SpecialColumn MOTORSPORTS
川喜田研●文 text by Ken Kawakita
池之平昌信 photo by Masanobu Ikenohira
第40号(2006年2月2日)
「スーパー・アグリF1」参戦決定!

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 遅れに遅れていたスーパー・アグリ・フォーミュラ1のエントリーが1月27日、ようやくFIA(国際自動車連盟)から承認された。

 筆者がチーム代表の鈴木亜久里氏にインタビューした昨年12月末の時点で既に全参加チームの同意を取り付け、ネックとなっていた新規参入のための供託金の準備も整ったと聞いていたため、年明け早々にもエントリーが認められると思っていただけに、ここまで正式発表が遅れたことは正直、予想外だったが、昨年2月に計画が動き出して以来、これまでに2度も大きなパートナーを失うなど、このプロジェクトが乗り越えてきた数々の障害を考えればこの程度のことは想定の範囲内というべきなのだろう。

 とはいえ、エントリーが認められなければドライバーやスポンサーの正式契約も動き出せない上、3月のシーズン開幕まであと1カ月少々という時期を考えると、年明けからの1カ月がとてつもなく長く感じられたのも事実。チームの正式誕生を目前にして「分娩室」の前では多くの関係者がヤキモキしながらこの日を待っていたに違いない。

 いずれにせよ、こうしてスーパー・アグリF1は今季からの参戦に向けた最大の関門を切り抜けた。エントリー承認待ちで止まっていた様々な案件がこの1、2週間で一気に具体化していくことになるはずだ。

 エントリーに関する事務手続きでは少々手間取ったが、この間も2006年のF1参戦に向けた準備も着々と進められている。イギリスのリーフィールドに設けられたチームの本拠地ではアロウズから買い取った4年落ちのマシンを改造し、今シーズンの規定に合わせて改造する作業が進められているが、これはあくまでも開幕数戦に間に合わせるための暫定用マシン。一時検討されていた昨年型のBARをV8エンジン用に改造して使用するというアイディアはレギュレーションで認められない公算が大きくなったため、チームでは現在、完全なニューマシンを平行して開発中でホンダからも車体開発のアドバイを受けながら、早ければ5月のモナコGPにもこのマシンを投入する予定だという。

 また、ドライバーについても佐藤琢磨の契約は確実だが、そのチームメイト候補には昨年、フォーミュラ・ニッポンに参戦していた井出有治や山本左近など数名の日本人ドライバーの名前が挙がっており、特に井出は1月中旬に渡英してシート合わせを行なったということだから、日本人ドライバーふたりの組み合わせになる可能性が高いと見ていいだろう。「ニッポンの夢」を背負って闘いたいという鈴木亜久里代表だが、仮に日本人ドライバーふたりの組み合わせが実現すればもちろんF1史上初。大きな注目を集めることは間違いない。今季使用するタイヤもブリヂストンに決まり、チーム、ドライバー、エンジン、タイヤのすべてがオールジャパン体制となる。

 もちろん、こうした「夢」の部分の裏側でこの新チームを取り巻く「現実」がまだまだ厳しいものであることも忘れてはならないだろう。絶対的に不足する時間の中で、しかもごく小規模な新チームにトップレベルのパフォーマンスを期待することは難しい。古いアロウズを使用するシーズン序盤だけでなく、正直、ニューマシンを投入予定のヨーロッパラウンド以降も弱小チームとして最後尾集団を走リ続ける可能性が高いだろうというのは、関係者の一致した見方でもある。

 オールジャパン体制での参戦で一時的に高まるであろう注目と、その後の成績という現実のギャップをチームが、そして誰よりも日本のファンがどう受け止めるかが、このチャレンジの将来と「価値」を決めることになるはずだ。厳しい戦いの向こうに日本のファンがどれだけ辛抱強く「夢」を抱き続けることができるか?スーパー・アグリF1の未来はある意味、この1点にかかっている……。
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