2008年8月号
高原直泰「ゴールを決めれば、絶対負けない」
不敗神話を持つエースの10年。
粕川哲男●文 text by Tetsuo Kasukawa梁川 剛●撮影 photo by Go Yanagawa
どんなに苦しい時でも、たった一撃でチームに勝利をもたらしてくれるのが
エースストライカーの仕事だ。高原直泰は、黄金世代を準優勝に導いてから、
かれこれ10年近く、その責任あるポジションを苦しみながら背負ってきた。
苦戦を強いられる今の日本代表に、やはり彼の完全復活は不可欠なのである。


今から9年前の1999年5月――。わずか30分程度のインタビューは、淡々と進んだ。その年の4月のワールドユースで日本は準優勝に輝き、ナイジェリアから凱旋帰国した高原直泰。場所はジュビロ磐田の誠和寮。玄関先に置かれたソファで受け答えをする彼は、驚くほど冷静だった。
「世界から見たら、日本なんかまだ駆け出しの国ですよ。そんなに甘くはない。日本はずる賢さがないし、世界に出たら綺麗なだけじゃやっていけない。時には汚いプレイも必要なんです。サッカーを楽しむっていう姿勢は変わらないけど、勝たないと楽しさはないし、自分らしいプレイができないと楽しめません。自分の良さを出したうえでチームが勝って、そこで初めて楽しめる。だから、今回の結果に溺れないように気をつけています。磨かないといけない部分はたくさんあります。僕自身はまだ19歳の若造なんで、準優勝という結果に満足なんかしていられない。これからも上を目指していくだけです」
己の基準を世界に置いた高原は、日本の力を客観的に見ていた。スペインに4点をブチ込まれ、1点も決められず0−4で敗れた決勝戦で、彼は危機感を覚えていた。そこにいたのは、準優勝を喜ぶ無邪気な19歳などではなかった。
決して満足せず、常に自分を追い込み、限りない高みに向けて走り続ける。高原のサッカー選手としてのスタンス、もう少し大袈裟にいえばその生き様は、この時すでに確立されていた。
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