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武田葉月●文・撮影 text & photo by Hazuki Takeda

第93号(2007年12月25日)【大相撲】謹慎明けの朝青龍、初場所での完全復活なるか

「初場所、出たくて出たくてしょうがないんだよ」

シルバーグレーの羽織に身を包み、にこやかな表情でそう語る朝青龍。

来年1月13日から始まる大相撲初場所の新番付が発表され、朝青龍は2場所出場停止の影響で、「定位置」だった東横綱から、西横綱へ回り、再スタートを切ることとなった。

思えば、激動の一年だった。

1月、一部週刊誌が朝青龍の八百長疑惑を報じたことに端を発し、「悪役」のイメージが世間に広まっていく。ゆがんだ注目を受ける中、なんとか初場所を優勝で飾ったものの、その後も朝青龍の一挙手一投足が監視の中に置かれた。

モンゴルの後輩・白鵬が横綱捕りに挑んだ3月の春場所は、高砂部屋大阪宿舎の前に張り込みを慣行するマスコミの車が見えない日はなかった。朝青龍の集中力は徐々ににぶり、春場所、夏場所とも、優勝を白鵬に奪い取られてしまう。

こんなはずじゃない。

3年以上、ひとり横綱を張ってきた朝青龍のプライドはズタズタになった。

名古屋場所、白鵬が新横綱となり、久しぶりに東西の横綱が揃うことになった。

負けるわけにはいかない!

朝青龍の闘志に火がついた。積極的な出稽古、疲れを回復させるモンゴルの果実サージを摂取し、スタミナの維持に努めた。

結果は吉と出た。

名古屋場所を制した朝青龍は、表彰式を終えた支度部屋でようやく安堵の表情を見せた。
「本当にホッとしたよ」

まるで少年のような笑顔だった。

しかし、そうした心の隙が油断を生む結果となってしまった。

夏巡業の休場届を出していながら、名古屋場所後に帰国したモンゴルで、サッカーをしていたことが報道され、朝青龍の横綱としての責任が問われる大騒動に発展。相撲協会は、朝青龍に2場所出場停止の重い処分を下す。その後の対応も後手後手となり、ついには心を病んだ朝青龍は自宅マンションに閉じこもる日々となった。その後、モンゴルで療養を続ける朝青龍をもマスコミは追いかけ続けた。

長い4カ月間だった。

横綱とは何なのか。自分がしてきたこと、また自分がしてしまったことを考え直した。強ければすべてが許されるわけではない。そうした慢心があったことも事実だ。でも、やはり横綱は土俵上で勝ち続けなければいけない使命がある。

謹慎が明け、日本に戻ってきた朝青龍は冬巡業に帯同。久しぶりに土俵で汗を流し、ファンに笑顔を見せるその姿は、横綱としての責任感にあふれていた。

謝罪会見を終え、東京での稽古が再開された12月中旬。朝青龍は連日、出稽古に出かけた。

14日は軽く高砂部屋で体をほぐした後、明徳義塾高の後輩・幕内栃煌山、新十両グルジア出身の栃ノ心らがいる春日野部屋へ。162kgの幕内栃乃洋らに寄り切られるシーンもあったが、約30分間土俵いっぱいに動き回った。

取材を終え、徒歩で引き上げていると、筆者の横に渋滞にはまっている朝青龍の車が。筆者に気づいた朝青龍は窓を開け、手を振りながら、
「どうだった? 俺、動きよかったでしょ?」
と満面の笑み。充実した稽古ができた満足感にあふれていた。

さて、20日の会見では、「体調は8割か9割まで来ている。まあ、初日から千秋楽まで元気な姿を見せれば結果はついてくるでしょう」と、語った朝青龍。

来年8月には、念願だったモンゴル巡業も開催される予定という、うれしいニュースも飛び込んできた。
「今年は2回しか優勝していないからね。来年は最高の年にしたいね」

東西に横綱が揃う来年初場所のチケットの売れ行きも上々。

大相撲から目が離せない。


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