| 西村章●取材・文 text by Akira Nishimura 竹内秀信●撮影 photo by Hidenobu Takeuchi |
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| 第44号(2006年6月9日) | |
【MotoGP】王者復活。そして残留決定──イタリアGP
イタリアGPが持つこの独特の雰囲気は、6月2日の共和国建国記念日がレーススケジュールに近いことも、無縁ではないように思う。というよりもむしろ、できるだけこの国民的祝日がレーススケジュールに絡むように、プロモーターやオーガナイザーが日程を調整している気さえする。今年の6月2日は金曜日。雨に降られるあいにくの天候だったが、それでもこの日だけで2万5000人の観客が来場している。 その観客の前でフリープラクティスが始まり、スペシャルカラーを施したヘルメットやツナギ、マシンでコースインしてゆくライダーたちの姿は、まさにイタリアGP名物といった趣も漂う。 今年登場した派手なコスチューム等をいくつか紹介しておこう。 ドゥカティは、予選でのノーマルカラーから一転、決勝日になってヘルメット、ツナギ、マシンのすべてを一新したスペシャルデザインで登場した。イタリアントリコロールを基調とし、自社のクラシックロゴを配したセンスは、さすがイタリアンブランドならではの恰好良さだ。エースライダーのロリス・カピロッシはドゥカティの本拠地ボローニャ出身、このムジェロサーキットはドゥカティのテストコースでもあり、彼らにとって今回はまさにホームコース、ホームグランプリだ。しかも、今年は会社設立80周年、バイク製作60周年、デスモドロミックバルブ機構開発50周年という節目の年でもある。これでお祭り気分にならないわけがない。 高橋裕紀が所属するヒューマンジェストレーシングチームは、「DRUGS OFF!(薬物はダメ!)」ステッカーを全ライダーがフロントスクリーン脇に貼って麻薬撲滅運動への賛助企画をアピール。以後全戦で、このステッカー貼付を続ける。また、イタリアの重機企業プラマックをメインスポンサーに持つ、ダンティンプラマックチームは、歴代ミスイタリアをパドックにずらりと並べ、モッツァレラチーズとワインで関係者を歓待するパーティを開催した。 今大会は多くの有名ゲストもサーキットに姿を現わした。125ccクラスのチームオーナーでもある、クラレンス・セードルフ(ミラン)、フリッツ・シュトロブル(五輪アルペンスキー金メダリスト)、ジャコモ・アゴスチーニらの姿はテレビ映像でも紹介されたが、なかでも最も大きな注目を集めたのはミハエル・シューマッハだった。ランディ・マモラの操縦するドゥカティ2シーターを堪能した“皇帝”は「すごいとしか言いようがないよ。僕が後ろに乗ってるのを忘れないように、走行中は何度かランディの背中を叩いたんだ。来週はシルバーストーンでレースだからさ」と喜色満面。 しかし、これら数々の華やかなイベントのどれよりも注目を集めたのが、バレンティーノ・ロッシの一挙手一投足だった。前週すでにF1移籍がないことを通信社経由で発表していたが、このレースウィークに入ると、改めて金曜には来季のヤマハ残留を公式発表。さらに土曜は恒例のムジェロ仕様スペシャルヘルメットで、話題と注目を一手に集めた。 決勝レースは、ともにスペシャルカラーを身にまとったロッシとカピロッシがコーナーごとにトップを入れ替える激しいバトルを展開した。ロッシがインを差すと9万人の観衆から大歓声がわき起こり、カピロッシが差し返すとふたたび大声援が地鳴りのように響きわたる。最後は僅差でロッシが勝利、今季2勝目で復活をアピールし、表彰台の上でふたりの地元ライダーはお互いの健闘をたたえ合って抱擁を交わした(写真)。 「今日のレースは、キャリアの中で最もタフだったかもしれない。ロリスとのバトルは、メーカーもタイヤも違うからマシンの挙動が読めなかったし、ラストでもうひとプッシュできるかどうか、勝てるのかどうかは最後までわからなかった。(とりあえず優勝してほっとしてるから)今日はチャンピオンシップのことは考えたくないな」 と流れる汗を拭いもせず一気にまくし立てたロッシは、最後に 「F1に行かないと決断したのは良かったと思うよ。今日みたいなレースなら、見てる人もきっと居眠りしなかったんじゃないの」 と言って、笑みを浮かべた。勝っても負けても話題の中心にいるロッシは、やはりスーパースターだ。 最後にひとつ情報を。来年からミサノサーキットがサンマリノGPとしてレースカレンダーに復活することが正式に発表になった。これで、イタリアでのグランプリは97年(イモラ、ムジェロ)以来の年2回開催となる。地元では、すでに気の早い人々が様々なイベントを企画しはじめているという。 |







