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浅田真樹●文 text by Masaki Asada
photo by Daiju Kitamura/AFLO SPORT

第56号(2008年6月6日)【五輪代表】トゥーロン国際で4位〜突きつけられた世界との差

U−23代表の北京五輪前哨戦は、晴れのち曇り、ときどき雨、といったところだろうか。グループリーグを2位で突破し、準決勝に進出したものの、最終的には4位という成績でトゥーロン国際トーナメントを終えた。

準決勝では、優勝したイタリアに0対0の末(延長なし)、PK戦で敗れ、3位決定戦でも、コートジボワールを相手に一度は2対1とリードしたものの、ロスタイムに追いつかれ、再びPK戦で敗れた。

いずれもPK決着による敗戦で、90分間の結果で言えば、2引き分けである。だが、試合内容から考えても、また、グループリーグでの戦いぶりから考えても、準決勝に進出した4カ国のなかでは最下位の、4位という成績は妥当なものだった。

結局、オランダ、フランスに連勝して大会をスタートしたものの、以降の3戦では1勝も挙げることはできなかった。要するに、日本同様、五輪本番に向けて強化を続け、今大会にもある程度メンバーを揃えて出てきたチームには、まったく勝てなかったということだ(チリは北京五輪の出場権こそないが、A代表に準じるU−23代表だった)。

「この結果は、足元を見つめ直せということだと思う」

大会を終え、監督の反町康治はそう総括した。確かに、本番を前にこうした厳しい試合を経験できたことの意味は大きい。選手たちにとっても、北京で対戦する相手の力を、具体的にイメージしやすくなったはずだ。

分かりやすい例は、準決勝のイタリア戦だ。

試合序盤、左FWのジョビンコを中心に、スピードに乗った攻撃を仕掛けてくるイタリアに対し、日本は劣勢に立たされた。その戦いぶりを、反町は「腰が引けていた」と表現した。

思い出されるのは、4年前のアテネ五輪である。グループリーグ第2戦でイタリアと対戦した日本は、立ち上がりから完全に後手に回り、あっという間に失点を重ねた。終盤、反撃に転じたものの、すでに試合は決してしまっていたのである。

だからこそ、こうした経験を事前に済ませたことの効果は大きい。幸いにして、今大会ではイタリアにゴールを許すことなく、0対0で終えたわけだが、試合序盤に得点を許していれば、そこで試合は終わっていた可能性もある。いくら、後半に入り、落ち着いてボールを回せるようになったと言っても、それでは、ときすでに遅し、かもしれないのだ。

“慣れ”を待たずに、立ち上がりから、相手の勢いに飲まれることなく、五分以上の戦いができるかどうか。これは本番を戦う上で非常に重要な要素だ。一度、ここで経験したことの効果は大きいだろう。

3位決定戦では、試合途中、激しい雨が降り出してピッチに水が浮き、せっかくのブラック・アフリカン本来のスピードとパワーを体感する機会がフイになってしまったのは残念だが、チリも含め、タイプの違う強豪3カ国と対戦できたことも大きかった。

ただし、圧倒的に試合を支配され、なすすべなく後退させられたチリ戦を筆頭に、この3カ国との対戦では、劣勢に立たされる時間が長く、ある意味で大きな力の差を見せつけられたことも事実である。それは、2、3カ月で簡単に縮まるようなものではない。

さらには、問題は相手との力関係だけではない。

マイボールになっても思うようにボールを前に運べず、狙いのない逃げの横パスを相手に狙われて、2次、3次と連続攻撃を受けることも少なくなかった。今年に入り、少しずつ良化しているように見えた攻撃面での停滞感も、強豪を相手にしてみると、改善の色は薄かったと言わざるをえない。

試合後の選手たちからは、ポジティブな言葉も聞かれていた。確かに、日本のサッカーが通用する時間があったことも事実だが、少なくとも、もう一回やれば、次は勝てる、というほどの手ごたえがあったとは思えない。

北京五輪本番を前に、突きつけられた世界との差は、決して小さいものではなかった。3位決定戦の最中に降りだした、視界をさえぎるほどの激しい雨が、何かの暗示でなければいいのだが。


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