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浅田真樹●文 text by Masaki Asada
高橋 学●撮影 photo by Manabu Takahashi

第36号(2007年5月10日)世界仕様への転換を図るU−20日本代表

4月22日から3日間、U−20日本代表キャンプが広島で行なわれた。6月30日にカナダで開幕されるU−20ワールドカップまで、残された時間は約2カ月。選手のセレクト、そしてチームとしての戦い方を“世界仕様”へと切り替えていく、貴重な機会となった。

今回のトレーニングは、主に3月のポルトガル遠征での反省に基づいて行なわれた。日本と同じく、U−20ワールドカップに出場するポルトガル相手に、0対3となす術なく完敗を喫したからである。

「今までより(ボールを持つ選手の)近くに寄れ! この前のポルトガルみたいに自由にやられるぞ!」

監督の吉田靖からは、そんな声が盛んに飛んだ。その吉田が言う。

「うまい選手はちょっと離しただけでも、やられてしまう。後ろから声をかけて、誰が最初にいくのか、ファーストディフェンス(主に前線からの守備)が特に重要になる。それができないと、どんどんマークがズレていく。守備では厳しくいけと言っている」

アジアが相手なら、少々自由にボールを持たせても、最終的には痛い目に遭うことは少なかったが、世界相手ではそうはいかない。意識の面で、世界仕様への転換が求められる。

同様に、世界仕様への転換が図られているのが、両サイドバックの活用である。

これまで左サイドバックは、センターバックが本職の堤俊輔(浦和)が務めてきた。攻撃面には物足りなさがあったものの、そこに取って代わる選手が現れてこなかったからだ。そこへ今季、安田理大(G大阪/写真)が台頭してきた。

安田はチーム立ち上げ当初から断続的に招集されてきており、一昨年11月のアジアユース選手権一次予選、北朝鮮戦では、貴重な決勝ゴールも叩き出した。だが、なかなか主力としてU−20代表に定着するには至らなかったのだが、今季からG大阪で左サイドバックのレギュラーポジションをつかみ、新たにDFとして参戦してきたわけである。

「ガンバでも無失点に抑えたりして、だいぶ自信もついてきた。今はこのポジションが一番のチャンスだと思うんで、Jでやっている経験を生かして、最終的にはカナダのメンバーに選ばれて、試合に出たいです」

そう話す安田は、積極的な攻撃参加が売り。すでにA代表候補にも選ばれている、右の内田篤人(鹿島)と合わせ、この両翼が攻撃のカギを握りそうだ。

「両サイドバックが前に行けるというのが、ウチの特長。サイドバックというのは、マークが一番薄いところなので有効に使える。それを生かすためには、今までとはちょっと違うバランスでやるつもり。両サイドが上がったら、ふたりのセンターバックとボランチのひとりが必ずバランスを取る。今回はそういうトライをしました」

吉田はそう話しているが、現段階で、このトライの成功を予見するのは、難しい状況だ。

これまでは堤が守備的にプレイすることで、2ボランチの1枚、柏木陽介(広島)は攻撃的にプレイすることができたが、両サイドが上がるとなると、どうしても柏木の守備への負担が大きくなる。最終日に行なわれた広島との練習試合を終え、柏木は重い口を開いた。

「難しいです、正直。考えながらやっているんですけど、はっきりどうしたらいいかっていうのは分かんない。アジアユースのときは、僕が前に行っていたんですけど、世界ではボランチ1枚では怖い部分があると思うし、ちょっと引いた形になると思うんですけど、そこからどうやって飛び出していくのか……。全体の距離感を見ながらやっていきたい」

実際、この試合では柏木があまりいい形でボールを持つことができず、鋭い攻撃は(特に、広島のプレッシャーが厳しかった前半は)数えるほどだった。FKからの1失点に抑えての2対1の勝利に、2日間のトレーニングで徹底してきた守備については「うるさく言ってきたんで、だいぶ安定感が出てきた。個々の守備の意識のところが大きい」と、及第点を与えた吉田も、両サイドバックを生かすためのトライに関しては、まだまだといった様子だ。

「柏木を生かせると配球できるようになるが、前半、厳しいプレッシャーかかって柏木が使えないとリズムができない。ボランチのところで展開できれば、両サイドバックが上がってウチの特徴が出せるんで、そこがポイントになってくる」

世界仕様への転換を図るも、残された時間はあとわずか。チームが模索する、新たなバランスを見つけ出すことができるのか。

「大きく蹴るときもあると思うけど、みんなでパスを回すのは日本のサッカーの特徴やと思う。絶対に勝たなきゃいけないですけど、勝っても負けても、無様な試合はしたくない。いい試合だったなって、みんなが思えるようにやっていきたい」

新たなバランスの支点になる柏木の言葉は、カナダへの道のりがとりわけ厳しいものになることを見通しているようであった。


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