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横谷和明●取材・文 text by Kazuaki Yokoya
倉持 壮●写真photo by So Kuramochi

第79号(2007年5月25日)【bjリーグ】プロテクトを巡る攻防〜ドラフト会議2007

3年目を迎えるbjリーグのドラフト会議が5月21日に開催された。既存の8チームに加えて、新たに「琉球ゴールデンキングス」、「ライジング福岡」の2チームが参入し、10チームで争われることになる2007-2008年シーズン。一昨年の栗野譲(大分ヒートデビルズ)、昨年の呉屋貴教(富山グラウジーズ)に続く、栄えある1巡目1位指名を琉球から受けたのは、2006年までJBLのアイシンシーホークスでプレーしていたポイントガードの澤岻直人である。

5月10日に行なわれた合同トライアウト最終選考では、「自分を評価してくれるチームでプレーがしたい。自分が成長できる場所かどうかが重要なポイントになる」と語っていた澤岻だが、ドラフト会議終了後には「自分を表現できる舞台をもらえたことは素直にうれしいです」と笑顔を見せていた。

「今日コーチに合ったばかりなのでどのようなチームになるのか分かりませんが、観客が見ていて楽しく、分かりやすいバスケットをしたい」と抱負を語っている。

木村達郎GMも「沖縄出身の選手が欲しかったことは事実だが、純粋にプレイヤーとして判断したときに、今回のドラフト対象選手のなかで澤岻選手が実力ナンバー1だと考えていた。彼には中心選手として、チームを牽引してほしい」と大きな期待を寄せる。

また昨年、ABAでチームを指揮していたヘルナンド・プラネルズ・ジュニア氏がヘッドコーチに就任。「沖縄らしいアップテンポなバスケットを展開するために、琉球にとって適任な人物」だと木村GMは説明している。

もうひとつの新規参入チームである福岡は、エクスパンションドラフト(新規参入チームは既存チームからプロテクトされなかった選手の中から希望選手を指名できる)でチームの前身である福岡BB BOYSの川面剛をプロテクトし、高松ファイブアローズのディアン・ティエルノ・セイデゥ・ヌロ、富山のウム・スンミンを獲得。さらにドラフト会議でも2選手を指名した。

1位指名はアーリーチャレンジ制度で高松に加入し、プレイオフでも20得点を上げるなど大活躍した中川和之。現在はアメリカに渡り、NBAを目指して挑戦中の身だが、山村恭生チーム代表は「それも承知の上です。彼やbjリーグのためにもプラスになることなので、私たちも中川選手のNBA挑戦を応援したい。そして日本に帰ってきたときに、福岡でプレイしてもらえればうれしいですね」と指名した理由を説明する。ドラフトについては「満足のいく結果」だと語っており、現在は6月中の発表を目指してヘッドコーチの人選を進めているという。

最終的に今回のドラフト会議で指名されたのは7名のみ(写真左からブライアン・シンプソン(琉球)、仲西翔自(東京)、河内敏光コミッショナー、田中健(琉球)、仲村直人(東京→大阪)、澤岻直人(琉球)。なお中川和之(福岡)と中園隆一郎(福岡)はドラフト会議を欠席)。新規参入チームを除けば、指名権を行使したのは東京アパッチだけにとどまった。

さらにドラフト会議終了後には東京が獲得した仲村直人の優先交渉権と大阪エヴェッサの城宝匡史とのトレードが成立したことを両チームが発表し、会場内が一時騒然となる場面もあった。今回、既存チームの指名選手の数が少なくなってしまった要因のひとつには、ドラフト制度が改変されたことが挙げられるだろう。

「より実力伯仲したリーグにしたい」という構想から、今回のドラフトでは各チームのプロテクト人数を全チーム一律の3名から、過去2シーズンの成績に応じて基準値を変動する方式に変えた。

その結果、過去に一度もプレイオフに出場していない埼玉ブロンコス、富山は3名の選手を確保できるが、1度進出していれば2名まで、2度進出しているチームは1名までしかプロテクトできない。さらに基準値を超える選手をプロテクトした場合は、指名順位が1巡ずつ後退していくことになる。

つまりドラフト1巡目の指名権を確保するために基準値以内の選手しかプロテクトしなければ、エクスパンションドラフトにより主力選手を新規参入チームに獲られてしまう可能性が高まり、その反対に基準値を超える選手をプロテクトすれば、希望の選手をドラフトで獲得することが難しくなってしまうのだ。

この二者択一の選択を迫られたチームのほとんどが、既存の主力選手をプロテクトする方を選んだ。新潟アルビレックスBB(基準値1名)と埼玉は5名(基準値3名)、高松は6名(基準値2名)、大分にいたっては8名(基準値2名)もの選手をプロテクトしているのだが、各チームのこの決断はやむを得ないといえる。

チームを熟成させるためにはメンバーを固定して練習や試合を重ねることが必要不可欠であり、またやすやすと新規参入チームに主力選手を渡すわけにもいかないからだ。既存チームのほとんどは今後自チームのトライアウトを開催し、チームカラーに合った選手数名と契約することになるだろう。

アーリーチャレンジ制度の適用者を始め、即戦力選手の指名が目立つ一方で、昨年の半数にも満たなかった指名人数について河内敏光コミッショナーは、「既存チームがあれだけプロテクトしてくるとは……。それに1年間シーズンを戦っていけるかどうかの実力を見極めるためには、合同トライアウトだけでは難しかったのかもしれない。来年は短期フリーエージェントが認められるのでプロテクトの内容が大きく変わると思うが、もし今年と同じような結果になってしまった場合にはドラフトの制度の見直しを考えていきたい」と話す。

ドラフト会議が将来的にNBAやプロ野球のようにシーズンオフの一大イベントして成り立つようになるためにも、来年はドラフト制度の在り方が改めて問われることになりそうだ。

【2007-2008シーズン ドラフト指名選手】
  • 【1巡目】
    チーム 名前 前所属
    琉球:澤岻直人(タクシ ナオト)アイシンシーホース
    福岡:中川和之(ナカガワ カズユキ)高松ファイブアローズ
    東京:仲村直人(ナカムラ ナオト) 大阪エヴェッサ
    富山:指名放棄
    仙台:指名放棄
    富山:指名放棄
    ※大阪の1巡目指名権は富山にトレード
  • 【2巡目】
    琉球:田中健(タナカ ケン) トヨタ自動車アルバルク
    福岡:中園隆一郎(ナカゾノ リュウイチロウ) 福太郎クラブ
    東京:仲西翔自(ナカニシ ショウジ) 東京アパッチ
    大阪:指名放棄
  • 【3巡目】
    琉球:Bryan Simpson(ブライアン シンプソン) Kadena Falcon
    福岡:指名放棄
    東京:指名放棄
    埼玉:指名放棄
  • 【4巡目】
    琉球:指名放棄
  • 【5巡目】
    高松:指名放棄
  • 【6巡目】
    新潟:指名放棄
  • 【7巡目】
    大分:指名放棄

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