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島尻譲●文 text by Yuzuru Simajiri
ニッカンスポーツ●撮影 photo by nikkann sports

第28号(2007年8月1日)【プロ野球】虎の踏ん張りどころ〜阪神タイガース浮上のシナリオ

プロ野球界は試行錯誤である。今季も国際大会を視野に入れた低反発球の導入に始まり、セ・パ両リーグのペナントレース上位各3チームがクライマックス・シリーズ(プレイオフ)へ進み、各リーグの覇者が日本一を懸けて戦うことも賛否はあれど、新たな試みとなる。このようにソフトとハードの改革を行なうことでプロ野球界はファンを惹き付けようとしているのだ。

クライマックス・シリーズに関しては現場レベルでも賛否両論。中日・落合博満監督は「2006年で日本シリーズは終わったな」というようなコメントを残すなど明らかに否定的であるが、従来の優勝チーム決定による消化試合をなくすという観点ではファンの盛り上がりは勿論、興行的にも成功を収めていることは2004年から実施されているパ・リーグのプレイオフ制で証明されている。

なお、あまり話題には挙がっていないが、2001年からセ・リーグでもプレイオフ制は敷かれている。それは勝ち数と勝率でそれぞれ異なったチームが1位になった時は3戦(2勝先勝)でプレイオフを開催するというもの。ただ、その条件に該当するシーズンがなかったので1度も行なわれていない。

クライマックス・シリーズ導入によりペナントレースが混沌として来たのがセ・リーグである。7月30日現在、1位・巨人、2位・中日、3位・横浜、4位・阪神のゲーム差は僅か4.5ゲーム。特に3位・横浜が43勝40敗1分、4位・阪神が43勝42敗2分の1.0ゲーム差で、クライマックス・シリーズ出場のボーダーとなる3位圏内進出は今後も多いにもつれることが予想される。

追う形となっている阪神であるが、前半戦はファーム(二軍)で下積みを重ねて来た林威助や狩野恵輔らが台頭。オールスター直前には将来の大砲候補・桜井広大もチャンスを掴んで野手陣は選手層に厚みを増している。だが、今岡誠が不調で二軍落ち。アンディ・シーツも好不調の波が荒く、選手会長を務める赤星憲広も頚椎椎間板ヘルニアで苦しむなど上積みで大きなプラスとは言い難い。そして、何よりも上積みという点では投手陣が誤算で、ポスティングシステムでヤンキースへ移籍したエース・井川慶の穴は想像以上のマイナス要素になった。「井川の穴はみんなで埋めて行けばいいんよ」と岡田監督は開幕前から語っていたものの、その主となる活躍が期待された福原忍がピリッとしなければ、安藤優也は故障で登板機会すらない。中村泰広、希望獲得枠ルーキー・小嶋達也の左腕も序盤は期待を抱かせたが、共に2勝を挙げたところで足踏み。野手陣同様に渡辺亮、岩田稔、上園啓史、若竹竜士ら新戦力の台頭はあっても井川の穴を埋めるまでには至っていないというのが正直なところだろう。交流戦で9勝14敗1分(10位)と低迷したのもこの辺が関係していたと思われる。

しかし、このような現況で阪神は浮上の気配を見せている。7月1日〜29日までの戦績は14勝6敗。しかも、オールスター休みを挟んで、巨人、中日、横浜という上位3チームとの直接対決で6連勝もあった。当然、最初からクライマックス・シリーズ出場ボーダーラインの3位よりも上位を狙っているだろうが、最悪でも3位に入れば良いのだから阪神にも存分にチャンスがあると言える。

ただし、8月8日からは高校野球の選手権大会が開催されることもあって、阪神はホームグラウンドである甲子園から離れることになる。そう、阪神には恒例の“死のロード”が待ち受けているのだ。京セラドーム大阪をホームグラウンドとして使用することもあるので以前よりも厳しさは軽減されたが、実際、戦績が芳しいと呼べないのは事実。逆にこの“死のロード”を五分以上の戦績で乗り切れば、間違いなく光は射し込んで来るだろう。

これから約1ヶ月が虎の踏ん張り所だ──


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