| 市川忍●文 text by Shinobu Ichikawa YUTAKA/アフロスポーツ●撮影 photo by YUTAKA/AFLO SPORT |
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| 第67号(2006年10月23日) | |
【バレーボール】スーパーエース・山本隆弘、国際舞台への復活なるか
そんな中、復活をかけて戦う選手がいる。サウスポーのスーパーエース・山本隆弘だ。 山本は03年のワールドカップで得点王に輝き、04年のアテネ五輪最終予選でもエースとして日本を引っ張った。ただし、その後は2年間、代表のユニフォームに袖を通していない。山本は振り返る。 「自分のせいでアテネオリンピックに出られなかった。あのまま終わりたくないという思いはずっとありました」 植田辰哉監督が就任した05年以降、全日本はセッター対角にスーパーエースではなく、守備力があり、レフト、ライトどちらからでも攻撃に参加できるアタッカー(オポジット)を配置してきた。サーブレシーブを免除されるスーパーエースが入る戦略とは違い、この新たな布陣ではローテーション通りに後衛のアタッカーがサーブレシーブのフォーメーションに入る。そのため、前衛にいる攻撃陣をフルに使えるという強みがあった。同時に機動力のあるオポジットが入ることで、さまざまなポジションへ移動しての時間差攻撃を多用できることから、全日本の攻撃バリエーションは増え、相手ブロックは的を絞りにくくなる。データ分析をもとに守備システムを引く近代バレーにおいては、相手ブロックが警戒するこちらのデータは多く、複雑な方が有利だ。こうして、ライトからしか攻撃に参加しない山本は、新しく指揮をとることになった植田監督の構想からは外されたのである。 植田監督は話す。 「ただし昨年度の試合を振り返り、サーブレシーブがセッターに返ったとき、返らなかったときのスパイク決定率を比較しました。すると、返ったときには世界ランキング上位のチームと差がないものの、相手のサーブに崩されたときの決定率が非常に低かった。その反省点をもとに、今年はサーブレシーブが崩されたときの決定率を上げようと、高いトスを打ち切れるスーパーエースをベンチ入りさせることにしました。山本を入れるか、直弘(龍治)を入れるか、それともブラジルのようにスーパーエースを2名ベンチ入りさせるかは、最終エントリーが締め切られる最後の瞬間まで考えたい」 世界選手権でもオポジットをスターティングメンバーで起用する基本方針は変わらない。日本の守備が崩れたときに限りスーパーエースを投入し、起爆剤的な働きを期待しようというのが植田監督の狙いだろう。 7月から8月にかけて開催されたワールドリーグでは、山本は12試合中9試合に出場し、第5節のセルビア・モンテネグロ戦では70%以上の極めて高いアタック決定率を残した。2段トスの決定力は他の選手に比べてずば抜けているものの、競った場面でのミスも多く、安定感に欠けるという印象は拭えない。 世界選手権のベンチ入りは12名。その中でウィングスパイカーの枠はおそらく6名になるだろう。ワールドリーグで実績を残し、ほぼ当確と見られている選手を除けば、最後のひとつの椅子を、山本も含めた3〜4名で争うことになる。生存競争は厳しい。 「ワールドリーグでは自分の存在をアピールできた試合、できなかった試合が半々で、悔いも残りますね。ただ、世界選手権に向けてコンディション、プレイともに、最後の合宿でどんどん状態を上げていきたいと考えてます。いつでも戦える準備はしているつもりです」 国際舞台への返り咲きはなるか。かつて、日本のエースと呼ばれた男の奮起に注目したい。 |







