| 西村章●取材・文 text by Akira Nishimura 竹内秀信●撮影 photo by Hidenobu Takeuchi |
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| 第51号(2006年9月27日) | |
【MotoGP】カピロッシの圧勝と、青山博一の涙──日本GP
カピロッシは昨年もここで優勝しており、さらにその前年まで溯れば、一昨年には玉田誠がポールトゥフィニッシュを演じている。ツインリンクもてぎは、ブリヂストン(以下BS)にとってまさに必勝コースで、3年連続の完勝は予定調和といってもいいほど、非の打ち所のない完璧な結果だった。 今回のレースはBSにとっては思惑どおりに事が運んだホームグランプリだったが、逆にホンダにとっては思惑から大きくはずれたレースとなってしまった。 2週間前のマレーシアGPで右膝を負傷したダニ・ペドロサが苦しいレース展開となることは予想範囲内だったとしても、ニッキー・ヘイデンのここまでの苦戦は予想していなかったにちがいない。スタートで出遅れてトップ集団から離された後に少しずつ順位を回復していったものの、それでも5位が精一杯という状態でチェッカーを受けた。ポイントランキングでは、なんとかトップの座を死守しているものの、レースでは2位にロッシ、3位にメランドリが入ったことにより、ポイントランキングで2番手以下との差を一気に縮められてしまった恰好だ。 第15戦を終えて、ヘイデン(236)、ロッシ(224)、メランドリ(209)、カピロッシ(205)、ペドロサ(202)という状態で、2番手に急浮上してきたロッシとの差は12ポイント。次戦エストリルで再びヘイデンが表彰台をはずして4位、ロッシが優勝という事態になればポイント差は0になる。そうなると、優勝回数ではロッシが勝るために、ランキングは逆転する。あるいはヘイデンが5位以下ならば、ポイントでも差が開く。 サマーブレイクが開けた12戦以降の展開を振り返ると、ヘイデンの成績は9位−4位−5位−5位。サマーブレイク以前の、悪くても表彰台を外さない走りが完全に陰を潜めてしまったようにも見える。一方のロッシは2位−優勝−3位−2位。この結果だけを比べると、ここ一番の集中力では、やはりロッシに分があるようにも見える。 チャンピオンを狙っているのは、もちろんこのふたりだけではない。日本GPで優勝したカピロッシが、雨で荒れたオーストラリアを除けば、優勝−2位−(7位)−優勝、という高水準を維持していることや、メランドリがこの2戦で優勝を含む連続表彰台でハイレベルな安定感を復活させつつあること等は、ヘイデンにとって間違いなく不安要素ではあるだろう。第16戦エストリルは、<ドゥカティ+BS>のパッケージにも相性が良く、最終戦のバレンシアで昨年優勝したのはメランドリだ。 シーズンも余すところあと2戦とはいえ、どんでん返しの回数は残されたレースの数だけ起こりそうな気配が漂っている。 ※ ※
レース前日には「今年は去年より厳しいレースになりそうですね」と語ったものの、決勝が始まると先頭集団で冷静に周回を重ね、最後は完璧なレースコントロールでトップチェッカー。ウィニングランでも全身で喜びを爆発させた青山は、第5コーナーでマシンを停め、派手にバーンナウトを披露した。今年4月、全日本選手権の開幕戦で、年長の親友・加藤直樹選手がレース中のアクシデントにより命を落とした場所だ。決勝の前日、「5コーナーで加藤さんも応援してくれているでしょうから、絶対に負けません」と語っていただけに、まっさきに加藤へ優勝を報告した。 それ以外にも、今回の青山は、胸中に期するものがいくつもあった。なかでも「KTMでは、ホンダ時代のような好結果は残せないだろう」という口さがない悪評には、なんとしても結果で自分の実力を見せつけてやりたい、という思いが強かった。表彰台の頂点で満面の笑みを浮かべながら国家を口ずさんでいた青山だが、様々な思いが脳裏に去来したとたん、一気に涙腺が弛んで泣き崩れた。 |









