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第64号(2008年1月17日)【イタリア】躍進ユベントス、モチベーションの源〜ラニエリの采配
もうすぐ後半戦へと折り返すセリエAで最も意外な成績を収めているのがユベントスだ。開幕前の期待が薄かった理由はいくつかあるが、重要なキーワードは「CL不出場」。
UEFAから入る金がゼロのため補強にかけるための資金繰りが厳しいという点だけでなく、力のある選手ほどこの大会への出場を強く願うという面で、CL不出場は夏の移籍市場でダブルの足かせとなった。
つまるところ、セリエBからの“昇格組”ユベントスの1年目は「5〜7位に入れば成功」で「4位に入ったら大手柄」と位置づけられ、それに対する反論の余地はほとんどなかった。
ところがセリエBを戦った選手たちがユーベを支えに支えぬく。ブッフォン、レグロッターリエ、キエッリーニ、ザネッティ、ネドベド、デル・ピエロ、トレゼゲ……。彼らのモチベーションの源は、蹴落とされた中から這い上がってきた者だけが持つ復讐心。また、セリエBという修羅場を共に耐え抜いた彼らはさらなる強い絆で結ばれていた。
現在、ユベントスはローマに次ぐ3位につけている。開幕前の予想を覆す賞賛に値する好成績だ。ところが、ユーベの評価と順位予想が大きく修正された、とは言いがたい。
首位インテルは「自分たちのライバルはローマだけ」だと思っているし、中位にも関わらずミランには脅威を感じているのだが、ユーベに対しては「彼らも侮れない」程度の社交辞令にとどまっている。ユーベの選手たちですら「スクデットは無理だが4位以内なら何とか……」と開幕前の発言と大差ないし、世論どころかユーベファンの中でも「4位に入るのだって難しそうだ」という声がいまだに消えていない。
何となく盛り上がらない理由のひとつが選手層の薄さ。前線はいいとして守備と中盤は質・量共に駒不足だ。特にセンターハーフ。リズムを作り攻守のリンク役ができるのはザネッティしかいない。
今季は珍しく体調を保っているが、彼は“ガラスの体”の持ち主として知られ他の選手よりも戦線離脱の確率が高い。ポジションがサイドながらカモラネーシもこの大役をこなせるが、今季の彼は長引く故障を繰り返し、医務室に閉じ込められた状態だ。
年明けのカターニア戦でラニエリは慣れ親しんだ4−4−2から4−3−1−2にシステムを変えた。攻めにおけるザネッティの負担を軽くするためでもあるが、最大の理由は「4−4−2だとティアゴの居場所がない」(ラニエリ談)。
ティアゴはラニエリ直々の指名で加入した選手なのだが、ここまでは完全にチームのお荷物。単にセリエAに溶け込めない“晩熟”なのか、それともこれが彼の実力なのか未だに判断ができていない。カターニア戦でも監督の期待に添えず前半でロッカーに退いている。
しかしながらトレゼゲの得点力は相変わらずだし、ブッフォンという守護神もいる。序盤苦しんでいたデル・ピエロ、ネドベドは年末に復調し、キエッリーニ、ノチェリーノ、モリナーロといった若手もたくましい。CLを争うインテル、ローマ、ミランと違い戦いの場が週に1度、ということを考えれば悪くない戦力だ。
今のユベントスが信頼されない根本的原因はフロントの頼りなさにある。
会長のコボッリ・ジーリは言うことなすこと少々ズレているし、おととしの夏に突然DS(チーム作りの責任者)に抜擢されたセッコは経験不足でファンからの風当たりが強い。
カルチョスキャンダルで失脚した3頭体制(ジラウド、ベッテガ、モッジ)のカリスマがあまりに強烈だったせいもあるが、昨年夏も1月の移籍市場でも彼らがどういう目的でどのレベルの選手を補強しようとしているのか理解しがたい動きが多々ある。その結果、ユーベのサポーターならずとも来季以降のユーベに不安と不審を募らせるのは無理もない。
そんな中で「スクデットを狙う」と言い続けるラニエリに失笑するファンもいる。現実的に見て、戦力だけでなくチームとしてのまとまりも抜群のインテルが大きくコケるとは考えにくいことから、彼のこの“決まり文句”は選手の集中力を切らさないためのマインドコントロールの一環と見るべきだろう。
だがラニエリは2位なら狙えると踏んでいるのではないだろうか。彼はCLが佳境に入る4月が勝負をかける山場になるとみている。「チームとしての実力はインテルとローマに及ばない」と認めるラニエリだが、3月末の時点で2位ローマを射程圏内においていれば「何かが起こりうる」と感じているのだ。
年明けにマルタ島ではったミニキャンプでの主眼は春先にベストコンディションになるような体作り。12日のカターニア戦で選手たちの体が重かった理由をそこに見出すことができる。
4位以内に入れればフロントもサポーターもラニエリに合格点を出すだろう。だが同じ4位以内でも、3、4位と2位では大きな違いがある。2位になればCLにストレート出場できるのだ。そうなれば“CL出場”をエサに夏の補強にいちはやく取りかかれる。ラニエリの目はすでに来季をも見据えているのだ。







