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河崎三行●文 text by Sangyo Kawasaki
杉本哲大/アフロスポーツ●撮影 photo by Akihiro Sugimoto/AFLO SPORT

第33号(2007年3月14日)大橋監督の采配が的中〜女子ワールドカップ予選プレイオフ

メキシコ相手にホームで2-0。FIFA女子ワールドカップ中国2007予選プレイオフ第2戦が行なわれるメキシコ・トルーカが標高2660メートルの高地で、キックオフ時間の正午には気温が25度まで上がることを考えれば、試合後に荒川が漏らしたように「5-0くらいで勝っておきたかった」というのが正直なところ。けれど贅沢は言うまい。相手をノーゴールに抑えての2点差勝利は、最低限のノルマは果たしたと言っていい。

大橋監督は、好成績を残した昨年末のドーハ・アジア大会のメンバーから大幅に選手を入れ替えるという大胆な策に出た。所属クラブのベレーザでは中盤のアタッカーである近賀を右サイドバックに、同じくベレーザではDFだけでなく中盤もこなす若手の宇津木を左サイドバックに抜擢した。そしてボランチにはアテネ五輪以来の公式戦出場となる宮本を指名。さらに右内転筋肉離れからの回復が間に合うかどうか微妙だった澤も出場させた。

結局、この賭けが吉と出る。近賀は右サイドを何度も駆け上がり、宇津木は先制点のお膳立て。宮本は中盤の底から正確なロングフィードをみせ、そして澤は1得点1アシストの活躍のみならず、前線でのパス交換に終始アクセントを与え続けた。彼女達は指揮官のゲームプランに見事応えたのだ。

さてそこで気になるのが、これまでの試合で起用されてきた選手達である。近賀より先に中盤から右サイドバックへコンバートされ、アジア大会準優勝に貢献した安藤。豊富な経験と運動量を誇るFW大谷。高さのあるセンターバックの下小鶴、宮本の後継者と目される若手ボランチの中岡……。

代表戦の常連だった彼女達は、第1戦では控えメンバーにも入らなかった。だがこれは監督が記者会見でも述べた通り、登録メンバー18人はあくまでも「メキシコという相手とホームで戦う第1戦に出る確率が、最も高いと考えられる18人」だ。監督が与えた評価の序列の結果ではない。

ホーム戦を勝って迎えるアウェー戦となれば、当然試合の内容が違ってくる。2点差のアドバンテージを考慮し、ガチガチに守るのか、あるいは攻撃は最大の防御とばかりにアグレッシブな姿勢を貫き通すのか、はたまた時間帯によってそれらを使いこなすのか。

もちろんそれは試合当日の登録メンバー、出場メンバーの顔ぶれに如実に反映される。誰と誰を、どう組み合わせ、いかにプレイするか。第2戦(3月17日)を前にあれこれ推理する楽しさは尽きない。

最後に、第1戦での個々の選手の評価も記しておきたい。Aが最高でCが普通、Eまでの5段階評価である。

  • 福元美穂→B:失点を0に抑え、勝利への貢献度は大きい。しかし、前への飛び出しの遅れから敵FWにループシュートを打たれたシーンは彼女のミス。今回から山郷に代わって1番を背負った以上、軽率なプレイは許されない。
  • 岩清水 梓→C:抜け出してきた敵FWのマークを磯崎との間で受け渡し損ね、GKと1対1になる場面を作り出してしまった。メキシコでは福元にタコスでもおごるべし。そのシーンを除けば、いつもの安定した粘り強いディフェンスを見せた。
  • 磯崎浩美→C:岩清水に同じ。福元にテキーラでもおごるべし。
  • 近賀ゆかり→B:ドリブルでの思い切りのいい攻め上がりの迫力は、現時点では安藤より上か。しかしイージーなパスミスや、ボールを持ちすぎて自陣の危険なゾーンで相手に奪われるケースも。ゲーム中の集中力をさらに高めたい。
  • 宇津木瑠美→C:澤の先制点につながったクロスの質は見事。宮間と連携しての崩しも効果的だった。しかし味方に対して、雑にパスを出してしまうことが少なくない。
  • 酒井興恵→B:前半は慣れない中盤の右サイド、後半からはボランチ。どのポジションに回っても、いつも通り相手の攻撃の芽をつんだ。欲を言えば、攻撃に回った時のパス能力をさらに高めたい。
  • 宮本ともみ→B:ダイヤモンド型中盤のボランチ。前半のみで退く。視野の広さと正確なキックで左右にボールを散らし、好機を演出。しかし、敵の密集地で必要以上にボールを持つ癖があり、それが原因でGKと敵FWが1対1になるピンチを招く。
  • 宮間あや→A:前半は中盤左サイド。後半柳田が投入されてからは右サイド。90分を通してドリブル、クロス、パスでメキシコをかき回す。中盤に欠かせないユーティリティプレイヤーに成長。フリーキッカーとしてはまだ成長の余地が大いにあり。
  • 澤穂希→A:当然A。メキシコ監督も脱帽。ただ、彼女の後を誰が継ぐのか?
  • 大野 忍→C:後半途中で退く。いつものキレが見られず。それでも相手選手へのチェイシングはさぼらなかった。
  • 荒川恵理子→B:限りなくAに近い。ポストプレイはほぼ完璧。前を向いてのドリブル突破もすばらしかった。しかしFWである以上、ゴールが欲しい!だからB。
  • 柳田美幸→C:宮本と交代し、55分から出場。可もなく不可もなく。ゲームの流れを見ながらバランサーに徹したせいか。
  • 永里優季→B:大野と交代し、68分から出場。ゴールへの貪欲な姿勢をみせた点は評価したい。でもフレッシュな状態で途中出場したのだから、もうちょっとディフェンスもしてほしい。

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