| 折山淑美●取材・文 text by Toshimi Oriyama 藤田孝夫●撮影 photo by Takao Fujita |
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| 第61号(2006年7月19日) | |
【体操】新ルール初の世界王者を目指して〜冨田洋之、NHK杯優勝
「去年は2次予選では余裕があったけど、NHK杯では体調不良で逆転されて優勝できなかったので……。その経験もあったから今回の優勝はうれしく思います」 6月の2次予選の持ち点を合わせて、2位の水鳥寿思に4.325点差をつける圧勝。最後の鉄棒に臨む前に優勝を確実にしていた冨田は、難度点と技のグループ点、組み合わせ点の合計であるA得点を初日の6.2点から5.9点に抑え、優勝をより確実なものにしたのだ。 今年から体操競技は大きく変わった。これまで慣れ親しんだ10点満点の採点法ではなくなり、加点法になった。 演技された技のうち終末技の難度と、それ以外で最も価値の高い9技を選び、A難度0.1点〜F難度0.6点(女子のみG難度0.7点がある)の価値点を加算。さらに、それぞれの技には必ずI〜Vの技のグループに属していて、難度点の対象となった9つの技のひとつでもそのグループに属していれば各0.5点(2.5点まで)加算。また難度の高い技が連続して行なわれれば、組み合わせ点も加算され、その合計がA得点として算出される(跳馬はそれぞれの技によってA得点が決まっている)。 そして、10点満点を基準に、演技の出来ばえを評価するB得点との合計がその演技の得点となる。ただし、B得点は落下や転倒が0.8点、大きなミスが0.5点と減点幅が大きく、ミスをすると得点が伸びなくなる。そのため技の難度を上げてA得点を上げても、完成度が低ければ勝負できなくなるシステムだ。 日本のトップレベルの大会としては新ルールが初採用となった6月17〜18日の第2次選考会で冨田は「難度を要求される分、後半になると体力的にも苦しくなって余裕がなくなる。また、力を使うつり輪の後はきつい」と話していたのだ。 その第2次選考会、最高得点は跳馬の16.450点(沖口誠・日体大)で、技の組み合わせでA得点が決まる種目ではつり輪の15.950点(冨田)だったが、個人総合でトップを狙うなら、各種目とも15点台中盤の安定力が必要になっている。 このNHK杯で冨田は、2次選考会でマークしたトータル93.150点の自己ベスト記録にはとどかなかったものの、2度のゆかと2日目の鉄棒で14点台だった以外は15点台の得点をマークし、安定感を見せつけて圧勝した。 「2次選考会に比べて新ルールに対応できるようになったと思うけど、姿勢欠点が少ないのが僕の体操の持ち味で、自分の体操をしっかりしていればB得点での減点も少なくできる。それが自分にとってメリットになっていると思います」 常に美しい演技を目標にしているという冨田は、新ルールに対しての手応えも感じている。今後の世界の動きを予測すれば、種目別に関しては難度を上げてA得点を伸ばさなければメダル獲得は難しくなり、スペシャリスト化してくるだろう。だが個人総合に関しては、6種目ともしっかりと演技できる体力や、穴種目を少なくする安定感がより必要となってくる。その点では冨田に体操は新ルール向きだともいえる。 昨年の世界選手権で個人総合を制覇した冨田にとって、今年10月にデンマークで開催される世界選手権はディフェンディング・チャンピオンとして臨む大会になる。 「去年と同じルールだったらプレッシャーも感じると思うけど、新ルールになってやることがまったく変わってきたので新しいスタートだと思ってできてます。世界選手権に向けて価値点を上げられるところがあれば上げて行きたいと思うけど、まずは自分が目標とする美しい演技にこだわっていきたいと思います」 10点満点制で最後の世界王者となった冨田が、新ルール初の世界王者となる可能性は高い。 |







