大友良行●撮影 photo by Yoshiyuki Ootomo
第33号(2008年3月21日)【高校野球】記念大会を制する高校はどこだ!?〜第80回記念選抜高校野球大会展望
1981、82年のPL学園以来26年ぶりとなるセンバツ連覇を狙う常葉菊川が優勝候補筆頭だ。
なんといっても目が行くのは打線の凄まじさ。昨年の決勝で本塁打を放った一番の中川雅也が豪快なスイングで勢いづけ、町田友潤、前田隆一、酒井嵩裕ら昨年からのレギュラーが後に続く。さらに昨夏の甲子園で代打3ランの伊藤慎悟、東海大会準決勝で2ランを放った九番の投手・戸狩聡希までどこからでも一発が飛び出す破壊力は間違いなく全国ナンバーワン。最短距離ではなく、テニスラケットのようなスイングから飛び出す打球は逆方向に伸びる。
さらに、これまた全国屈指の走塁を兼ね備える。一、二塁走者が低目への投球時に次の塁を奪い、二塁走者は三遊間へのゴロで三塁を陥れ、三塁走者は内野ゴロで本塁へ猛ダッシュする。相変わらずバントはほとんど使わないが、これもバントがいらないだけの走塁力を持っているからこそ。たとえ打てなくても足だけで点を奪える力がある。
投手は経験豊富なエース左腕・戸狩が安定。打者から見えづらいフォームから140kmに迫る速球を投げ込む。制球力は抜群で自滅する心配はほとんどない。唯一の不安は、2番手以降の投手との差があること。明豊、横浜、東北らと同じ激戦ブロックに入っただけに、戸狩がひとりでどこまで踏ん張れるか。
常葉菊川を追うのは3年ぶりの優勝を狙う横浜。
こちらも投に左腕エースの土屋健二、中学時代シニア日本代表で身長186cmの大型右腕・田山豊、打に1年からレギュラーの松本幸一郎、主砲・小川健太、昨春の入学直後に四番に座った2年生の筒香嘉智などタレント揃い。昨秋はやや打線が振るわなかったが、投攻守の能力は常葉菊川に匹敵する。準々決勝で対戦が実現すれば、事実上の決勝戦。昨秋の明治神宮大会で敗れている横浜はプライドをかけてリベンジに挑むはず。見逃せない一戦になる。
実力的にはこの2校が飛び抜けるが、組み合わせ抽選の結果つぶしあいになることが決定。大混戦の2番手グループからどこが飛び出すか。その候補に推したいのが沖縄尚学。
エース・東浜巨(ひがしはま・なお)はマッチ棒のような細い身体から140kmを超える速球を投げ込む。2番手の左腕・上原亘も140km近いストレートを持つ上、荒々しく的を絞りづらい。打線はチーム打率.310とさほど強力ではないが、どの選手も大きなリードをとれる走力、打者ごとに考えて守れるポジショニングなどレベルは高い。冬場も実戦練習ができる沖縄の気候やエースだった99年に全国制覇を果たした比嘉公也監督の経験も武器になる。
個々の能力の高さでは慶応義塾、中京大中京。
推薦制度で全国から有望な中学生が集まる慶応は力道山の孫として有名になった左腕・田村圭、中学時代ボーイズ日本代表の右腕・只野尚彦の二枚看板を揃える。相手ベンチのサインまで丸裸にする控えのデータ班の存在も見逃せない。
中京も手元で沈む球が武器の右腕・細川貴紀、左腕・竹内大助の二枚看板。打線も投手兼任から打者に専念した四番の井藤真吾ら昨年からのレギュラーが4人残り、実戦経験豊富。大藤敏行監督の采配に注目が集まる。
昨夏の甲子園経験者8人が残る智弁和歌山も上位進出を望める。仙台育英・佐藤由規から特大の本塁打を放った坂口真規、勝谷直紀、芝田崇将のクリーンアップがそのまま残る打線は相変わらずの強打。宇治山田商・平生拓也、東洋大姫路・佐藤翔太とともに140km後半の速球を持つプロ注目投手と同じブロックに入ったが、普段から160km近い速球を打ち込んでいるだけに問題ない。
例年悩まされる投手陣も今年はともに1年の夏から甲子園のマウンドを踏んでいる芝田、岡田俊哉の両左腕が計算できる上、右横手の林孝至も控える。例年以上に安定した戦いができるはずだ。
これらの学校を追う存在として注目したいのは4年ぶりの復活となる明徳義塾。
打力こそないが、遊撃手の安田直人を中心に守備力は全国屈指。左腕エース・南野悠介にも安定感がある。九州王者の明豊は厳しいブロックに入ったが、強打は全国でも屈指。背番号18ながら河野凌太は打撃センスに溢れる。東北王者の東北はエースの左腕・萩野裕輔次第。昨秋は変化球主体でかわしたが、本人は「春はまっすぐで勝負したい」。ひと冬越えて投球がどう変わるか。1回戦を突破すれば、2回戦は1回戦なしで待つ横浜。ひとつ勝った勢いと相手が初戦という緊張感を生かせば、勝機は見えてくる。私学強豪に強い小松島、鹿児島工の公立勢は、鳴滝拓馬、内村尚弘の好右腕を擁し、戦いぶりが興味深い。
この他、選手で注目したいのは投手ではMAX144kmを誇る聖望学園・大塚椋司、城北の村方友哉、千葉経大付・斎藤圭祐、履正社・三村庸平、打者では聖光学院・黒羽剛広、駒大岩見沢・及川雄貴ら。全体的に好投手に比べて好打者が少なく、例年以上に投高打低の印象だ。
センバツも第80回の節目の年。リニューアルした甲子園で思う存分プレーし、記念大会にふさわしい心に残る試合を期待したい。







