第74号(2007年5月18日)チェルシー対マン・U、最後の激突〜FAカップ決勝プレビュー
最後までもつれると思われたプレミアシップのタイトル争いは、終盤チェルシーが自らつまずいて、マンチェスター・ユナイテッド(マン・U)の優勝は最終戦の1週間前に決定。
両チームがチャンピオンズリーグ(CL)決勝でも対戦する可能性があり、チェルシー対マン・U戦がわずか2週間の間に3回連続することも考えられた。だが、CLでは共に準決勝で敗れて、どちらかが三冠に輝くというシナリオはなくなった。
シーズン最後の5月19日、新装ウェンブリースタジアムのこけら落としとして行なわれるFAカップ決勝に備えて、両者のチーム状態はどうなっているのだろう。
プレミアのタイトル争いの天王山と予測されていた5月9日の直接対決は、その前にマン・Uの優勝が決定したため、お互いに主力を温存した。また、最終戦の13日、マン・Uは降格の瀬戸際にいたウェスト・ハムとの試合にファーディナンドを休ませ、C・ロナウド、ヴィディッチ、ギグス、スコールズらもベンチスタート。一方チェルシーもマケレレ、エシエンらに無理をさせず休ませた。双方がいかにFAカップ決勝に賭けているかが伺える。
チェルシーは、ここに来て大きな不安材料がいくつか出てきた。ひとつ目はボルトン戦で負傷したバラックが、手術を受けたこと。ポジティブに考えればFAカップに備えて大事をとり、決勝に間に合うよう準備したと考えられる。しかし、ネガティブに考えるとクラブは否定しているが、本人が無断で手術することを決意し、FAカップには間に合わないという噂。
ふたつ目は、シェフチェンコがヘルニアの手術をし、すでに今シーズンは無理だと判断されていること。さらに、カルヴァリョ、ロッベン、そしてミケルも故障で出場不可能になった。
チェルシーはリーグカップで優勝しているものの、これは国内3つのタイトルの中では最も価値が低いもの。マン・Uにプレミアのタイトルを奪回された今、FAカップだけはなんとしてもマン・Uに渡すまいと考えているに違いない。
一方、マン・Uもいくつかの不安材料が最後に出てきた。まず、サハが負傷で間に合わない。さらに、ギリギリで間に合うと期待されていた右サイドバックのネヴィルも、出場できないことが判明。
私の先発予想は、チェルシーが4−1−3−2の布陣でスタート。GK:チェヒ、DF:フェレイラ、テリー、ボラルーズ、ブリッジ、MF:マケレレ;エシエン、ランパード、ジョー・コール、FW:ドログバ、カルー。
後半途中から勝負に出るときは、4−1−4−1にシステム変更するだろう。カルーに代えて、ライト・フィリップスを右サイドに、ジョー・コールを左サイドにする。このシステムはシェフチェンコが加入する前の昨シーズンまでのチェルシーの得意な形だ。相手ボールの時はドログバの1トップだが、マイボールになると両サイドが上がり3トップに近い形になり強力なサイド攻撃をしてくる。
マン・Uは、4−1−4−1の布陣。GK:ファン・デル・サール、DF:オシェイ、ファーディナンド、ヴィディッチ、エヴエ、MF:キャリック;C・ロナウド、スコールズ、フレッチャー、ギグス、FW:ルーニー。こちらは後半得点が必要になった場合、4−4−2に変更する可能性が高い。
キャッリックの代わりにアラン・スミスを入れ、ルーニーと2トップに。最後にはどちらかのサイドバックを落として(可能性としては左)リチャードソンを入れて3−5−2、あるいは3−4−3の形にしてくる可能性もあるだろう。
試合の勝敗を左右するキープレイヤーは、マン・UはC・ロナウドとルーニー。そしてチェルシーはドログバとジョー・コール。
攻守の対決で見ると、ファーディナンド+ヴィディッチ対ドログバ。テリー+エシエン(間に合えばカルヴァリョ)対ルーニー。C・ロナウド対フェレイラまたはエシエン。ジョー・コール対オシェイ。どちらも中央と左サイドの攻めがどう機能するかで攻撃のイニシアチブが決まる。
C・ロナウドやルーニーに対して、CL準決勝の第2戦目のミランのような守備がチェルシーにもできるなら、マン・Uの攻撃は機能しなくなる。反面、チェルシーも、リヴァプールとのCL準決勝第2戦目のように、自分たちのサッカーをさせてもらえないと、マン・Uから得点を奪えないだろう。
C・ロナウドの突破を止めて、マン・Uのサイド攻撃を無力にしようと思えば、ミランがガットゥーゾとオッドの2対1でC・ロナウドを封じ込めたように、エシエンを右サイドハーフに起用し、右サイドバックのフェレイラと対応させるべきだろう。
エシエンには、ガットゥーゾのような運動量とフィジカルの能力があるわけだから、中盤で起用した方がチームへの貢献度は高い。だが、バレンシア戦のようにサイドバックで使う場合でも、攻撃時のオーバーラップは相手の脅威で、この形での起用の可能性もある。
チェルシーの左サイドバック、アシュリー・コールの最近の出来を見ていると、アーセナル時代のような思いきりの良い飛び出しが影を潜めている。しかも、彼からの中・長距離パスの精度が落ちていることも気になる。ここはブリッジを起用した方が、攻撃に活力が出るはずだ。
一方、マン・Uは、リーグ優勝を決めたものの最後の3試合は出来が良くない。マンチェスター・ダービーは相手のPKミスで救われたものの、内容的には引き分け。続く、チェルシー戦も引き分けて、最終戦ホームで25本もゴール枠へシュートを打ちながら負けている。この悪い流れが影響しなければ良いが……。
試合に出場できる選手リストを見る限り、マン・U有利に見えるが、最後は勝利への欲求、モチベーションが強いほうが勝つだろう。骨肉を削るような激しい試合になるのは確実だ。
シーズン最後に笑うのはファーガソンかモウリーニョか。







