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山田一仁●文 text by Kazuhito Yamada
photo by Marc Morris/Kaz Photography

第78号(2007年10月5日)【イングランド】07-08シーズン、プレミアの順位予想〜激震モウリーニョの退団

恒例のプレミア順位予想に入る前に、チェルシーのモウリーニョ騒動に触れておかなくてはなるまい。

カリスマ監督を失ったチェルシー。呆然としているのは選手ばかりではない。記者会見で強力なイングランドメディアを翻弄、あるいはあざ笑うかのような対応を見せてきたモウリーニョを失って、困っているのはメディアそのもののはずだ。何しろ、紙面を飾るのに格好の題材を与えてくれるスターがいなくなってしまったから。

さて、当初の私の順位予想は、チェルシー、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド(マンU)、リバプールというものだった。しかし、モウリーニョが去って大幅に考えを変えなくてはいけなくなった。

優勝争いをするのはこの4チームが中心であることに変わりはない。ポイントは、今季「Special One」のモウリーニョを失ったチェルシー。

まず、優勝候補筆頭はアーセナル。昨シーズンは後半にアンリが故障してチームリーダーを失い、チームとしての自信を失った。これが影響してリバプールと同勝ち点で4位。しかし、優勝したマンUにホームとアウェーで2勝したのはアーセナルだけだったのを忘れてはいけない。

しかも、アウェーでの戦いはアンリ抜きで勝った試合。元々攻撃力ではプレミア一を自認するクオリティー。ただ、若さゆえに経験が足りないところがあった。

今シーズン、アンリが抜けた穴は大きいが、それが若い選手に「自分たちでチームを再建し強くなってみせる」という自覚を生んだ。その一番の成長株がファブレガスとアデバヨール。補強も、FWにダ・シルバ(ディナモ・ザグレブ)、MFにディアッラ(チェルシー)、DFにサニャとベンゲル監督らしくお金をかけないでクオリティーのある選手を獲得。

今シーズン、ファブレガスはさらに爆発するだろう。彼がデビューしたシーズン、私は凄い選手が出て来たと思って2004-2005シーズンのブレークする若手としてリストアップしていた。だが、彼の凄さが出るのはこれから。彼は毎試合ごとに成長しているかのようだ。今季はすでにリーグ戦で7試合4得点と活躍しているが、彼がランパードのようにシーズン2桁得点すれば、アーセナルの優勝は決まりだ。

彼がこのまま大きな怪我をしないで成長していけば、数年以内で欧州最優秀選手になれると私は信じて疑わない。ベンゲルも「プラティニのような選手になれる可能性がある」と認めている。

さて2位予想はマンU。今シーズン、テベス(ウェストハム)、ナニ(スポルテリング)、アンデルソン(ポルト)という凄い攻撃陣とボランチのハーグリーブスの大補強をしたのだが、DFを補強しなかった。

エインセがレアル・マドリードに移籍し、シルベストルが残りのシーズン絶望の怪我をしたため、左サイドバックはエヴラひとりになってしまった。ブラウン、オシェイで代用できるが強敵相手では役不足なのは昨シーズンのチャンピオンズリーグ、ミラン戦で証明済み。

3位は、こちらも大補強をしたリバプール。移籍金クラブ新記録のトーレス(A・マドリード)、バベル(アヤックス)、ベナユン(トッテナム)、ヴォロニン(レヴァークーゼン)など攻撃陣は充実。スタートダッシュは良かったが、リーグ戦で結果が出せるようになるにはまだ時間がかかりそう。チャンピオンズリーグやFAカップなどには強いがリーグ戦で結果が出なかった昨シーズンまでとは違い、やっと優勝争いができる陣容になった。

4位は、強力な指揮官を失ったチェルシー。戦力は優勝できる布陣だが、カルバーリョ、ランパード、ドログバが怪我で戦列を離れている間に上位陣とどこまでポイントを離されないで踏ん張れるか。

過去3シーズンの特徴は、モウリーニョ監督の戦術、そして交代の妙。そして、選手が勝者のメンタリティーを植えつけられたのが大きい。ドログバもテリーもランパードもモウリーニョの元で開花しスターになった。カリスマを失い、普通の監督の指揮下に入ったチームは、果たしてどれほどのパフォーマンスを見せることができるか。うまく行って4位に滑り込む程度と私は見る。

5位以下のUEFAカップ圏内のチームは、マンチェスター・シティ(マンC)、ニューカッスル、エバートン、ポーツマス、ブラックバーンそしてアストン・ヴィラ。

これら6チームの共通点は、莫大な放映権料の分配金を元に、今までだったら優勝争いをするチームしかできなかったような補強をしたこと。したがって、今シーズンは彼らがトップ4強を食ってしまう試合が多く見られるはずだ。この中で4位に食い込む可能性が高いのが、マンC、ニューカッスル、エバートン、ブラックバーン。

マンCは、イングランド代表では今ひとつだったエリクソンを監督に迎えチームを一新。セリエAでラツィオを優勝に導いたクラブでの手腕が本物かどうかわかる。スタートダッシュには成功した。

ニューカッスルはボルトンをUEFAカップ圏内に導き、イングランド代表監督の目もあったアラダイス監督が指揮を執ることで上位に進出する総合力が備わった。

ブラックバーンとエバートンは昨シーズンも良い成績を残し選手、監督ともに自信と経験を得て飛躍を狙い、タイトルに飢えている。これが大きなモチベーションになるはずだ。

降格候補組は、ダービー、ボルトン。ダービーは昨シーズンのワトフォードと同じ状況。プレミアに昇格したにもかかわらず、それに見合った補強をしていない。

ボルトンは、この数シーズンUEFAカップ圏内を確保していたアラダイス監督を失ったのが大きい。昨シーズンのチャールトンと同じ状況だ。選手層はチャールトンよりも充実しているので、これで降格したら明らかに今の監督の力量がたりないというわけだ。

残るひとつの降格圏のチーム予想が難しいが、私はレディングが怪しいとふんでいる。昨シーズンは監督采配の戦術が機能してうまくいったところがあるものの、2シーズン目の今季はそれが機能するかどうか。


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