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松瀬学●文 text by Manabu Matsuse
北村大樹/アフロスポーツ●撮影 photo by Daiju Kitamura/AFLO SPORTS

第90号(2007年11月22日)【バレーボール】緻密なコンビバレーの確立を〜五輪切符逃した女子日本

世界の頂は遠い。

ファンの熱狂はあるけれど、『柳本ジャパン』に北京五輪切符をもぎ取る強さはまだ、ないのだった。歓声、拍手、落胆である。

厳しい現実に触れ、柳本晶一監督はため息を漏らした。

「これが世界だと思う。ある程度のところまでチームはきているけれど、まだ世界との間には大きな壁があるようだ……」

バレーボールのワールドカップ(W杯)女子大会で『柳本ジャパン』は6勝5敗の7位に終わり、北京五輪出場権(3位以内)を獲ることはできなかった。結果もだが、トップクラスとの試合内容から大きなショックを受けるのだった。

『究極の勝利』

それが今年のチームスローガンだった。前提は世界一のレシーブ力を生かしたコンビバレーである。高さ不足を、粘り強いつなぎでカバーする。拾って、拾って、つないで、竹下佳江のトス回しからエースの栗原恵、あるいは高橋みゆきが決めるのだ。

たしかに適当な高さのチーム、つまり韓国、ペルー、ドミニカ共和国などには日本のバレーが機能する。ポーランドだって死闘の末、フルセットで逆転勝ちした。ブロックでストレートのコースを絞れば、クロスのスパイクを拾うことができる。とくにリベロ佐野優子の成長が心強い。拾いまくった。確実なレシーブを速くセッターに返せるようになった。

でも、とんでもなく高さのあるチーム、つまりはイタリア、セルビア、キューバ、米国、ブラジルには力負けする。ブロックの上からたたかれるので、レシーブの位置がぶれてしまう。迷いが生じる。ここは強いサーブで相手レシーブを崩し、攻めを単調にするしかなかった。

攻めも相手の高いブロックを恐れ、強気に打ち切れない。例えば、剣が峰だったキューバ戦である。勝負どころの第2セットのジュースでエース栗原恵はフェイントで逃げた。そして、これが失敗に終わる。

栗原は反省する。

「全体的に決めきれない部分があった。ブロックがかぶさってきて……。だから、フェイントしてしまった」

彼女はひとりで161得点(全体7位)を稼いだ。スパイク得点が141。サーブやバックアタックに成長の跡はみえた。でもここぞという時に決めきることができなかった。どのよう場合でも決めるのがエースである。つらかろうが、常に結果を求められるのだ。

しかし、それなりの収穫はある。新婚の杉山祥子、“鉄腕エリカ”こと荒木絵里香のセンター線はほぼ固まった。サーブレシーブさえきっちりできれば、日本のスピーディーなコンビバレーがブロックを翻ろうできることをある程度、証明できた。

課題はブロック力を含めたディフェンス力とサーブ力だ。怪我を抱えていた“カナ”こと大山加奈の復活が待たれる。

これで日本は来年5月、アジア予選を兼ねる世界最終予選(東京)で北京五輪切符を懸けることになった。ラストチャンスとなる。アジアで1位、すなわちカザフスタン、韓国、タイに勝てば切符はとれる。

柳本監督は言い切る。

「いろいろと勉強になった。ここ1本、流れを引き寄せないといけないところで点数を取りきれていなかった。プレーの幅というか……。少しずつ全体的に足りない感じがする日本のバレーは緻密な精度を上げて組み立ててナンボや。ま、リセット。やり直す」

あと半年。五輪切符はもとより、五輪でメダル獲得を目指すのであれば、まずは個々がVリーグで力量アップを図らなければいけない。スピード、パワー、技術、そしてメンタルである。

まだまだメンタルが甘い。意識改革から始めなければいけない。もっと危機感を持つべきである。北京五輪のために。


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