| 川喜田研●文 text by Ken Kawakita 本田雄士●撮影 photo by Takeshi Honda |
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| 第41号(2006年3月9日) | |
スーパーアグリF1、開幕戦へ!
琢磨がBARのシートを失った去年の10月は単なる「ウワサ」の段階、亜久里がF1チーム設立プロジェクトを発表した11月の時点では「実を言うと資金的なメドすら立っていなかった」(鈴木亜久里代表)という危うさで、その後、12月にFIAへのエントリー申請を却下された時には正直、「危うい」から「危ない」に警戒レベルをひとつ上げざるを得ないほどの綱渡り状態だったから、「何とかココまで辿りついた……」というのは亜久里代表自身はもちろん、僕たちメディアやファンを含めた関係者多くの実感だろう。 「ホントに間に合うのか?」と心配されたマシンのほうも、とりあえず4年落ちのアロウズに新型ホンダV8をドッキングして新しいボディカウルをつけただけの暫定版ではあるが、何とかバーレーンGPに2台のマシンを揃えることができた。 いや、実を言うとそんなに心配する必要はなかったのかもしれない。表向きは鈴木亜久里個人のプロジェクトということになっているスーパーアグリF1だが、現実にはエンジン供給はもちろんのこと、技術面、資金面ともにホンダの支援なくしては成り立たない「ホンダ第2チーム」としての性格を持ち合わせていることは今や公然の秘密。あんまり品のいい言い方じゃないかも知れないが、スーパーアグリF1はホンダの「隠し子」みたいなチームなのだと考えたほうがいいのである。 もちろん、ホンダにはBARを買収して今年からワークスチームとなった「ホンダレーシング」というれっきとした息子がいるわけだから、「スーパーアグリ」をそれと同等の扱いにするわけにもいかない。実際、亜久里のチームは予算も少なく、規模だってF1の世界では例外的に小さいわけだが。曲がりなりにもスーパーアグリが公式に「参戦します」と宣言した以上、親であるホンダのメンツにかけても「結局計画は頓挫しました」とか「間に合いませんでした」で済むはずがない。子供たちの生死に関わるピンチではホンダが資金、技術の両面で相当の援助を差し伸べたことは想像に難くなく、「客観的に見れば危なく見えたけど、実はホンダという保険が掛かっていた……」というのが、スーパーアグリF1を取り巻く、ここ数カ月の現実だったのかもしれない。 だが、だからといって安心していられるほど状況が甘くないというのもまた、スーパーアグリF1が直面するもうひとつの現実でもある。冒頭に書いた「ココから先が……」というヤツだ。とりあえず間に合ったとはいえ、新しいボディカウルと2台目のシャシーは「シルバーストンで3周しただけ」(佐藤琢磨)でバーレーンへと送られてきた。旧アロウズを中心に各方面から「寄せ集めた」メカニックやチームスタッフは、レースシミュレーションを行なうどころか、ピットストップの練習すらろくにできないまま、いきなり本番のGPに臨むことになる。それに、これまで4年間のF1経験がある琢磨はまだしも、ルーキーの井出有治はバルセロナでたった1日テストを経験しただけで、いきなりの開幕戦だ。 新チームのすべての要素は文字通り「とりあえず間に合った」だけであって、「戦うレベル」からは程遠い状態。オリンピックですら「参加することに意義がある」なんて言葉はとっくの昔に化石となっているのに、亜久里のチームは当面「出るだけで精一杯」のレベルを覚悟しなければならないのだ。 3月5日の体制発表会でも「今シーズン、特にシーズン序盤は本当に厳しい戦いになるとふたりのドライバーにも言ってあります」と何度も強調していた亜久里。ドライバーも含めてチームに直接関わる当事者たちが今の厳しい状況は一番良く理解しているに違いない。だが、それを見るほうはどうだろう? どんなに「シーズン序盤は苦戦を覚悟」と予防線を張られても、それを実際に目にするまでは、あまり実感が沸かないかもしれないなぁ……とちょっと心配になってくる。 いやホント、大変ですから! 開幕戦のバーレーンは、本当に何が起きてもガッカリしないぐらいの覚悟でテレビの前に座るようにしてください。で、そんな状況がしばらくは続くことも覚悟しておいてください。大丈夫、ホントはホンダの第2チームなんですから、このチームがそのまま落ちぶれてホームレスになったりするハズはありません。きっとお父様が何とかしてくださいますって! ただ、それにはソレ相応の時間が掛かるということ。ユメユメ「なーんだ、スーパーアグリってこんなもんか!」とか言ったりしないようにね。 |







