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西村章●文 text by Akira Nishimura
佐賀章広●撮影 photo by Akihiro Saga

第61号(2007年8月14日)【MotoGP】つかの間のサマーブレイク〜日本人ライダー壮行会

第11戦USGP終了後、MotoGPはつかの間のサマーブレイクに入った。USGPでは125ccクラスと250ccクラスのレースは行なわれないため、この2クラスは第10戦ドイツGPを終了したところで一足早く夏休みに入っている。選手たちもこの機会に帰国し、各自トレーニングやイベント参加、あるいはプライベートな休日を過ごすなど、それぞれに充実したスケジュールを送っている。

そして、全日本人選手が国内にいるこの貴重なタイミングを利用して、9月の日本GPに向けた「MotoGP日本人ライダー壮行会」が、汐留の日本テレビ・ゼロスタ広場で開催された。午前4時半から開場を待っていたという熱心なファンも含め、600人の観客の前に姿をあらわしたのは、125ccクラスの小山知良(KTM)、250ccの青山博一(KTM)、高橋裕紀(ホンダ)、青山周平(ホンダ)、関口太郎(アプリリア)、MotoGPクラスの玉田誠(ヤマハ)、中野真矢(ホンダ)というレギュラー参戦組に、日本GPのワイルドカード参戦がすでに決定している秋吉耕佑(スズキ)、という計8選手。

秋吉は、先日の鈴鹿8耐でペアの加賀山就臣とともに優勝を飾っており、そのパワーを9月のグランプリでも発揮しそうな勢いを感じさせた。

第2戦のスペインGPにもワイルドカード参戦しており、そのときにはエンジンブレーキのコントロールシステムにトラブルを抱えてしまい、「もっとハードに攻めたかったですね」と不満足な17位でレースを終えている。

グランプリの本場ヨーロッパでの初レースながら「違いと言えば日本よりも人が多いくらいで、コンディションやコースが大きく異なるわけでもないから、特に変わらないですよ」と腹の据わった感想を述べていた。今季のスズキは、マシンポテンシャルも高いだけに、地元日本では“宇宙人・秋吉”が大きな見せ場を作りそうな予感も漂う。

汐留の開場で大きな拍手を集めていた小山は、サマーブレイク前のドイツGPで今季4回目の表彰台となる2位でフィニッシュ、ランキングも3位に上げて気分良くシーズンを折り返した。ワークスチームだけパーツの投入や軌道修正なども素速く、ドイツでは新フレームを採用し、それが見事に決まって思い通りに集団をコントロールできた、という。

「これで表彰台の常連。次はトップを引っ張りたいですね」とモチベーションも高く、残り7戦で確実にチャンピオン争いを繰り広げそうな充実した状態だ。

ドイツでは、青山博一が250ccクラスで今季初優勝を飾っている。チャンピオン候補の一角と言われながらも、シーズン前半は開発の方向性に苦労しながら結果の出ないレースが続いたが、少しずつ足場を固めるようにフレームやエンジンが改善され、「厳しい前半戦になったけど、マシンがちゃんとしてくれば自信はあった」という言葉どおりのリザルトに結びつきはじめた。

ポイントランキングではトップの191点に対して青山78、と出遅れてしまった感は否めないものの、この復調で後半戦は本来の活躍を披露するだろう。一昨年と昨年に続き、日本GP三連覇もけっして夢ではない。

復調と言えば、一昨年と昨年、大腿骨を骨折してともにシーズン前半を棒に振った関口太郎が、今シーズン開幕以来、少しずつ復活の兆候を見せている。シーズン序盤は、体の調子が万全でないこともあって「完走が目標」「走り切れて良かった」という言葉が多かったが、ここにきて「チクショー」「悔しいっす」という科白が自然に口をついて出るようになってきた。

この言葉の変化にこそ、関口の復調の経過がはっきりとあらわれている。太郎本来の走りまで、あともう一歩、というところだろうか。

高橋裕紀も、怪我に泣かされて苦しいシーズン前半を余儀なくされた。昨年最終戦での大腿骨骨折で神経も損傷し、右足底部の感覚が戻りきっていないことに加え、第4戦の中国GPで昨年損傷した左腕を再度骨折、万全とはほど遠い状態でのレースが続いた。

前半戦最後のドイツは昨年優勝を飾っている地だが、今年は8位に沈み、不本意なレースとなってしまった。「(中国の怪我以来)ここに照準を合わせてきたし、シーズンの折り返しでもあるだけに、よけいに悔しいです」と、レース後には無念そうに振り返った。この悔しさをバネに、後半戦、そして日本GPでこそ復活の表彰台を見せてほしいものだ。

ホンダスカラシップ2年目の青山周平は、後半戦が正念場だ。2年目のジンクス、という言葉そのままに、今季の前半戦は思い通りに運ばない苦しい戦いが続いた。だが、サマーブレイク明けは、昨年の実績でもトップ6以内で終えるレースがほとんどで、特に日本GPではワイルドカード参戦した05年にもフロントロースタートという実績を持つ。

シーズン後半のジャンプアップを狙うためにも、是非とも勢いのいい走りを日本の観客の前で披露してほしいところだ。

さて、MotoGPクラスでは、ホンダに移籍した中野真矢も予想外に苦しい戦いを強いられている。開幕以来、マシンが曲がらない、フロントが跳ねるという状態がなかなか改善されず、シーズン前半を終えてベストフィニッシュは10位が二回、と本来の能力とはかけ離れた「らしくない」リザルトが続いている。

USGPのレース後には、フラストレーションのたまるレースを終えて「次のブルノで、何かしら新しいパーツが来ることを期待します」と呟いたが、その希望がどうやら叶えられそうだ。ホンダレーシングコーポレーションは、サテライトチームに対してもサマーブレイク明けのブルノからパーツ投入等の水平展開を活性化させる模様で、それがいい契機になれば、中野のフラストレーションも解消し、ようやく本来の切れ味鋭い走りが復活する可能性も高い。

USGPでは、ダンロップタイヤを開発しながら参戦する玉田誠が今季ベストリザルトの8位でフィニッシュした。「フロントはフリープラクティスから、やや切れる傾向があったけど、今回はダンロップのリアがすごく良かったですね。グリップも最後まで保ったし、最後になってもまだタイムが出せるぞ、という余裕があった」と、ここまでの開発成果を結果に結びつけた恰好だ。

苦しい前半戦を戦い抜き、ようやく望むようなリザルトを手にして素直に喜びをあらわすチーム監督のエルベ・ポンシャラルの言葉を、最後に紹介しておこう。

「今日のマコトのパフォーマンスには、とても満足している。だからまず、マコトにおめでとう、といってあげたいし、チーム全員も本当によく頑張ってくれた。今季は苦しい戦いが続いたけど、このようなリザルトでサマーブレイクを迎えることができるのはいいことだと思う。次のレースでもこの調子で戦えると思うよ。シーズン後半の目標は、これまでどおり最善を尽くして戦うことさ。今日のレースで、私たちはトップ10圏内で戦えることをマコトは示してくれた。もてぎでは、ぜひともトップ5を狙いたいね」


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