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川喜田研●取材・文 text by Ken Kawakita
第52号(2006年10月18日)
【F1】様々な「見納め」のあるブラジルGP

 長かったシーズンもいよいよ最終戦、2006年F1を締めくくるべく地球の裏側、ブラジルまで30時間の空の旅(乗り継ぎ含む)に行ってきます。

 サンパウロで見たいもの。まずはミハエル・シューマッハ「最後のレース」。予想もしなかった鈴鹿のリタイアで、アロンソとのタイトル争いに関しては、ほぼ、勝負あったという感じだが、仮にシューマッハがブラジルGPで優勝し、アロンソがリタイアか8位以下で無得点だと「奇跡の逆転」もアリなので、完全に「消化試合」とも言えないところがミソ。もちろん、逆の見方をすればアロンソは1ポイントでも獲得できればチャンピオン決定なワケだから精神的にはかなり楽な状態で戦えるわけだが、大切な鈴鹿のレースでシューマッハが6年ぶりのエンジントラブルに見舞われたように、レースでは何が起こるか分からない……。


 また、タイトル争いをヌキにしても、シューマッハとすれば15年間のF1生活を締めくくるフィナーレとして、何としてもアロンソを倒して、優勝で花道を飾りたいはずで、一方のアロンソも最後にシューマッハを倒して次の時代のリーダーたらんとする気持ちは同じだろう。フェラーリとルノーという成熟したマシンとチームの争い、ブリヂストン対ミシュランの最後のタイヤ戦争、その上に乗っかった新旧ふたつの時代を象徴するドライバーによる、これほどレベルの高い戦いはそう滅多に見られるモノじゃない! ひとりのレースファンとして、その景色を自分の目にしっかりと焼き付けてきたいと思う。

 それ以外にも今回のブラジルGPには「これが見納め」という案件がイロイロとある。ここ数年のF1で勝負を分ける大きなキモとなってきた、タイヤ戦争の一方の雄、ミシュランは今季限りで撤退。来年からはブリヂストンのワンメイク供給となるので、F1の見え方は随分と変わってくるだろう。


 ドライバーという点で言えば、アロンソは2006年からマクラーレンに移籍し、マクラーレンのエースだったライコネンはシューマッハの後釜としてフェラーリに乗る。このところいまひとつピリっとしないマクラーレンをアロンソが立て直せるのか? シューマッハ中心で成り立ってきたフェラーリの結束をライコネンが維持できるのか? というマジメな興味はもちろん、ブルー&イエローのイメージが完全に定着しているアロンソのマクラーレン姿も、別名「アイスマン」と呼ばれるライコネンのフェラーリ姿も、今はまだ想像しにくいというのが正直なところ……。それに「見た目」という意味ではルノーからはマイルドセブンが消え、マクラーレンは来季からボーダフォンがメインスポンサーになるみたいだし、ホンダからもラッキーストライクが外れるので、マシンのカラーリングも一新されるはず。マシンに一切、ロゴは使用しないものの、引き続きマールボロからの資金提供を受けるフェラーリを唯一の例外とすれば、ほぼ「脱タバコスポンサー」が完了するというのも、長いF1の歴史の上ではひとつの節目となる。


 ミハエル・シューマッハの引退と共に、大物ドライバーの移籍、タイヤ戦争の終焉、そして新たなスポンサーの参入……と大きな地殻変動が巻き起こり、来シーズンのF1は今年と大きく様変わりしたものになっているはずだ。だからこそ、ひとつの時代の終わりを見届けるため、30時間もかけて遥かサンパウロまで飛んでゆくのである。断っておくが、決してシュラスコをたらふく食べに行くのが目的ではないので誤解のないように!

「コレが見納め」のオンパレード、最終戦ブラジルGPで何が待っているのか? 日本でテレビ観戦するみなさんも、ぜひ、この「時代の節目」をしっかりと目に焼き付けておくよーに!

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