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川喜田研●取材・文 text by Ken Kawakita
photo by toyota

第55号(2007年3月20日)【F1】2007シーズン開幕〜オーストラリアGP

いやぁ、ホントに面白かったぁ……なんていきなりシロートみたいな感想で申し訳ないのだが、F1開幕戦、オーストラリアGPのレース直後の気持を素直に表現すると、ともかく「面白かった」の一語に尽きる。一時代を築いたシューマッハ引退後の「新しいF1グランプリの地図」をメルボルンの1戦はハッキリと映し出してくれていたと思う。

圧倒的な強さで初戦を制したのは、フェラーリ移籍初レースとなったキミ・ライコネン、「無線が故障して最初から使えなかったけど、全て予定どおりだから大きな問題はなし、クルマは最高だったから全くプッシュしなくても楽勝だったよ!」と憎たらしいばかりのコメントがシューマッハの跡目を次ぐに相応しい。

一方、マクラーレンで2番手に付けたディフェンディングチャンピオンのアロンソも「今日のところはフェラーリが速すぎたから2位で最大限のポイントが取れれば満足」とこちらもおなじみの冷静さで王者の風格を感じさせるが、さらに衝撃的だったのが、そのアロンソをスタート直後の1コーナーでぶち抜き、42 周目まで背後に従えて走り続け、デビュー戦でいきなり3位表彰台に上がったマクラーレンのルーキー、ルイス・ハミルトン。

F1初の黒人ドライバーとして注目を集めるハミルトンだが天性のスピードといい、度胸といい、冷静な判断力といい、その実力はうわさ以上! 事前の予想では「ライコネンとアロンソの一騎打ち」という見方が強かった今シーズンのチャンピオン争いだが、ルーキーのハミルトンがその展開に大きな影響を与える事は間違いなさそうだ。

まだ1レースしか終わっていないので、まだまだ流動的な要素もあるけれど、今のところはフェラーリがダントツで抜け出して、その後ろにマクラーレンが付ける2強構造。その後ろにBMWとルノーが着けて、ここまでの4チームが大きく分ければ第一集団。一方、その後ろの中段グループは大混戦で、この中にトヨタ、ホンダ、スーパーアグリの日本勢3チームも入っている。

ちなみに、日本系の話題として今回のメルボルンで最も注目を集めたのは、もちろん、琢磨が予選でトップ10に入り込んだスーパーアグリの大躍進だが、冬のテストでかなり苦しんでいたように見えたトヨタが、ここにきてようやく復活の兆しを見せ始めていることも明るい話題のひとつだろう。これだけ競争が厳しくなっている中で予選ではヤルノ・トゥルーリが8位ラルフ・シューマッハが9位と2台揃ってトップ10圏内に入り、レースでもラルフが8位入賞で貴重な1ポイントを獲得! ヤルノ・トゥルーリも9位で完走しており、2台揃ってキッチリと完走。様々な不安要素が伝えられた今シーズンの日本系チームだが、いざフタを開けてみれば、トヨタの2台が最も安定した成績で初戦を終える結果で、今後に期待をつなげたといえるだろう。

トヨタといえば金曜日のフリー走行1回目にウイリアムズ・トヨタのテストドライバーとしてデビューした、「ナカジマJr.」こと、中嶋一貴の走りも良かった。記念すべきF1デビューがウエットコンディション。ウイリアムズで行った去年の冬のテスト初日や、富士スピードウェイでのデモランも雨と、ウエットコンディションで速かったお父さんとは別の意味で「雨のナカジマ」になっているのが面白いが、初めて走るメルボルンのコースで、最終的には総合6番手タイムをマークする大健闘!

「別に緊張とかしなかったですねぇ……」とこんな大舞台にも舞い上がることなく、マイペースで淡々と結果を出すあたりは、まさに新世代ドライバーの象徴!100点満点のデビューだった。


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