赤木真二●撮影 photo by Shinji Akagi
第48号(2007年11月20日)ユース世代の新たな戦い〜AFC・U−19選手権予選突破
カナダ・ビクトリアでの激闘がまだ記憶に新しいところだが、早くも2年後に向けて、ユース世代の新たな戦いがスタートした。
2年に一度、アジアにおけるユース世代最強を決める大会であると同時に、U−20ワールドカップのアジア予選でもあるAFC・U−19選手権。本大会は来秋サウジアラビアで開催されるが、その予選が今月(11月6〜18日)、タイ・バンコクで開かれた。
日本が属したグループは、地元タイ以下、ラオス、ミャンマー、モルジブ、チャイニーズ・タイペイが1回戦総当りで対戦。上位2カ国がサウジ行きとなる。同グループの顔ぶれを見る限り、日本の予選突破はほぼ間違いなく、注目は、どんな戦いを見せてくれるか、すなわち試合内容にあった。
というのも、今回のU−18代表は、今年国内で開催された国際大会である、SBSカップ、仙台カップでともに3戦全敗。しかも、前者では静岡ユース(静岡県選抜)に、後者ではU−18東北代表(東北6県選抜)にまで敗れるという結果だった。それだけに、どこまで内容を高められるかが焦点だったわけである。
チャイニーズ・タイペイ、モルジブとの1、2戦目に関していえば、そんな低い前評判を裏付けるような戦いとなった。とりわけ、モルジブとの試合では、U−18代表監督、牧内辰也が「自分の経験の中でも、あそこまでやってくるチームはあまり記憶がない」というほどのベタ引きでスペースを消され、徹底的に守備を固められると、崩しきることができず、得点はPKによる1点のみ。1−0という大苦戦を強いられた。
やはり、今回のU−18代表には期待できないのか。
そう思われても仕方のないところだったが、相手がノーマルな戦い――ピッチ上にバランスよく選手を配置し、高い位置からボールを奪いにくる――をしてきた、続くミャンマー戦、ラオス戦では、日本らしい動きのあるサッカーが徐々に発揮されていった。
その2試合にボランチとしてフル出場した山本康祐(磐田ユース)が、「試合への入り方がチームとして統一されてきて、自分としてもプレイしやすくなった」と振り返ったように、縦パスやサポートのタイミングがよくなり、集団としての攻撃が少しずつ進歩する様子がうかがえた。
チーム立ち上げ以来、ベストメンバーを揃えてトレーニングする機会があまりなかったことなどを考えれば、この3、4戦はそれほど悪くない内容ではあった。ただし、この予選を通して見たときはもちろん、1試合の中でさえ、波のあった戦いは、今後改善すべきポイントとなるだろう。
例えば、最後のタイ戦では、前半にミスを連発し、タイに2点を先制された。前後半各1点を返し、同点で迎えたロスタイムに、山崎亮平(磐田)が決勝ゴールを決めて、試合をひっくり返したことは評価されていいが、もっと落ち着いたゲーム運びが望まれる。
それには、選手自身がピッチ上で判断し、最良の選択ができなければならない。それには指揮官も、「意図した動きができる時間帯もあるが、バラつきがあって、90分間はできていない」と指摘する。攻撃が一本調子になり、明らかにうまくいっていない攻撃を繰り返すことが、何度か見られたのは気になった。
「(5戦全勝で予選突破という)結果には、満足している」
そう牧内が総括したように、結果的には難なく予選を突破した。それでも、残された課題は少なくない。
この世代には、この予選をケガで欠場した香川真司(C大阪)をはじめ、金崎夢生(大分)、鈴木惇(福岡)、前出の山本など、Jリーグですでに試合出場を経験している選手がいる。さらに、柿谷曜一朗(C大阪)、水沼宏太、金井貢史(ともに横浜ユース)など、今年8月のU−17ワールドカップで世界を経験した選手も多い。柿谷、水沼に関していえば、Jリーグの出場経験も持つ。個々の能力や経験を考えれば、決して過去と比べて、力の劣る世代だとは思えない。今後のチーム作りにおいて、その個々のポテンシャルが発揮されることを期待したい。
ただし、これはこの世代だけの問題ではないが、FWの駒不足はどうにも否めない。ボールの引き出し方、トップスピードで動きながらのボールコントロール、シュートセンス……とにかく、あらゆる点で誰が出てきても物足りなかった。
1年後、あるいは2年後、この世代の評価のカギは、FWが握っているように思う。







