Special Contents OTHER
市川忍●文 text by Shinobu Ichikawa
YUTAKA/アフロスポーツ●撮影 photo by YUTAKA/AFLO SPORT
第67号(2006年10月23日)
【バレーボール】スーパーエース・山本隆弘、国際舞台への復活なるか

+拡大画像
 11月17日に開幕するバレーボール世界選手権・男子大会に向け、全日本はチーム作りの佳境を迎えている。27日の合宿からは参加者をある程度、最終エントリーに近い人数まで絞り込む予定だ。各々の選手たちはベンチ入りを目標に、現在、選考合宿に臨んでいるところである。

 そんな中、復活をかけて戦う選手がいる。サウスポーのスーパーエース・山本隆弘だ。

 山本は03年のワールドカップで得点王に輝き、04年のアテネ五輪最終予選でもエースとして日本を引っ張った。ただし、その後は2年間、代表のユニフォームに袖を通していない。山本は振り返る。

「自分のせいでアテネオリンピックに出られなかった。あのまま終わりたくないという思いはずっとありました」

 植田辰哉監督が就任した05年以降、全日本はセッター対角にスーパーエースではなく、守備力があり、レフト、ライトどちらからでも攻撃に参加できるアタッカー(オポジット)を配置してきた。サーブレシーブを免除されるスーパーエースが入る戦略とは違い、この新たな布陣ではローテーション通りに後衛のアタッカーがサーブレシーブのフォーメーションに入る。そのため、前衛にいる攻撃陣をフルに使えるという強みがあった。同時に機動力のあるオポジットが入ることで、さまざまなポジションへ移動しての時間差攻撃を多用できることから、全日本の攻撃バリエーションは増え、相手ブロックは的を絞りにくくなる。データ分析をもとに守備システムを引く近代バレーにおいては、相手ブロックが警戒するこちらのデータは多く、複雑な方が有利だ。こうして、ライトからしか攻撃に参加しない山本は、新しく指揮をとることになった植田監督の構想からは外されたのである。

 植田監督は話す。
「ただし昨年度の試合を振り返り、サーブレシーブがセッターに返ったとき、返らなかったときのスパイク決定率を比較しました。すると、返ったときには世界ランキング上位のチームと差がないものの、相手のサーブに崩されたときの決定率が非常に低かった。その反省点をもとに、今年はサーブレシーブが崩されたときの決定率を上げようと、高いトスを打ち切れるスーパーエースをベンチ入りさせることにしました。山本を入れるか、直弘(龍治)を入れるか、それともブラジルのようにスーパーエースを2名ベンチ入りさせるかは、最終エントリーが締め切られる最後の瞬間まで考えたい」

 世界選手権でもオポジットをスターティングメンバーで起用する基本方針は変わらない。日本の守備が崩れたときに限りスーパーエースを投入し、起爆剤的な働きを期待しようというのが植田監督の狙いだろう。

 7月から8月にかけて開催されたワールドリーグでは、山本は12試合中9試合に出場し、第5節のセルビア・モンテネグロ戦では70%以上の極めて高いアタック決定率を残した。2段トスの決定力は他の選手に比べてずば抜けているものの、競った場面でのミスも多く、安定感に欠けるという印象は拭えない。

 世界選手権のベンチ入りは12名。その中でウィングスパイカーの枠はおそらく6名になるだろう。ワールドリーグで実績を残し、ほぼ当確と見られている選手を除けば、最後のひとつの椅子を、山本も含めた3〜4名で争うことになる。生存競争は厳しい。

「ワールドリーグでは自分の存在をアピールできた試合、できなかった試合が半々で、悔いも残りますね。ただ、世界選手権に向けてコンディション、プレイともに、最後の合宿でどんどん状態を上げていきたいと考えてます。いつでも戦える準備はしているつもりです」

 国際舞台への返り咲きはなるか。かつて、日本のエースと呼ばれた男の奮起に注目したい。

sportiva present 詳細はコチラ≫
sportiva 本誌アンケート こちらから応募できます
S-men's.net(sportiva)webメンバー募集中! 会員特典多数!!
mobile sportiva モバイルサイトも更新中!URLをメールで送信>>>
contact us 読者係:03-3230-7755 編集部:03-3230-6058
年間定期購読 お申し込みオンラインサービス

Sportiva 本誌
定価580円 毎月25日発売
今月の特集

黄金世代
世界を驚かせた18人の今

  • 黄金世代は何をもたらしたのか?
  • 小野伸二
    「もう一度、アフリカのピッチで…」
  • 柳沢敦が語る“シンジと黄金世代”
    「伸二からのパスは
    スバ抜けて優しかった」
  • ワールドユース99選手名鑑
  • 高原直泰
    「不敗神話を持つエースの10年」
  • 小笠原満男
    「もう第3の男とは呼ばせない」
  • 遠藤保仁
    「オレらの世代が
    やらないといかんやろ」
  • 稲本潤一&中田浩二
    「オレが欧州で戦ってきた理由」
  • 黄金世代 最強伝説
    「伝説は94年に始まっていた」
  • ドキュメント・ワールドユース99
  • オレとワールドユース99
    播戸竜二、酒井友之、
    永井雄一郎、南雄太、
    加地亮、本山雅志
  • ワールドユース99
    アフリカ事件簿
  • あの黄金世代たちは今……
    榎本達也、石川竜也、
    高田保則、氏家英行
  • フィリップ・トルシエ
    「彼らは抜群の世代だった。
    “黄金”かどうかは別にして……」
  • 検証・世界の黄金世代
    「日本を破ったスペイン
    “黄金世代”は
    なぜ消えたのか!?」
  • 岡田ジャパンは本当に
    南アに行けるのか!?
  • 江夏豊の夢野球紀行
    「四国・九州アイランドリーグ編」
  • ストイコビッチを
    日本代表監督に!
    1.欧州ジャーナリストほかが語る
    「ピクシーの変身」
    2.識者が解剖
    「ピクシーの手腕」
    3.藤田俊哉
    「代表監督にはカリスマ性が必要だ」
    4.グランパス主力選手アンケート
  • クリスティアーノ・ロナウド大研究
  • 西川周作
    「北京でまた
    ひと回り大きくなりたい」
  • スラムダンク奨学金2期生
    谷口大智&早川ジミー
本誌冒頭記事紹介