Special Contents WorldFootball ITALY

内海浩子●文 text by Hiroko Uchiumi
アフロ●写真 photo by AFLO

第61号(2007年11月20日)【イタリア】アズーリ、ユーロ2008本大会出場決定〜W杯との2大会連覇へ

終了間際、パヌッチのゴールで2位スコットランドを敵地で破ったイタリアが来年スイスとオーストリアで行なわれるユーロの本大会出場を決めた。

イタリアは戦った。

美しい試合ではなかったが、全員で攻め、全員で守った。トッティ、ネスタというアズーリの“華”が身を引く中で、ドナドーニは“ハングリー”な選手を重用してきた。その集大成といえるのがスコットランド戦に招集されたメンバーだった。

前監督リッピとの“性格の不一致”によりアズーリから長らく外されていたパヌッチは試合後、真っ先にドナドーニへ感謝の言葉を口にした。

「34歳の僕を代表に呼んでくれたドナドーニにずっとお礼をしたかった。その願いを最高の形で神がかなえてくれたよ」

この日、敗北すればドナドーニ解任はほぼ確実だった。若いドナドーニへの不信感はサッカー界の大御所たちの間にあったし、マスコミと“仲良しこよし”する性格ではない彼を面白く思っていない一部ジャーナリストたちは何かあるごとに彼をバッシングしてきた。

「監督を守る」。これが選手たちを一致団結へと導くひとつの大きな共通目標になった。

イタリアは個の力に頼るのではなくグループで戦った時、さらなる勝負強さを発揮する。雨のグラスゴーで見せた彼らの戦いぶりは、まさにそれだった。

代表の予選通過とその内容をイタリア国内は高く評価した。だが、そこに流れていた空気は淡々としたものだった。これはドナドーニのアズーリに人気がないから、ではない。サッカー大国として通過は“当然”と心の底で思っていることもあるし、クラブチームへの忠誠心が第一のこの国では代表そのものへの愛情がもともと希薄なのだ。

前週に起こったばかりのラツィオファン死亡事件のショックからお祭り気分になれないこともあった。勝利の夜はクラクションを鳴らし窓を大きく開けてフラッグを振りながら街中をかける車も、この日は見られなかった。翌日の新聞スタンドではスポーツ紙が売れ残り、「リーグ戦がある日の方がよく売れるよ」と店員は苦笑いしていた。

しかしながら、リーグ戦さえ終了すればイタリア人が代表愛を思い出すのは常。しかも来年のユーロに臨むアズーリとイタリアのサッカーファンには大いなる野望がある。98年と2000年にフランスが成し遂げた「ワールドカップとユーロの2大会連続制覇」だ。

連覇を阻む敵、とイタリアが見ているのはドイツ、スペイン、オランダ、フランス。特にドイツはチャンピオンズリーグを戦っている主力選手が少ないため万全のコンディションでスイスとオーストリアに乗り込めるアドバンテージがある。

だがイタリアが最大の敵と見なしているのはフランスだ。

それはフランスの戦力に一目置いていることもあるが、何よりも憎き敵がそのベンチに座っているからである。その敵とは、口を開くたびにイタリアに対する皮肉がエスカレートしているフランス代表監督、レイモン・ドメネク。イタリアでドメネクを快く思っていない選手やファンはひとりふたりではない。ワールドカップに続きユーロのファイナルで再びフランス、もといドメネクを踏みにじる、ということも彼らの大望のひとつなのである。

予選を黒星スタートしながらも最後まで「通過するに決まっている」という楽観的空気が漂っていたのと同様に、本大会へ向けてもかなり明るい見通しをイタリアでは立てている。予選通過翌日の話題が「本大会ではフランスを決勝で破って…」と、ファイナルまで行くのが前提で語られていることからも明らかだ。ただし彼らの自信を引き出しているのは「我々が一番強い」ではなく「他に抜きん出て強い国が見当たらない」だったりするのだが…。


sportiva present 詳細はコチラ≫
sportiva 本誌アンケート こちらから応募できます
S-men's.net(sportiva)webメンバー募集中! 会員特典多数!!
mobile sportiva モバイルサイトも更新中!URLをメールで送信>>>
contact us 読者係:03-3230-7755 編集部:03-3230-6058
年間定期購読 お申し込みオンラインサービス

Sportiva 本誌
定価580円 毎月25日発売
今月の特集

黄金世代
世界を驚かせた18人の今

  • 黄金世代は何をもたらしたのか?
  • 小野伸二
    「もう一度、アフリカのピッチで…」
  • 柳沢敦が語る“シンジと黄金世代”
    「伸二からのパスは
    スバ抜けて優しかった」
  • ワールドユース99選手名鑑
  • 高原直泰
    「不敗神話を持つエースの10年」
  • 小笠原満男
    「もう第3の男とは呼ばせない」
  • 遠藤保仁
    「オレらの世代が
    やらないといかんやろ」
  • 稲本潤一&中田浩二
    「オレが欧州で戦ってきた理由」
  • 黄金世代 最強伝説
    「伝説は94年に始まっていた」
  • ドキュメント・ワールドユース99
  • オレとワールドユース99
    播戸竜二、酒井友之、
    永井雄一郎、南雄太、
    加地亮、本山雅志
  • ワールドユース99
    アフリカ事件簿
  • あの黄金世代たちは今……
    榎本達也、石川竜也、
    高田保則、氏家英行
  • フィリップ・トルシエ
    「彼らは抜群の世代だった。
    “黄金”かどうかは別にして……」
  • 検証・世界の黄金世代
    「日本を破ったスペイン
    “黄金世代”は
    なぜ消えたのか!?」
  • 岡田ジャパンは本当に
    南アに行けるのか!?
  • 江夏豊の夢野球紀行
    「四国・九州アイランドリーグ編」
  • ストイコビッチを
    日本代表監督に!
    1.欧州ジャーナリストほかが語る
    「ピクシーの変身」
    2.識者が解剖
    「ピクシーの手腕」
    3.藤田俊哉
    「代表監督にはカリスマ性が必要だ」
    4.グランパス主力選手アンケート
  • クリスティアーノ・ロナウド大研究
  • 西川周作
    「北京でまた
    ひと回り大きくなりたい」
  • スラムダンク奨学金2期生
    谷口大智&早川ジミー
本誌冒頭記事紹介