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浅田真樹●文 text by Masaki Asada
藤田真郷●写真 photo by Masato Fujita

第37号(2007年5月25日)感じられないオシムイズム〜U−22代表が抱える問題

北京五輪出場を目指すU−22代表が、アウェーの香港戦を4対0で勝ち、アジア2次予選の1位通過を決めた。第一関門は、楽々と突破したわけである。

とはいえ、その内容はというと、相変わらず、ほめられたものではなかった。

攻撃では、パスはそれなりにつながるものの、なかなかクサビの縦パスが入らない。たまに入ったとしても、サポートのタイミングが悪く、さらには、その次を狙って裏へ飛び出すような動きもない。相手を崩しきり、決定的にゴールを脅かす回数は、スコアから想像するほどに多くはなかったのである。

守備でも、この試合に限らず、受けて守る形が常態化しており、香港のショートパスを自在につながれるシーンが少なくなかった。正直、香港の技術レベルの低さに救われた感は強い。日本がしかるべきプレッシャーをかけてミスを誘ったというより、勝手にミスをしてくれていたわけである。香港にもう少し技術がある、あるいはスピードがある選手がいれば、ゴールを奪われていた可能性は十分にあった。

それでも、結果は4対0。アウェーのシリア戦に続き、試合開始早々と前半終了間際という、絶好の時間帯にゴールを重ねるという効率のよさは発揮した。したたかに戦っていると言えば聞こえはいいが、こんな試合ばかりを見せられると、本当の実力を疑いたくもなる。

しかも、この試合は、すでに2次予選突破が決まっていたにもかかわらず、現時点でのベストメンバーを集めて臨んだ。監督の反町康治(写真)によれば、「消化試合にせず、チームの熟成のために使う」ということだったようだが、選手を送り出す各クラブの負担を考えれば、それが正しい判断なのかどうかは疑問だ。

アウェーでのシリア戦にしても、早めに現地入りするため、選手にはJリーグを1節欠場させているのである。現実的な2次予選突破の確率を考えれば、これらは過保護すぎるほどの厚遇と考えていいはずだが、それにしては、試合内容がともなっていない。

そもそも、人選、フォーメーション、戦術、選手の意識など、様々な要素をトータルで考えたとき、このチームは、本当に試合さえ重ねれば、熟成するというレベルまで来ているのだろうか?

U−22代表を見ていると、どうにも、ジーコ時代の日本代表とダブって仕方がない。試合ごとの出来うんぬんではなく、もっと根本的な、どうやって攻めるのか、どうやって守るのかという、戦い方のベースとなる部分が見えてこないのである。まして、そこにオシムイズムなど、感じられない。

確かに、香港戦の先制点はすばらしい展開から生まれた。個々の選手の能力は決して低くないから、時々、こうしたプレイが見られる。ジーコ時代の日本代表もそうだった。だが、2次予選全体を通して見れば、試合内容は低調なものが多く、加えて、適切な修正がその後の試合になされているとも思えない。

次から次へと、モタモタした試合ばかりを見せられるが、勝負には勝っている。だから、メディアも含めて、周囲の危機感は高まりきらない。批判の声もないわけではないが、何となくぼやけたまま。どこかで見てきたような話である。

果たして、ワールドカップ・ドイツ大会がどんな結果に終わったか?

正直に言えば、日本が少々もたつこうが、それでも最終予選において、日本の実力は上位に位置すると思っている。3年前のアジアカップがそうであったように。それが、様々な世代でアジアの大会を取材してきた、率直な印象である。アジアレベルで、日本が叩きのめされるシーンは想像しにくい。

しかし、今の戦いぶりなら、“事故”が起きる可能性はかなり高い。しかも北京五輪へ行けるのは、4カ国の総当りで最上位の1カ国だけである。1試合の取りこぼしが、致命傷となる可能性は十分にある。

確かに、時間はチームを熟成させる。そして、代表という寄せ集めのチームは、常に時間との戦いを強いられているとも言える。

だがしかし、現在のU−22代表が抱える問題は、時間が解決してくれる類のものとは思えない。


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