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松瀬学●文 text by Manabu Matsuse
築田 純/アフロスポーツ●撮影 Jun Tsukida/AFLO SPORT
第51号(2006年4月6日)
【バレーボール】男子バレー復活へ〜大型新人ゴッツ登場

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 男子バレーはどうなってしまったのだ。そうお嘆きのご同輩、心配なさるな。やっと上昇気流に乗ってきた。骨太のホープが現れた。

 石島雄介、22歳である。愛称『ゴッツ』。その由来を本人に問えば、額に汗を浮かばせながら、懸命に説明してくれた。

「中学3年生のとき、合宿がありましてぇ〜。そのとき、初対面でイトウくんという子がいたんです。イトウくんが、いきなりボクに、“おい、ゴッツ”と」。ユーモラスな語りが続く。「なんでゴッツなんだ、と言ったら、おまえの体がごついからだって。それから、ゴッツです。ははは。遊び心です。“ゴッツ伝説”の始まりです」

 なるほど。197センチ、102キロ。ごつい。頼もしいガタイである。しかも、オモシロイ。存在感がある。どことなく痛快ではないか。

「さあ、どんどん記事にしてください。神話みたいに。セールスポイントはキャラクターです。ひらめきとパッション(情熱)です」

 バレーボール全日本男子のワールドリーグ発表は、ゴッツの独壇場となった。公式会見後の囲み取材。笑いの渦ができる。初めて全日本に選ばれたというのに、不安や緊張はどこにもないのだった。

 初代表の感慨は。
「みなさんに聞かれますけど、とくにありません。本当にないんです。ベストを尽くしてやるだけですから」

 う〜ん、大物だ。もちろん、ウリはキャラクターだけではない。実力もホンモノである。埼玉・深谷高で全国高校総体を2度優勝し、昨年、主将として筑波大を全日本大学選手権2連覇に導いた。

 大型スパイカーとして、ユニバーシアードでは銀メダルを獲得した。プレイは豪快かつ繊細。日本人離れした強烈なスパイク、ジャンピングサーブに加え、レシーブも悪くない。ずっとセンタープレイヤーだったけれど、このほどサイドアタッカーになった。

 この春、筑波大を卒業した。先のVリーグでは堺ブレイザーズの内定選手として活躍。優勝の原動力となり、新人賞にも選ばれた。

 コートでも物怖じしなかった。試合中、先輩の背中をバンバン叩いてカツをいれる。スパイクが決まると「ウォ〜ッ!」。ブロックすれば「ガァ〜ッ!」。サーブミスをすると「ダァ〜ッ!」。怪獣のごとく吠えまくれば、もう絶対に憎めないのである。

 余談だが、卒論のテーマが『ジャンプ、スパイク、サーブのミスに関する一考察』だった。なぜプレイヤーはミスをするのか。トスミス、ジャンプのタイミングのずれ、腕の振り、ひじの角度など、動作分析を交えながら、多角的に論じた。

「ミスをなくすための知識はあるんですけど、なかなか……。だからバレーはおもしろいんです」

 課題は。
「サーブレシーブでしょうかね。強いサーブに対して、ちゃんとレセプションできるようになりたい。しっかりしたレシーブができれば、攻撃はうまくいくと思います」

 目標は。
「この1年、しっかり練習して、経験を積むことです。試合では、何でもいいから1点を取る。次は25点を取る。そして3セットを取る。ははは。それで勝ちです。単純です。難しいですけど」

 5月まで堺ブレイザーズに在籍し、その後はイタリアのセリエでプレイする予定である。世界への意識は。

「ま、国際試合でも、ポイントが決まるかどうかでしょ。決まれば、世界に通用するということですよね。強い相手と戦うのって、楽しみですね」

 夢はオリンピック出場である。子どもの頃、テレビを通して見た、1992年バルセロナ五輪の中垣内祐一(現・堺監督)の雄姿が脳裏に刻みつけられている。

「中垣内さんはイケメンですから。でもボクもキャラでは負けたくありません」

 静かな闘志が燃え上がる。

 ゴッツの希望がとおり、全日本のユニホームの背中に『GOTTSU』と入ることになった。「えっ。本当ですか」。大きな体を折り曲げ、頭を下げる。「みなさんのお陰です。では、よっ」。祝いの手拍子をリードするのだった。

 ごつい体に大きな夢が膨らむ。「まず個人として強くなりたい。そうすれば、ジャパンが強くなります」。ワールドリーグから世界選手権、そして北京五輪へ。

 さ、ゴッツ伝説が始まるよ。

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