| 川喜田研●文 text by Ken Kawakita 桜井淳雄●撮影 photo by Atsuo Sakurai(BOOZY.CO) |
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| 第42号(2006年3月17日) | |
スーパーアグリF1、完走デビュー──バーレーンGP
うーん、本当に良かった、失礼かもしれないけれど初戦からレースを完走できるなんて、思ってもみなかった。とくに佐藤琢磨は金曜日のフリー走行2回、土曜日朝のフリー走行と午後の予選、そして日曜日の決勝レースとバーレーンの週末の全セッションで一度もマシンを止めることなく、キッチリと走りきった。考えてもみてほしい、スーパーアグリF1が今回走らせたSA05は2006年用の空力パーツが完成してからイギリスのシルバーストンでたった3周(しかも雪の中!)しただけで、開幕戦へと送り出されたマシンなのだ。 クルマだけじゃない、F1未経験者も多いメカニックがピットストップやレースを想定した給油作業を行なうのも、今回が実質的に初めてだし、そのメカニックが着るユニフォームはもちろん、スタッフ全員分の無線機すら初日の段階では揃っていないという状況だったのだ! F1マシンというのは、けっこう厄介なシロモノなので、トップチームでも新車のテスト初日はトラブルで「マトモに走らない」なんてコトはザラにある。それを考えれば今回のスーパーアグリはマシンが現地に届いただけでも上出来、普通にちゃんと走れば万々歳、決勝レースのグリッドに最後尾でもいいから並べれば100点満点……ぐらいの気持ちで見なきゃいけない状態だった。 それが、トップから4周遅れとは言え、キッチリとレースを走りきって見せたのだ。上位陣のマシンと比べると1周4秒近くも遅いマシンで、後ろからバンバン抜かれまくる……という辛い状況の中で走らなければならなかった琢磨が、それでも「完走できてホントに良かった! 素直に嬉しいですよ」と笑顔を見せるのも当然だろう。琢磨自身「何が起きても驚かない……」ぐらいの覚悟でこのレースに臨んでいたはずだからだ。
「リタイアしてピットに戻ったらメカニックがみんな喜んでいて“おまえ、タクマに近いタイムだったぞ”って言うんですよ、まぁ、予選では(琢磨に)2秒以上も離されちゃったんで、仕方ないって言えばそうなんですけど、ああ、俺って信用されてなかったんだなぁ……って逆にヘコんじゃいましたよ」とレース後の井出。 無線機の故障が原因でスタート時のメカニック退避が遅れ、井出がいきなりペナルティを食らったり、給油機のトラブルで琢磨が結果的に5ストップを強いられ、井出にいたっては10分近くもピットに留まらなければならなかったりと、確かにドタバタも多かった開幕戦のスーパーアグリだが「序盤の数戦はテストだと思ってやるしかない」と鈴木亜久里代表も語っているように、ともかく今はすべてが勉強の段階。今後もひとつひとつの結果よりも、ヨチヨチ歩きのチームが一歩一方成長していく姿を、応援しながら見守りたい。 一方、レースの方はこれまたシーズン前の予想以上に充実した内容だった。とくに大きいのはフェラーリとシューマッハの復活で、優勝こそアロンソに譲ったとはいえ、シューマッハが予選でポールポジションを獲得。フェラーリのマシンが決勝でも終始、トップレベルの戦闘力を見せたことで、2006年シーズンに対する期待はこれまで以上に高まった。 事前の予想通り、ルノーの強さは印象的だが、信頼性に不安を抱えるものの、今年もトップレベルの速さを感じさせるマクラーレンと、ホンダのミシュラン勢3チームに、ブリヂストン勢のフェラーリを加えた4チームがトップ集団を形成。開幕戦を見る限りこれにウイリアムズを加えた5チームにはかなりのチャンスがあると見てもよさそうだ。 心配なのは同じブリヂストンタイヤを履きながら、信じられないほどの大不振に陥っているトヨタ……。フェラーリとウイリアムズの好調さを見れば、今年のBSタイヤが高い戦闘力を持っていることは明らかだが、バーレーンのトヨタはその性能を全く引き出せずに苦しんでいた。出来るだけ早く、その原因を突き止めないと、チーム全体が大きな混乱に陥る可能性も否定できない……。 |








