャースまでからんだカラッチョロ争奪合戦、昨年夏の市場で“ケチ”呼ばわりされたラツィオのオーナー、ロティートの“リベンジ”、デルメーロを巡るパレルモとパルマの契約重複問題など話題に事欠かなかったが、ここでは1月末における上位6チームの動きに絞って見ることにしよう。
(1)現状維持(ミラン、ローマ)
ローマ、ミランは全くといっていいほど動きがなかった。ただし理由はそれぞれ違う。ミランの場合、昨年夏にパトという大物を手に入れていたし、獲物(ドログバ、ザンブロッタ etc)は今季が終わらないと話の決着をつけられない。一方のローマは、現在のチームが機能していることから補強の必要に迫られていなかった。だがその背景には、オーナーであるセンシの本業が大赤字なため、チームに使う金がなかったこともある。実際、この冬は戦力外選手を放出する“整理整頓”の市場となった。
(2)現状維持しつつ手堅く穴埋め(インテル、ウディネーゼ)
MFに故障者が続出したインテルはアトレティコ・マドリーから“中盤のオールラウンダー”マニシェを、メストが戦線離脱したウディネーゼはセリエBで奮闘中のアルビノレッフェからSBのコロンボを獲得。ゆるんだ地盤を即戦力で抜かりなく固めている。なお余談になるが、今年に入りインテルのトップチームデビューを果たしたマンチーニ監督の長男、フィリッポ(17歳)がマンチェスター・シティへ完全移籍した。マンチーニが師とあがめるエリクソンの下で我が子を鍛えてもらおう、というわけだ。
(3)夏市場への布石(フィオレンティーナ)
夏の市場に向け資金を最も稼いだのがフィオレンティーナ。約4億3千万円というこの数字は黒字で終えたチームの中でも群を抜いている。また、バルザレッティをパレルモに売った裏には、その“恩”を利用して夏の市場でパレルモのキャプテン、バルザーリを頂こうという計算も働いている(バルザーリはユベントスも狙っている)。この冬の補強面ではPSVのダコスタ獲得が大ヒットだ。なぜならこれはフィオレンティーナの敏腕スポーツディレクター、コルビーノの“フットワークの勝利”と言えるからである。即戦力とは言えないが将来有望DFである彼とフィオレンティーナは6月の移籍で話がついていた。
ところが、ダコスタの才能を買うインテルがパルマとタッグを組んで交渉に本腰を入れてきた。さらに将来の中核となりうるDFを探していたユベントスも参戦。特にインテルは彼の同郷、フィーゴを担ぎ出し説得に当たらせるほどの執心ぶりを見せた。そこでコルビーノは半年待つのをやめ全権買い取りでPSVと電光石火で話をつけてしまったのである。
(4)迷走(ユベントス)
必要に迫られての“穴埋め市場”となった。今年に入りゼビナ、キエッリーニが相次いで故障。急務となったDF探しはメルベリ(アストン・ビラ)の半年前倒し獲得に失敗。結局ラツィオのステンダルドをレンタルで獲得して落ち着いたが、一時は売却済みの選手(ボンソーン)を呼び戻す動きをとるなど、ユーベらしからぬドタバタ劇も演じてしまった。また、リバプールのシッソコ(写真)獲得は評価できるが、ティアゴを売り損ねたことから収支決算で予定外の赤字を招いている。
現在のユーベに土台はある。DFとMFにひとりずつ“大物”を連れてくれば、モリナーロ、ノチェリーノら急成長中の若手とミックスした強豪チームが完成するはず。“中の上”の選手で駒いじりをする今のユベントスは数年前のインテルのデジャビュを見ているようである。実際、ユーベ自身がそれをよくわかっているようで、すでに来季に向けディエゴ(ブレーメン)との交渉に臨んでいる。ただしディエゴをブレーメンが簡単に手放すとは思えず、さらにインテル、特にマンチーニが彼を強く欲しがっていることから、激しいバトルとなるだろう。
(5)番外編(ナポリ)
「金はある!」。
オーナーのデラウレンティスが豪語していた通り、2268万ユーロ(約36億2千万円)という冬市場では稀に見る札束の山をつぎ込み、主力級GK、DF、MF、FWをひとりずつ獲得した。コルビーノと並びセリエA屈指の有能スポーツディレクターとして知られるマリーノが不眠不休で飛び回り、南米リーグで最高のGKと言われるナバーロをアルヘンチノスから、ブラジル生まれでイタリア国籍を持つイタリアU−21代表DFサンタクローチェと、金の力でライバルを退けてもぎとった(シッソコに次ぐ高額移籍金)。また、マンニーニをブレッシャから、運動量豊富なMFパツィエンツァをフィオレンティーナから全員買い取っている。
フィオレンティーナの移籍リストに載っていなかったパツィエンツァ獲得にあたっては、デラウレンティス自らがフィオレンティーナのオーナー、デッラバッレに電話で“嘆願”。監督のプランデッリが彼の放出を拒否したことでいったんはポシャったのだが、30日にコッパイタリアからフィオレンティーナが敗退したこと、さらにはパツィエンツァ本人がプランデッリに移籍希望を直談判したことで滑り込み契約が成立した。
だが最もナポリに影響を及ぼすのは今季のセリエBで名声を高めていたマンニーニ加入だろう。彼の加入によりチームのシステムは3−5−2から4−3−3になる。この変更は監督の意思というよりオーナーの至上命令。根強い噂によると、このシステム変更は4−3−3を得意とする監督(デリオ・ロッシ)を迎える下準備、ということらしい。金を湯水のごとく使ったデラウレンティスの目的は、今季のナポリをUEFAカップ出場圏内に入れること。そして次なる野望、チャンピオンズリーグへチームを導くべく、この夏もさらに金をつぎ込むことだろう。








