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西村章●取材・文 text by Akira Nishimura
竹内秀信●撮影 photo by Hidenobu Takeuchi

第65号(2008年1月30日)【MotoGP】合同テストで見えてきた今季展望〜中野真矢、正念場の08シーズン

年末年始のテスト禁止期間が明けた1月22日からの三日間、マレーシア・セパンサーキットで08年最初の合同テストが行われた。

08シーズンのMotoGPクラスは、チャンピオンのケーシー・ストーナー(ドゥカティ)が21歳、昨年度ランキング2位のダニ・ペドロサも21歳、さらに250ccクラスからステップアップしてきたホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ホンダ)、アレックス・デ・アンジェリス(ホンダ)の3名はそれぞれ20歳、21歳、23歳、と、一気に若年層選手が増えた印象がある。これだけ多くの若い選手が最高峰クラスに参戦するのは、ひょっとしたら史上初かもしれない。

彼ら若年層台頭の理由のひとつとして、MotoGPマシンの排気量が800ccへ縮小され、電子制御が豊富に盛り込まれるようになったことで、250ccのライダーにも扱いやすくなったからだ、とはよくいわれることで、その指摘は確かに間違ってはいないのだろう。

しかし、いくら扱いやすくなったとはいっても、それはあくまで比喩の問題にすぎない。乾燥重量が145kgを超え、200馬力で300km/h超のトップスピードをたたき出すマシンを、250ccと同じように振り回せるわけがないのはいうまでもない。

今回のテストでも、ホルヘ・ロレンソが勢いのいい走りで最終日に3番手タイムを記録したものの、ドヴィツィオーゾとデ・アンジェリスは、3日間を通じてマシンに習熟するための走行に徹していた姿が印象的だった。その意味では、今年から最高峰にステップアップしてきた若手選手たちは、環境とマシンに習熟してくるシーズン後半に期待、と見るのが順当なところだろう。

一方、ベテラン勢のライダーたちも健在だ。現役最年長の34歳、ロリス・カピロッシはドゥカティからスズキへ移籍、豊富な経験を持つだけに終始安定したペースでテストを重ねていた。

また、昨シーズン、ランキング3位という屈辱に甘んじたバレンティーノ・ロッシも、気がつけばこの2月でもう29歳になる。今季はタイヤをブリヂストンに履き替え、3年ぶりの王座奪還を狙う。初日に軽い転倒を喫したものの、その後は終始順調にメニューを消化し、3日目にはレースを想定したロングランも実施したロッシは以下のように前向きなコメントで08年最初のテストを締めくくった。

「ニューマチックバルブ仕様のエンジンは、トップスピードも向上していてフィーリングも良かった。さらに信頼性の確認をしていきたいし、ブリヂストンに合ったセットアップを詰めていくためにも、これからもっと乗り込んでいかなきゃいけない」

ベテランと言えば、MotoGPクラス唯一の日本人選手となった中野真矢もすでに30歳、最高峰参戦もこれで8年目となる。ホンダのマシンは今年で2年目で、チームもサン・カルロ・ホンダ・グレッシーニに移ることとなったが、今回のテストでは、「セットアップで悩んでも、チームがいいアイディアを出してくれる」「方向性で迷ったときは、スタンダードに戻すといいタイムが出る」という言葉からもわかるとおり、チーム力の高さと08年マシンのポテンシャルを実感したようだ。

中野は、初日の走行ですでに昨年のレース時予選タイムを更新し、以後も、順調にメニューを消化しながら本来の走りを着実に取り戻しつつあるように見えた。

中野はカワサキ時代からブリヂストンタイヤの経験も豊富で、さらに今シーズン彼が駆るマシンは昨年最終戦でレプソルホンダのダニ・ペドロサがポールトゥフィニッシュの優勝を飾ったものがベース仕様となる。

これらの要素を見ても、今年は中野にとって正念場の一年となることは確実だが、周囲の期待に応えるだけの準備は、長年の経験にも支えられて焦らず着々と進めつつあるようだ。

若手とベテラン、タイヤ、マシン等々、複合的な要素が入り交じるなかスタートした08年は、昨年以上に波瀾含みの1年となりそうな予感をすでに漂わせている。


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