| 内海浩子●文 text by Hiroko Uchiumi アフロ●写真 photo by AFLO |
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| 第44号(2006年9月6日) | ||
充実の補強をしたインテル〜夏の移籍市場
そんな中でひとり気を吐いたのが、今回のカルチョスキャンダルとは無関係だったインテル。インテルが“夏の主役”になるのは今に始まったことではないが、ユヴェントスからイブラヒモヴィッチをこの夏の移籍市場最高額となる2400万ユーロで引き抜き、同じくユーヴェからヴィエラ、ドイツW杯で決勝PKを決めて国民的ヒーローになったグロッソ、チェルシーからクレスポといった大物を次々にゲット。サイドの選手を欲しがったマンチーニ監督の希望は、パレルモからマリアノ・ゴンサレスを与えて満たすなど、充実の補強となった。 最大の“見せ場”を演じたのもインテルだった。最後の最後でロナウドとアドリアーノの交換トレード実現に拍車がかかったのだ。真相を問い詰めるTVのマイクにモラッティが「我々もレアルも積極的には動いていない」と、あえて噂を否定しなかったことから、ファンは浮き足立ち、移籍担当記者を奔走させた。だが、レアルがEU枠を空けるためにバプティスタを移籍させようとしたが本人が渋り続けたことと(最終日にアーセナルへ移籍)、アドリアーノがレアル行きに乗り気でないなど、すったもんだするうちにタイムアップ。全ては未遂のままに終わった。 その一方で、マーケット最終日に滑り込みセーフの移籍劇を次々に決めたのがトリノである。昨年夏に倒産した旧トリノを買い取ったオーナー2年生のカイロは、初めてのセリエAにやる気満々。GKアッビアーティ、MFバローネら代表クラスの補強だけでは飽き足らず、最終日にはフィオーレ獲得という大型移籍を決め、さらにグルノーブルから大黒将志、レッチェからコナンを掴み取った。 特に大黒の移籍では裏技をいかんなく発揮。イタリアの規則では、イタリア以外のサッカー協会にクラブ登録されている選手(大黒の場合はフランス)を獲得したい場合、クラブが抱えるEU外選手ひとりを海外のクラブに放出しなければならない規則がある。大黒獲得にご執心だったカイロは手元にいるEU外選手(ムジッチとドウドウ)を海外に売ろうと躍起になったが、オファーが届くのは国内のクラブからばかり。そこで一計、セリエC1でプレイするオーストラリア人選手、つまりEU外選手だが、国内のクラブに所属していることからイタリアサッカー協会登録となる選手を獲得し、そのままスイスのクラブにスルーして売り払ったのである。こうしてEU外選手を海外に放出したトリノは晴れて大黒との契約を完了させることができたのである。 大黒の他、今季のセリエAには小笠原満男、森本貴幸という3人の新しい日本人が加わった。今季Bから昇格したカターニャに加わった森本は、トップチームではなくプリマベーラ(ユース)がベースになると考えるのが妥当である。そして、かつて15歳11カ月でセリエAにデビューしたレッチェのボジノフ(現ユヴェントス)がそうしたように、トップチームとの二足のわらじでセリエAの本番を数試合体験することができれば、本人にとって大きな収穫となるだろう。プリマベーラで試合経験を積むことも大切だが、トップとプリマベーラの間には雲泥の差があるからだ。 3人の中で最も出場チャンスが多そうなのは小笠原である。メッシーナは柳沢(現鹿島)を手放した時点で、柳沢の代理人でもあるペトリッカを介して小笠原獲得に動いていた。イタリア各新聞の想定レギュラーにこそ名前を連ねてはいないが、今季のメッシーナにいるMFたちに小笠原が引けを取るとは思えない。9月1日付、コリエーレ・デロ・スポルト紙の移籍市場総評でも「メッシーナの小笠原への賭けは興味深い」と一文が割かれている。 最後にインテル以外の上位候補チームの収穫も簡単におさらいしておこう。ミランの移籍活動は珍しくお粗末だった。ミラン入り確実といわれたブッフォン、ザンブロッタ、イブラヒモヴィッチ、イアクインタといった大物獲得にことごとく失敗し、大エースのシェフチェンコは本人の希望でミランを去り、その後釜にと連れて来たのがベティスのオリヴェイラだったから、ファンの顔が曇るのも無理はない。 スクデット争いでインテルの対抗馬といわれているローマは、ビッグネームの獲得こそなかったが、ゲームメーカーのピサロ、テクニックあるヴュチニッチを手に入れた。ふたりとも“調子がいい時は一流選手”なので、名将の域に入りつつあるスパッレッティがどう操るかが見ものである。汚点があるとしたら、補強必至だったはずの左サイドバック獲得を逃したこと。結局、右サイドバックのマルティネスでお茶を濁し、右が本職だが左もできるパヌッチをコンバートすることになるだろう。 |






