| 浅田真樹●文 text by Masaki Asada 星智徳●撮影 photo by Tomonori Hoshi |
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| 第32号(2007年2月15日) | |
クラブの行く末を左右する監督交代
今オフは、移籍市場がにぎやかだった。 冒頭の2選手のほかにも、久保竜彦、奥大介(ともに、横浜FM→横浜FC)、西澤明訓(C大阪→清水)といった日本代表経験者が、さらには、昨季各クラブでエース級の活躍を見せた、マルキーニョス(清水→鹿島)、バレー(甲府→G大阪)、フェルナンジーニョ(G大阪→清水)などの外国人選手が、新天地を求めて移籍した。 日本ではプロ野球の影響からか、どちらかといえば、ネガティブな印象があった移籍だが、人材の流動性というのは、選手にとってもクラブにとっても活発な方がいい。リーグ全体として見れば、こうして移籍が盛んに行なわれることは、好ましい傾向である。 人事に動きがあるのは、選手ばかりではない。今年のJ1では、5クラブで監督が交代となった。一昨年から昨年にかけての監督交代が4クラブだったから、わずかにその数を増やしたことになる。ある意味で、選手の移籍以上に影響力が大きく、チームを生まれ変わらせることができるのが、監督交代。クラブ側としても当然、それを期待して首をすげ替えるわけである。 だが、今オフの監督人事に目を向けると、いくつか、「おやっ?」と思うようなことが起きている。 まずは、原博実監督が復帰したFC東京。 昨季のFC東京は、原監督の“イケイケ、ドンドン”から脱皮を図るため、ガーロ監督をブラジルから招聘した。“ポゼッションサッカー” を目指していたようだが、開幕当初からシステム、戦術が定まらずに、たちまち頓挫。結局、13位と低迷したまま、シーズンを終えた。昨季途中からは、倉又暫定政権で乗り切っただけに、今オフの監督交代は当然の成り行きだっただろう。 それにしても、原監督の復帰は驚きだった。 少なくとも昨季は、現状を破壊して、さらに一歩前に進むための監督交代だったはず。それを、早々に前任者を復帰させたのでは、昨季1年間は無駄でした、と認めているようなものである。潔いと言えばそれまでだが、クラブの方針としてチグハグな印象は否めない。 ただし、クラブの対応のまずさはともかく、原監督の目指すサッカーそのものは、非常に魅力的だ。「攻撃、攻撃、原・東京」の復活を心待ちにしているサポーターも多いだろう。ワンチョペ(元コスタリカ代表/FW)という大物外人も加わり、どんなサッカーを見せてくれるのか、単純に楽しみではある。 さて、もうひとつの驚きはというと、早野宏史監督(写真)が復帰した横浜FMである。 03、04年にはJ史上初の3ステージ連覇を含め、2年連続年間王者となりながら、最近は2年連続9位。今季こそは低迷を脱出し、名門復活といきたいところ。しかも、過去の実績だけでなく、ホームタウンや親会社の規模などの条件を考慮すれば、当然、浦和、G大阪の2強に割って入る存在であるべきクラブなのだ。 と、そんな状況で早野監督である。就任発表当初から、サポーターの猛反発にあっていると聞くが、それも致し方ない。 早野監督は、95年に横浜で年間優勝の実績があるとはいえ、そのときはファーストステージ途中まで率いたソラリ監督の貯金を引き継いだだけ。実際、翌年は8位と低迷した。その後、G大阪監督を約2年務めたが、ステージ4位が最高成績である。それでも、このような実績なら、サポーターの反発もここまで激しくはなかっただろう。問題は、一昨年までの柏監督時代である。 04年途中から指揮を執り、残留圏内の年間15位にいたチームの順位をひとつ落として、入れ替え戦へ。この年は福岡に連勝して、何とか残留したものの、翌05年も16位で入れ替え戦に2年連続出場。甲府にホームで惨敗を喫して、ついに柏はJ2降格となったのである。シーズンを通し、システム、戦術、選手起用と、さまざまな面で迷走した挙句の最悪の結末。かなり早い段階から、早野采配に不満を募らせていた柏サポーターの怒りは、このとき大爆発したのだった。 それが、わずか1年の充電期間で現場復帰。この人に名門船の舵取りを任せていいのかどうか、1年前の惨劇を知る横浜サポーターとしては、気が気ではないだろう。 奇しくも、同時期に古巣に復帰した2監督。結局は、結果を出すことでしか認められないのが、勝負の世界ではある。とはいえ、迎えられ方は対照的。その期待は、出発地点で大きく差がついてしまっているように思う。 |







