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横谷和明●取材・文 text by Kazuaki Yokoya
photo by Masakazu Watanabe/AFLO SPORT/bj-league
第73号(2007年2月7日)
【bjリーグ】呉屋貴教の挑戦〜オールスターに懸けた思い

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「今回のオールスターで2点や3点で終わってしまうようだったら、今後の僕のバスケットボール人生にも影響が出るかもしれない……」

 沖縄県出身のbjリーグ選手として、地元開催のオールスターに出場した呉屋貴教は、この試合をひとつのターニングポイントとして考え、強い決意で試合に臨んでいた。

 1月27日、bjリーグ初となるオールスターが沖縄県宜野湾市立体育館で開催された。そのなかで地元沖縄ファンの期待を一身に背負ってプレイしていたのが、富山グラウジーズに所属する呉屋だ。呉屋の実家は体育館から歩いて5分ほどの距離にあり、沖縄では「呉屋、沖縄に凱旋!」というテレビCMまで流れていた。呉屋が那覇空港に到着するやいなや、TVカメラに囲まれて取材に応じていたことがその期待の証。沖縄では異様とも言えるほどの「呉屋フィーバー」が沸き起こっていた。

 そんな周囲の盛り上がりを背に、呉屋のモチベーションも高まっていた。

「沖縄からの期待感をものすごく感じていましたし、舞台もばっちり整っていました。あとは僕が良いパフォーマンスを発揮するだけという状態。こういった大舞台でちゃんとしたパフォーマンスを残せないようではこの先、上のレベルでプレイすることはできないだろうし、スターになることも難しい」

 そう考えつつも相当なプレッシャーを感じていた呉屋は、少しナーバスにもなっていた。

 夕方4時過ぎ。呉屋にとって、5年ぶりとなる沖縄での試合が始まった。「最初は緊張して、固くなっていた」という呉屋だが、開始3分すぎのフリースローを決めたあたりから落ち着きを取り戻す。その後は得意のドライブからジャンプシュート、レイアップを決めるなど得点を重ねていった。

「僕は初めてだと少し遠慮してしまう癖があるんですけど、それでは積極的に自分のパフォーマンスを発揮することはできない。だから今日は絶対にそうなりたくはない、と強い気持ちを持ってプレイすることを心掛けました」

 今シーズンの序盤こそ積極的に得点に絡んでいた呉屋だったが、試合を重ねるにつれてポイントガードとしてゲームメイクに専念するあまり、シュートを打つ積極性に欠けている感は否めなかった。さらにシュートタッチも徐々に悪くなり、ますますシュートから遠ざかってしまっていたという。だからこそ、このオールスターでは点を獲りに行くことを心に決めていたのだ。

「最近は5得点くらいの成績がずっと続いていたので、本当に自分で点を獲りに行ったときにきちんと得点を上げられるかどうか不安があったんです。だからオールスターでは自分に対する再確認をしたいとも考えていました」

 この言葉通り、オールスターでの呉屋は攻めに転じた。レギュラーシーズンとは違い、ほとんどの時間をシューティングガードのポジションでプレイしたこともあったが、チームで3番目に多い14本ものシュートを放ち、そのうち8本をリングに沈めた。この試合に懸ける呉屋の意気込みが、数字にも表われていた。

「自分で考えていたことをきちんと実行できたことは、大きな自信となりました。点を獲りたいときに、点を獲れるという手応えを感じられたことも大きいですね」

 結局、呉屋は日本人最多となる19得点、両チーム最多の9アシストをマーク。特に後半は何度も得意のペネトレイトを仕掛け、試合終盤には連続ダンクを決めるパフォーマンスも披露した。

「ダンクは気持ち良かったですね(笑)。みんながスペースを空けてくれたので成功したんですけど、次は公式戦の緊迫した場面でもダンクができるようにしたいです」と呉屋。

 EASTチームを指揮した廣瀬昌也ヘッドコーチ(新潟アルビレックスBB)も、「まだ荒削りな部分はありますけど、持っている素質はすごく高い。ときに自分で攻めたり、ときにパスをセレクションしたりという状況判断能力が新人ばなれしている。また最後にダンクを2本連続で決めましたけど、運動能力の高さも持っているプレイヤーだと思います」とそのパフォーマンスを絶賛する。

「今だから言えますが、試合前の不安は大きかったです。沖縄からの期待はすごく感じていましたし、沖縄で初のbjリーグの試合を成功させるためにも、僕が頑張らないといけないと思っていましたから。でもそれなりに自分のパフォーマンスを発揮できたと思うので、本当に良かったです。試合が終わって、ホッとしました(笑)」

 オールスターというお祭り的要素が強い試合のなかでも、きっちりと自分に課した課題をクリアできたことは、今後の試合に向けて大きな自信となるのではないか。あとは今回のオールスターで掴んだ得点への手応えを、どうやって実戦に活かしていくかだろう。

「シーズン後半戦は、もう少し自分の得意なプレイを出していきたいと思っています。ポイントガードとして周りの選手を活かしつつ、さらに自分でも得点を獲りに行くことが、結果的にチームのためにもなると思うので。これからはポイントガードとして、もっとリーダーシップを取っていきたいですね」

 試合後、呉屋の行くところには子供たちが駆けつけ、黒山の人だかりができていた。サインを書いても書いても終わらない。子供の頃、自らが全日本の試合を観戦に来ていた思い出の場所で、今度は自分が子供たちに夢を与えることができた。呉屋のオールスターは、手応えと満足感のうちに幕を閉じた。


Profile
呉屋貴教(ごや たかのり)(富山グラウジーズ)
1983年8月26日沖縄生まれ。190cm/88kg

 2006年3月に日本大学を卒業。2005年のユニバーシアード競技大会日本代表メンバー。2006年5月22日に行なわれたbjリーグの2005-2006年シーズンのドラフトで、富山グラウジーズから1巡目1位指名を受けた。ここまで24試合すべてに先発出場。1試合平均9.0ポイント、2.5アシスト(2月4日時点)を記録している。

OFFICIAL SITE: http://go-ya.tv/
富山グラウジーズ: http://bj-gr.jp/

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