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西村章●取材・文 text by Akira Nishumura
竹内秀信●撮影 photo by Hidenobu Takeuchi
第36号(2006年2月1日)
【MotoGp】シーズンプレビュー〜ダニエル・ペドロサへの期待

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 1月23日からの3日間、マレーシアのセパンサーキットで行われた恒例のプレシーズン合同テストで、ダニエル・ペドロサが前評判にたがわない素晴らしい能力を見せた。

 関東地方の降雪で成田空港の運行スケジュールが大混乱となった日本同様、欧州でもこの時期は一年のうちで最も冷え込む極寒の季節だが、マレーシアはいつもと同じく強烈な日射しで、気温も30度を軽く上回っている。ほんの数時間前まで厚手の上着を着こんで東京の街を歩いていたことがまるで嘘のようで、真上から照りつける太陽の光がサーキットの路面をじりじりと灼いている。

 今回のセパンテストで最も注目を集めていたのは、例によってバレンティーノ・ロッシだ。特に今回は、06シーズンのメインスポンサーとなるキャメルヤマハの黄色いカラーリングが発表されたために、多くのカメラマンたちがピット前に蝟集した。数年前からテスト時にも開放されるようになったプレスルームには、ロッシの一挙手一投足を追いかけようとやってきたイタリアのジャーナリストたちの姿が目立つのも、いつものとおりだ。

 そんななか、あるスペイン人ジャーナリストがつかつかと歩み寄ってきてこんなことを言った。
「うちの雑誌で、今季、ダニエル・ペドロサがどれだけ活躍できるかについて各国のジャーナリストから簡単なコメントを貰ってるんだけど、協力してくれる?」

 どの国のメディアも、自国の選手に注目し、応援するのは当然の話だ。しかし、3年連続で王座を獲得(03年125cc、04〜05年250cc)し、満を持してMotoGPクラス、しかもトップワークスのレプソルホンダへステップアップを果たしたペドロサの場合は、世界中のメディアやファンから“次世代のMotoGP界を担うエース”“打倒ロッシ候補”として熱い注目を集めている。

 繊細なマシンコントロールとクレバーなレース戦略はロッシのそれと比較されることも多く、このふたりが競えばいったいどうなるのかはスペイン人ならずとも気になるところだ。ただ、ペドロサの場合は50kgにも満たない体重と小柄な体格で、果たしてMotoGPのモンスターマシンを充分に操りきれるのか、という指摘も多い。その不利を克服するために、体力増強プログラムにも取り組んでいる。

 MotoGPマシンに順応するために走り込みに徹した11月下旬のセパンテストでは、最終日にホンダ勢で最速となる2分02秒770に到達し、早くも才能の片鱗を伺わせたが、今回のテストでは、初日から高い水準の走りを披露した。ライディングポジションを合わせ、マシンへの順応に徹した一日目は65周を走行し、全体でも4番目となるタイムを記録。翌日は夕方から降雨に見舞われたものの、その条件下でもウェットテストを行って合計58周。ドライコンディションでのベストタイムは前日を上回った。最終日は、13周のセミロングランなどのメニューを消化して77周を走り、ベストタイムは全体で四番目となる2分01秒56に入れた。このベストラップもさることながら、特筆すべきはセミロングランで9周連続して高い水準のタイムをキープしたことだ。

 HRCの石井勉総監督も、この内容には
「さすがダニはいい仕事をするな」
 と笑みを浮かべる。
「今後、マシンもどんどん煮詰まっていくし、ライダーもライディングスタイルを煮詰めて腕を上げていく。その意味で、スタートとして今回の結果は悪くないですね」

 課題は、シーズンがはじまったときに、この高レベルの走りを決勝レースのバトルで維持できるかどうか、だ。

 ところで、冒頭に紹介したスペイン人記者の質問は以下のようなものだった。
「ダニは、MotoGPクラスでも充分に戦えると思うか?」
「今季、表彰台を獲得することは可能だろうか?」
「シーズン終了後のランキングは何位だと予想する?」

 これらの質問に対する回答は以下のとおり。
「体格的には確かに不利だと思う。でも、彼なら技術とクレバーな戦略でかなりの部分をカバーできると思う。レギュレーションが変わる来年以降については、今年ほどの不利にはならないかもしれない」
「シーズン後半戦になれば、表彰台を獲得する可能性は充分にあると思う」
「ルーキーオブザイヤーは間違いナシ。ランキングは、安定してシーズンを戦うことができれば4位か5位もあり得る」

 多少のリップサービスも込めて答えたつもりなのだが、さて、あなたなら、はたしてどう回答するだろうか。

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