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佐々木亨●文 Text by Toru Sasaki
ニッカンスポーツ●撮影 photo by nikkan sports

第30号(2007年10月19日)【プロ野球】勢いの中日か? リーグ覇者の巨人か?〜セ・リーグCS展望

10月27日から開催される日本シリーズの出場権を懸けた2007年クライマックス・シリーズも、いよいよ大詰めを迎えている。パ・リーグでは、昨シーズン44年ぶりの日本一に輝いた、北海道日本ハム(レギュラーシーズン1位)が千葉ロッテ(レギュラーシーズン2位)に勝利し、連覇への権利を獲得した。両者の対決は第5戦までもつれるなど、短期決戦の醍醐味を存分に見せつけた。一方、今シーズンからプレーオフ制度を取り入れたセ・リーグは、第1ステージで阪神(レギュラーシーズン3位)に2連勝した中日(レギュラーシーズン2位)が巨人との第2ステージに駒を進めた。

この勢いは本物か――。

レギュラーシーズンでの中日は、9月24日にマジック「7」を点灯させながら、その後は9月25、26日の巨人戦で連敗を喫するなど、9試合を戦い4勝5敗、クライマックスシリーズ前のチーム状態は下降線を辿っていたと言える。だが、蓋を開けてみれば、しっかりと第1ステージに照準を合わせてきたというべきか、投打に力強さが蘇り、阪神につけ入る隙を与えない完璧な戦いぶりを見せた。

投げては、第1戦でエース・川上憲伸が、第2戦では阪神キラーの右腕・中田賢一が先発の役割を果たす好投を披露。打っては、第1戦でタイロン・ウッズが、第2戦ではイ・ビョンギュがそれぞれ初回に先制パンチとなるアーチを放つなど、福留孝介の不在を感じさせない強打で、2試合で計12得点をたたき出した。また、計16イニングスのうち、得点を挙げたイニングはわずかに3イニングス。それでも、阪神が誇る「JFK」、特に守護神・藤川球児の投入機会を与えない速攻劇は、鮮やかの一言に尽きる。先発がゲームを作る中、打線が集中打で得点する。野球においてもっともシンプル、かつ理想的なゲームプランと言えるが、短期決戦においては特に、当たり前のことをきっちりと、“普段着野球”をいかにできるかが勝ち抜くためのポイントと言えるだろう。

その中日と対するは、5年ぶり40度目のリーグ優勝を果たした巨人。今シーズンは、開幕戦から1番を担いながら、自己最多の35本塁打をマークした高橋由伸を筆頭に、大きな起爆剤となった移籍組の谷佳知、小笠原道大らがチームを牽引し続ける中、レギュラーシーズンは終盤まで息切れすることなく粘り強く戦い抜いた。リーグ優勝が決まった10月2日のヤクルト戦では、3点を先制されながら小刻みに得点し、1点ビハインドで迎えた9回裏二死満塁で、今シーズンは出場機会に恵まれなかった清水隆行の一打でサヨナラ勝利。選手層の厚さを見せつけるとともに、今シーズンの巨人の強さを改めて印象づけた。高橋、小笠原、イ・スンヨプ、阿部慎之助が30本塁打以上をマークする一方、控えに甘んじることが多い脇谷亮太や矢野謙次らが与えられたチャンスできっちりと仕事をこなす。長打と小技がうまくミックスされた野球を展開した今シーズンの巨人打線に大きな不安材料は見当たらない。

だが、いかんせん短期決戦である。

巨人は、10月3日のレギュラーシーズン最終戦から第2ステージ初戦まで2週間空いたことから、試合感が不安視されていた。より実戦的な紅白戦を組みながら調整してきたとはいえ、どこまで打線がレギュラーシーズンの勢いを保ったまま試合に臨めるか。実際、初戦では先発・内海哲也が大乱調。二度の満塁のピンチを招き、4回にはウッズに2ランを打たれるなど4回4失点で降板。打線は中日の先発・小笠原孝が不安定ながらも、とらえることができずに、要所で点を奪うことができなかった。ゆえに、先発の読み違えで左打者を並べる失敗はあったものの、2戦目以降、打線にリズムを与えるためにも先発投手の果たす役割は勝敗の行方を左右する大きなポイントとなりそうだ。もちろん、巨人だけに限らず、短期決戦においては先発陣の出来、そしてその頭数が重要になってくる。

第2戦では、第1戦で敗れた内海とともにチームトップの14勝をマークした左腕の高橋尚成、そして第3戦で今シーズン自己最多となる12勝をマークした右腕の木佐貫洋の先発が予想されている。高橋尚が、スタメン8人(投手を除く)中6人が右打者の中日相手にどんなピッチングを見せるか。いずれにせよ先発投手陣が責任イニングを安定した投球で全うできるか。その上で今シーズンは守護神としてマウンドに立ち続けた上原浩治にバトンを渡すことができるか。継投のタイミングも含めて、巨人投手陣のピッチングに注目が集まる。

勢いの中日か、リーグ覇者の巨人か。そして、日本ハムに挑む権利をつかむチームは――。クライマックス・シリーズ最終章の結末やいかに……。


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