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西村章●取材・文 text by Akira Nishimura
竹内秀信●撮影 photo by Hidenobu Takeuchi
第38号(2006年3月14日)
【MotoGp】シーズンプレビュー〜日本人ライダーの今季展望

 いよいよ3月26日から06年のMotoGPがスタート。今年は3クラスに計7人の日本人選手が参戦する。IRTA(International racing Team Association)主催のプレシーズン合同テストも終了し、開幕戦までカウントダウンに入った現在、各クラスの概況と日本人選手の動向を整理してみよう。

[MotoGP]
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 YZR−M1+バレンティーノ・ロッシ(キャメルヤマハ)という最強の組み合わせは今年も健在だ。雨のカタルーニャテストではチームメイトのコーリン・エドワーズが最速タイムを記録し、ダンロップタイヤを履くカルロス・チェカ(Tech3ヤマハ)も好パフォーマンスを披露した。雨でよし、晴れでよし。ミシュランでよし、ダンロップでよし、というポテンシャルを持ったマシンと、その性能を十全に引き出すロッシのコンビネーションは、やはりダントツのチャンピオン候補と言わざるをえないだろう。

 ダニエル・ペドロサをワークスに抜擢するなどして一気に若返りを図り、ヤマハへの捲土重来を期するホンダ勢は、新たにエースライダーとなったニッキー・ヘイデン(レプソルホンダ)が様々なパーツを試しながら開幕戦に備えている。また、昨シーズン終盤に2連勝を上げたマルコ・メランドリ(フォルトゥナホンダ)を、ロッシは最もマークしているともいう。

 このホンダ勢の中で、昨年の雪辱に燃えているのが玉田誠(コニカミノルタホンダ)だ。昨シーズンは手首の骨折もあり、ランキング11位に沈む最低最悪の一年となったが、今季はプレシーズンから様々なトレーニングにも積極的に取り組んだ。
「ダートトラックで走り込んだ効果で、リアブレーキの使い方が今まで以上に丁寧になった。荷重移動も、より細かくできるようになりました」

 もうひとりの日本人選手、ブリヂストンタイヤを履くカワサキの中野真矢はカタルーニャテストの2日目に3番手タイムにつけた。気温が上がらなかったのでタイヤの正確な評価は難しい、と留保をつけたものの、それでも全体的な仕上がりは上々のようだ。
「今までのIRTAテストより充実していて、濃い内容のテストができました。逆に言えば、この時期にせめてこれくらいの上位につけていないと、シーズンを戦っていくのは厳しいですからね」

 本来、ライダーの技倆はトップクラスという評価の高い選手だけに、マシンの仕上がり次第では上位陣を脅かす存在となる可能性も十分に考えられる。

 欧州と比べて、日本では特に2輪モータースポーツの人気が振るわないと言われて久しい。しかし、彼らの活躍次第では日本国内での関心も向上していくだろう。
「ここ数年は特に、(MotoGPクラスの日本人は)僕と中野君しかいないけど、ふたりでトップ争いをしてれば当然面白くなると思うし、みんなも注目してくれる。まずは日本人がどんどん活躍しないと。表彰台に上がり続けることは、絶対に必要ですね」
 玉田の覚悟は、今年こそ現実になるだろうか。

[250cc]
 テストの仕上がりを見る限りでは、アプリリア勢が圧倒的に速い。特に、ホルヘ・ロレンソ(フォルトゥナアプリリア)、エクトル・バルベラ(同)、アレックス・デ・アンジェリス(マステルMVAアスパル)といったワークス勢が安定した速さを見せている。アプリリア勢の中でも日本人選手の関口太郎(カンペテッラレーシング)は、昨年仕様のワークスマシンという話もあったが、チーム事情により、現在はまだ微妙な状態のようだ。

それでも、
「アプリリア二年目だから、今のマシンでもガンガン行きますよ」
 と気迫に燃える関口にチーム2ちゃんねるが応援歌を作成するなど、“たろさ”を後押しする応援は、今年もまた話題を集めそうだ。

 ホンダ勢では、スカラシップ2年目の高橋裕紀(ヒューマンゲストレーシング)が順調な仕上がりを見せている。
「今は、自分でも先が無限にあるような気がしています。今年はチャンピオン争いをしたいですね」
 そう語る高橋は、ヘレステストでも早速、ホンダ勢のトップタイムを記録、1年目に学習した経験を生かして、着実に自信をつけてきている。今季こそ、表彰台争いに加わる高橋の姿が見られそうだ。

 一方、昨年でスカラシップを終えた青山博一は、KTMに移籍した。
「去年から250ccに参戦したといっても、新しいできたばかりのバイクなので、現状はそんなに簡単ではないでしょう。ただ、ワークスチームなので仕事は早いし、技術者たちのレベルも高い。とにかく今は、もっと距離を走り込みたいですね。その中で自分自身のレベルも上げていって、後半戦には優勝争いができるレベルに持って行きたい」

 あえてホンダを去る道を選択した青山博一と入れ替わるように、今シーズンは弟の青山周平がスカラシップを獲得してホンダワークスチーム入りを果たした。

 全日本時代は圧倒的な速さでチャンピオンを獲得した周平は
「テストでもGP選手はタイムをどんどん積み上げてあっさり更新していくけど、自分にはそれがまだできていない。自分自身も変えていかなくてはいけませんね」
 と、早速グランプリの洗礼を受けた格好だ。しかし、スポット参戦した昨秋の日本GPではGP選手を食う走りも披露しており、今季の成長次第では一気にトップ争い、という未知の可能性も秘めている。

[125cc]
 05年チャンピオンのトマス・ルティ(ホンダ)や、昨シーズン彼と最後までチャンピオン争いを演じたミカ・カリオ(KTM)、ランキング4位のマティア・パシーニ(アプリリア)らが好調な仕上がりを見せている。ただし、ルティはカタルーニャでのIRTAテスト終了直前に転倒、鎖骨を骨折したために、開幕直後の数戦は微妙な状況だ。

 昨年の終盤戦で立て続けに表彰台にあがり、クラス内でもトップの実力を持つことを証明した日本人選手の小山知良は、チーム体制こそ昨シーズンと変わらないものの、マシンはホンダからマラグーティへと変更になった。ヘレスで行なわれた最終テストでは深刻なチャタリングに悩まされている。
「新しいコンロッドも試してみたけど、あまり良くなかったのでエンジンはもとの仕様に戻しました。チャタも、スイングアームを変更したりエア圧を変えたり、いろいろやってみたけど現状では解消されていない。タイヤを少し細いものに変えれば良くなるかもしれないので、開幕戦はその問題に取り組むところからはじめます」
 という言葉からも伺えるとおり、マシンポテンシャルがどこまで小山の要求に応えることができるか、が今シーズンの鍵になりそうだ。

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