| 西村章●取材・文 text by Akira Nishimura 竹内秀信●撮影 photo by Hidenobu Takeuchi |
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| 第40号(2006年4月14日) | |
【MotoGP】ロッシ今季初勝利〜世代交代の波
カタールGPの決勝日はいつもと異なり土曜日に行なわれるが、そのレースを制したのは、前戦で14位に沈んでいた王者バレンティーノ・ロッシだった。深刻なチャタリングに悩まされ3列目9番手スタートに沈んだ開幕戦の決勝レースでは、オープニングラップの1コーナーで追突されて転倒し、そこから再スタートを切ったものの2ポイントを獲得するにとどまった。過去5年間、いずれも開幕勝利を収めていた王者がよもや今シーズンに限ってこんな波乱の幕開けを見せるとは、いったい誰に予想できただろう。開幕戦の翌日に行なわれた事後テストでは、05年モデルと乗り比べて、なぜ06年型に限ってチャタリングが発生するのかという問題の解明と対策を図り、課題は第2戦カタールへと持ち越された。 しかし、カタールでもチャタリングは完全には解消せず、その意味では完全に問題を解決したわけではなかったが、それでも「コントロールできる範囲内」の状態に押さえ込んで決勝レースを迎えた。ちなみに、この決勝レースでは、ヤマハ勢のタイヤはホンダと同じミシュランでもプロファイルの異なるものを履いていた。 6番グリッドからスタートした決勝で、ロッシは序盤からトップグループにつけ、中盤でトップに立つとラスト3周でスパートをかけて後続を引き離す、という王道の勝ち方で今季初勝利を挙げた。昨年第15戦オーストラリアGP以来4戦ぶりとなる勝利がよほど嬉しかったのか、ウィニングランでテレビカメラにキス、マシンをコースサイドに止めてフロントカウルにキス、と喜色満面。 「ラスト4周でニッキー(・ヘイデン)にパスされたけど、翌周に同じ場所でパス仕返すことができた。ラスト3ラップは100%の力を出し切って走ったよ!」 と、久々の勝利を噛みしめたロッシは、これで最高峰クラス54勝となり、ミック・ドゥーハンの記録に並んで歴代2位となった(ちなみに首位はジャコモ・アゴスチーニの68勝)。2位には6戦連続表彰台のヘイデン、3位は前回優勝のカピロッシが入った。前回MotoGPデビューレースでいきなり2位表彰台を獲得して世界中を驚かせたダニ・ペドロサは、6位でレースを終えている。 ところで、今大会で彼ら以上に大きな注目を集めていたのが、5位でチェッカーを受けたケーシー・ストーナーだ。 年齢はペドロサと同じ20歳。昨シーズンは250ccクラスランキング2位に甘んじたものの、今季からチームオーナーのルーチョ・チェッキネロとともに最高峰クラスへステップアップした。開幕戦は15番グリッドからスタートして6位でチェッカーを受けている。 第2戦は、飛行機の遅延等のトラブルで現地入りが遅れ、飲まず食わずで睡眠不足、しかも風邪が治りきっていない状態で初日のFP(フリー走行)30分前にサーキットに滑り込んだにもかかわらず、あっという間にトップタイムを刻んだ。翌日の公式予選では、フレディ・スペンサーに次ぐ史上2番目の最年少記録でPPを獲得し、この結果には周囲はもちろん、本人も驚きを隠さなかった。 「PPを獲ることができるようになるのは2、3年かかると思ってたから、すごくビックリした。経験のある人たちは決勝になったら速いから、目標はトップ6、ってところかな」 と、ソバカスだらけの顔で笑みを見せ、はにかんだような表情で抱負を述べた。 案の定、決勝レースは甘くなかった。 ホールショットを奪い序盤こそトップに立ったものの、最後は5位でレースを終えた。 「(燃料を消費して)タンクが軽くなってからはリアのグリップ感がなくなってきた。プレシーズンに充分なトレーニングをできなかったこともあって、10周を過ぎたあたりから足も痛み出したし」 というコメントにデビュー2戦目の若さが滲み出ている。優勝したロッシが 「レース後半はすごく厳しい戦いになったけど、タイヤが消耗して滑りまくるような状態でバトルをするのは、僕たちにとってはフツーのことだしね」 と平然と語る余裕との差に、経験の開きがはっきりとあらわれている。 とはいえ、世代交代の波は確実に押し寄せている。前戦でのペドロサに続き、今回の彼の活躍でその印象はさらに強くなった。ちなみに、ロッシが最高峰クラスで初勝利を挙げたのは21歳、ステップアップ後9戦目のレースだった。若いふたりにその頃の自分の姿を重ね合わせて、ロッシはどんなことを考えるのだろうか。 |








