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垣内一之●文 text by Kazuyuki Kakiuchi
アフロ●写真 photo by AFLO
第39号(2006年2月2日)
イタリア代表、本大会での展望〜一抜けか災難か

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「一抜けか、それとも災難か」

 昨年12月12日付のガゼッタ・デッロ・スポルト紙は、その3日前にライプチヒで行われたドイツW杯抽選会の結果を受け、このようにタイトルを打った。イタリアではなぜかこの重要な時期に、記者協会が待遇の向上を求めストライキ。日刊紙は発行されず、抽選会の模様は2日遅れでの報道となった。それもイタリアらしいといえば、らしいのだが。

 で、その極意とは?理由は簡単。ガーナ、チェコ、アメリカと同じE組に入ったイタリア。決勝トーナメント(以下決勝T)では、1位がF組2位、2位がF組1位とそれぞれ対戦することがすでに決定している。Fといえば、我が日本代表が入った組。そう、前回大会覇者で、今大会でも優勝候補筆頭とされるブラジルがいるグループだ。つまり、イタリアは予選を一抜けしないと、決勝T1回戦でいきなりブラジルと対戦する可能性が高まり、そうなれば実に厄介だ、ということである。

 思えば、イタリア代表の本大会までの道のりには、常にブラジルの存在が影にあった。82年スペイン大会以来の優勝を目標とする中、ブラジルを最大のライバルと断定、早くから「打倒ブラジル」を掲げて歩を進めてきた。そして地元マスコミ陣もチームが調子を上げるにつれ、しばしば両チームの対比を掲載し、アズーリの成長ぶりをその対比の中で測った。マルチェロ・リッピ監督の口からも、ブラジルの名が頻繁について出たほどである。

 そんな中で行われた抽選会。そのブラジルとの早期対戦が現実味を帯びることに。82年の優勝監督、エンツォ・ベアルゾット氏を始め、中には「早めに叩く方がいい」との論調もあるが、内面よりどちらかいうと外見を重視するイタリア人だけに、「対戦するならできれば決勝で」というのが、イタリア国民大半の心情ではなかっただろうか。要するに、「どうせ負けるのであれば、格好悪い決勝T1回戦ではなく、ある程度格好のつく決勝で」ということであろう。冒頭のタイトルは、まさにその隠された意思の現れだといえる。

 そこで浮上するのが、イタリアは一抜けできるのか、という問題だ。

 これに関しては、マスコミ陣を含めたイタリア国民は、対ブラジル戦より幾分か楽観的な姿勢を示しているようだ。「厳しいグループに入った。なぜなら、FIFA(国際サッカー連盟)ランキングで我々より上の2チーム(2位チェコと8位アメリカ)と対戦するわけだし、ガーナ(ランキング50位)にしても、“アフリカのブラジル”と言われているぐらいだ。決して侮れない」と語るリッピ監督に同調しつつも、各国などを細かく分析した結果、それほど深刻な見方はしていない。

 例えば、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙のフランチェスコ・アルケッティ記者は、その対戦相手3チームについてこう語っている。

「まず緒戦のガーナ戦は、幸運にも、試合開始時間が15時から21時に移されたことが大きい(抽選前に対戦カードに関係なく会議で決定された)。夜ともなれば、気温もグッと下がるはずだ。暑さに強いといえば、やっぱり、彼らアフリカ人の方だからね。2戦目のアメリカは、メンバーが4年前とほとんど変わっていない。確かにビーズリー(PSV/オランダ)ら若い選手の台頭もあるが、これは世代交代がうまくできていない証拠でもある。彼らには、長期合宿ができるという利点があるとはいえね。そして最後のチェコ。こちらもアメリカ同様、世代交代に失敗している。それと、チームに不可欠な存在であるFWヤン・コレル(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)が、けがから復帰して出場できたとしても、ベストでない確率が高い」。

 とはいえ、何が起こるか分からないのがW杯。それは、優勝候補のフランスとアルゼンチンがともにまさかの予選敗退を喫した前回大会でも証明されている。油断は禁物。リッピ監督も「決勝Tのことはまったく気にかけていない。現時点で気になるのは、予選のことだけ。一歩一歩、前進あるのみだ」と慎重な姿勢を崩していない。

 ブラジルよりまずは目の前の敵を確実に叩く。結局は、これこそがスロースタータとしても知られるイタリア代表にとっての大きなポイントになりそうだ。何よりもブラジルがF組首位で予選を突破することでさえ、まだ決まっていないのだから。
プロフィール
垣内一之(かきうちかずゆき)/スポーツライター

大学時代から欧州サッカーを数多く観戦。ジャーナリストを目指す為、イタリアへ留学し、現在、パルマ、メッシーナ、レッジーナを中心に取材活動を行っている。また、スポーツ紙の通信員としても活躍中。
好きなチームはペルージャ、アトレティコ・マドリッド。


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