| 折山淑美●文 text by Toshimi Oriyama 岸本剛/フォート・キシモト●撮影 photo by Tsuyoshi Kishimoto/PHOTO KISHIMOTO |
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| 第71号(2006年12月22日) | |
【フィギュアスケート】世界選手権への代表争い〜全日本選手権
「安藤美姫、体調崩してフリー最下位!」 12月15日からロシア・サンプトペテルブルグで行なわれたフィギュアスケートGPファイナルは残念な結果に終わった。 12月2日のNHK杯フリーの後、「スケートアメリカでは1Aになってしまったけど、今回、ランディングではグニャっとなってダメだったけどちゃんと回れて……。自分ではすごくうれしかったです」と笑顔を見せていた浅田真央だが、まだ完全な自信は取り戻していなかったのだろう。 05年12月の全日本選手権以来、完璧には跳べていないトリプルアクセル(3A)も、今季は跳ぶ直前にステップを入れてさらに難しくなった。また、フリープログラムが出来上がったのも6月に入ってからと遅く、NHK杯で130・02点の自己最高得点を獲得したとはいえ、まだまだこなしきれていない状態だ。そのふたつの不安が連覇のかかるGPファイナルでは、大きなプレッシャーとなって襲いかかったのだろう。 一方、安藤は10月26日からのスケートアメリカでジャンプを完璧に決め、“新生・ミキティ”をアピールする演技でシニアGP初優勝を果たした。だが3週間後のフランス杯では腰痛が出たこともあって、軟らかさを欠いた滑りでキム・ユナ(韓国)に敗れ2位に。そしてGPファイナルでは風邪による体調不良も加わり、SP2位から総合5位まで順位を落とす結果になった。 だが、ともに救いがあるのはSPでは完璧な滑りを見せ、浅田が69・34点、安藤も67・52点という高得点を挙げていることだ。グランプリシリーズの各2戦でも、ともに60点台後半の得点と安定している。ともにGPファイナルは不本意な結果だったが、浅田は3Aを跳べていないプレッシャーが、安藤は体調不良が原因とハッキリしている。 今年最後の大一番、来年3月の世界選手権東京大会の代表を決める全日本選手権(12月27日〜29日)。浅田はGPファイナル2位の結果から、出場さえすれば代表決定というアドバンテージを持って臨むことができる。シニア初挑戦だった昨シーズンは、何も考えず思い切り挑んだことがGPファイナル制覇につながった。しかし今シーズンは常に勝利を期待される立場になり、そのプレッシャーに苦しんでいるといえる。だが全日本選手権では、代表争いというプレッシャーからは解放され、最初の3Aにも思い切り良く挑戦することができるだろう。そうなれば本来の、元気な浅田真央の滑りができるに違いない。 残る代表2枠を争う他の選手にとって、全日本選手権は一発勝負の選考会となる。地元開催の世界選手権だけに、大会は五輪代表を争った昨年の大会と同じような緊張感あふれる戦いになるだろう。その中で、高得点を獲得しているという実績で優位に立っているのは安藤だ。開幕戦のスケートアメリカで優勝した時は192・59点。現時点でその得点を出せる可能性を持っているのは浅田以外にはいないだろう。自分の滑りをすることさえできれば、代表の座は確実だ。 しかし、その安藤がGPファイナル後の10日間、風邪で崩れてしまった体調を整えることができず、精神的にも不安を抱えたままの状態で臨むようなら、残る2枠を巡る争いは混戦になる。そんな争いになった時、着実に力を発揮してきそうなのが村主章枝だ。今季のフリー演技のプログラムはジャンプの数が少なく要素点では劣るが、「まだ練習が足りなくて体力的にも万全ではない」と話したNHK杯では179・39点を出して2位に食い込んでいる。土壇場に強いベテランだけに、大事な全日本選手権に向けては万全に仕上げてくるはずだ。 今季限りでの引退を表明している恩田美栄は、グランプリシリーズではSPの失敗で波に乗れていないが、その不満を全日本選手権にぶつけてくるだろう。昨年の大会では気迫を剥き出しにした完璧な演技で186・06点をマークして3位になっている。その気迫さえ復活すれば代表争いに食い込んでくる。 また、これまでの得点を見れば最高が昨年の全日本の175・66点と遅れをとっている中野友加里だが、彼女のポイントはここの所しっかりと決まっていない3Aを確実にできるかどうかにかかっているだろう。もし代表争いが180点前後の争いになれば、十分食い込めるだろう。 他にも楽しみなのは太田由希奈の演技だ。今季復帰したばかりで代表争いに割り込むのはきつそうだが、彼女の指先にまで神経を張りめぐらせた華麗な表現力は、得点を抜きにしても一見の価値はある。またジュニアGPファイナルはSPで失敗して5位に終わった18歳の武田奈也も、将来性を含めた意味でも期待したい選手だ。 |








