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川喜田研●取材・文 text by Ken Kawakita
桜井淳雄●撮影 photo by Atsuo Sakurai(BOOZY.CO)

第60号(2007年10月12日)【F1】タイトル争いは最終戦ブラジルへ〜中国GP

決戦はサンパウロ!

驚異の新人、ルイス・ハミルトンでほぼ「決まり」と思われた今シーズンのチャンピオン争いが先週の中国GPで急展開! ハミルトンがまさかのリタイアでノーポイントに終わり、フェラーリのキミ・ライコネンが優勝!

フェルナンド・アロンソも2位入賞を果たした結果、ここまでの総合ポイントがハミルトン107点、アロンソ104点、ライコネン100点となり、1986年以来、実に21年ぶりで3人のドライバーがタイトルをかけて最終戦に臨むこととなった。

上海の予選でもポールポジションを獲得し、今季のチャンピオンをほぼ手中にしたかに見えたミルトンだったが、レースでその足をすくったのは「雨」。とはいえ、富士でアロンソのリタイアを招いたような「豪雨」ではなく、「降ったり止んだり」の微妙なコンディションが重要な場面でチームの判断ミスを招いてしまったのだ。

天候が基本的には回復へ向かい、路面が徐々に乾いていく状況で「いつタイヤをウエットタイヤからドライタイヤに交換するのか?」「本当にこの先、雨は降らないのか?」トップグループを形勢するハミルトン、ライコネン、アロンソの3人がお互いけん制しながら、タイヤ交換のタイミングを見計らう中、マクラーレンはハミルトンのピットストップを引っ張りすぎた。

結果、彼のタイヤは磨耗の限界を超えてしまっていたのだ。冷静なマクラーレンには珍しい、致命的なミス。31周目、ズルズルのタイヤでようやくピッとレーンに向かったハミルトンは、あろうことか、ピットロードの入り口でコースを飛び出し、グラベル(コース脇の砂利)に足を取られてスタック。

4本中3本のタイヤが完全に磨耗しきって内側のベルトが露出していた状態を見れば、あれをハミルトンのミスと言うのはさすがに酷だろう。中国GPでもチームへの不満をぶちまけていたアロンソの「怨念」がマクラーレンのチーム内に異様な緊張感をもたらし、大事な局面で判断ミスを誘った……。そうとしか考えられない、チームの初歩的なミスだったと思う。

いずれにせよ、これで勝負は最終戦サンパウロへと持ち越された。しかもハミルトンがノーポイントに終わった結果、事実上、タイトル争いの権利はなくなったと思われていたフェラーリのライコネンもトップから7点差と、計算上は逆転可能圏内となり、ハミルトン、アロンソと共に三つ巴の決戦である。

中国GP後「可能性が残ったとはいえ、逆転は難しいと思っている。よほど荒れた展開にならない限りはハミルトンが有利だ」というアロンソだが、上海の週末が証明したように「レースは何が起きるか分からない」。

ちなみに86年の最終戦、オーストラリアGPではその時点でランキングトップだったウイリアムズ・ホンダのナイジェル・マンセルがタイヤバーストでリタイアに終わり、チームメイトのネルソン・ピケも予定外のピットインで2位。総合ランキング2位につけていたマクラーレンのアラン・プロストが「ウイリアムズ・ホンダ有利」の予想を覆して、逆転でこの年のチャンピオンに輝いている。

また、今年の最終戦のブラジルGPには、今季、ヨーロッパでGP2シリーズに参戦していた中嶋悟の長男、中嶋一貴がアレクサンダー・ブルツに代わってウイリアムズからF1デビューを果たすことも決定! クライマックスを迎えたチャンピオン争いと共に、日本のF1ファンにとっては目の離せない一戦となりそうだ。


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