ニッカンスポーツ●撮影 photo by Nikkan Sports
第27号(2007年6月11日)【大学野球】早稲田の牙城へ挑む注目選手たち〜第56回全日本大学野球選手権大会展望
26チームで頂点を競う第56回全日本大学野球選手権大会(神宮球場、東京ドーム)が12日に開幕する。普段はなかなか注目が集まりにくい大学野球の日本一決定戦だが、今年は斎藤効果で世間の関心も高まるだろう。
斎藤佑樹(早大・1年)は、リーグ戦でトップタイの4勝を挙げ、防御率も1・65と見事な活躍。東京六大学の長き歴史の中で、投手としては史上初となる、1年春でのベストナインに輝いた。また、甲子園の優勝投手が六大学入学直後に胴上げ投手となったのも史上初の快挙。6月6日に19才になった斎藤だが、前年を振り返り「18歳がこんなにいい年になるとは思わなかった」とコメント。果たしてここからの1年は、どんな年になるのか。そのスタートとなる大学選手権での投球に期待だ。しかし、大学選手権の注目は斎藤だけではない。
例年、ドラフト候補への関心が高い大学選手権だが、その意味で一番の注目は大場翔太(東洋大)だ。シーズン115奪三振を記録し、小池秀郎(亜大→元楽天)が持つ最多奪三振記録を塗り替え、東都大学リーグのMVPに輝いた投手だ。MAX151キロのストレートに2種類のスライダーにフォーク。加えて強調したいのはそのタフネスぶりである。リーグタイ記録の9勝はすべて完投で挙げたもので、リーグ戦全15試合中、実に13試合に登板。まさに豪腕にして鉄腕と呼ぶにふさわしい男なのだ。
千葉県の八千代松陰高校時代には甲子園出場はなかった。注目を浴び始めたのはリーグ戦初先発で完封など5勝を挙げた大学2年の春から。以降3シーズンはやや伸び悩んだが、日本代表として戦った昨秋のインターコンチネンタルカップで、チーム最多の6試合に登板し、再浮上のきっかけを掴んだ。しかし、気になるのはリーグ戦中に違和感を覚えたという股関節の痛み。リーグ戦終盤は走り込みもできない状況だったようで、万全の状態でマウンドに上がれるのか気がかりだ。そこさえクリアできれば、歴戦の東都を力強く勝ち上がった大場が斎藤から主役の座を奪う可能性も十分あり得るのではないだろうか。
関西勢では、関西国際大の榊原諒(3年)、伊原正樹(3年)両投手の能力が高い。
榊原は中京高(岐阜)から三菱自動車岡崎へ進んだが、活動自粛の憂き目に遭い、数ヶ月遅れで同大学へ入学。出場資格を得た1年秋から安定した成績を残してきた。手元で鋭く曲がるスライダーに特徴があるが、スピードもMAX146キロまで上昇し、力強さが増した。
一方の伊原はこの春に急成長。185センチの左腕から投げ下ろすストレートは球速以上の勢いでリーグ戦34回2/3を無失点で投げ切った。リーグ戦ではこの2人で実に7完封と完璧な内容。昨年の選手権では阪神大学リーグの代表・大阪体育大が優勝を飾ったが、両投手の活躍次第では、それに続く結果もあり得る。
同じ関西では奈良産大の完全試合男・桑原謙太朗(4年)に林幸弘(4年)。ともに140キロを超える本格派。注目の右腕だ。
愛知リーグの“優ちゃん”こと愛知学院大の小川優(まさる)もスーパー1年生と評判の投手。初登板から2試合連続完封勝利でデビューすると、5連続完投勝利を含め6勝。54回を投げ失点はわずか3。回転のいい130キロ台後半のストレートにスライダー、フォークを交え試合を作る。元祖“佑ちゃん”との対決が実現すれば、大いに盛り上がるだろう。
野手陣ではベストナインに顔を並べた早大のタレント軍団に目が向く。捕手の細山田武史(3年)セカンドの上本博紀(3年)、ショート本田将章(4年)に、田中幸長(4年)、松本啓二朗(3年)の外野陣。高校時代から注目の、いずれ劣らぬ好素材が順調に育ってきた。また、早大以外で注目なのは、東海大の加治前竜一(4年)と九州国際大の松山竜平(4年)。
加治前は昨秋、首位打者と本塁打の2冠、今春はMVPを獲得。首都大学リーグを代表するスラッガーだが、レギュラーとなって以降の5シーズン中4シーズンで、ほぼ3割5分を超えるアベレージを記録。右にも打てる強みもあり、先日発表された、プレ五輪のメンバーにも大学生の外野手として唯一選ばれたほどの注目選手だ。
松山は強打と柔らかいバットコントロールを生かした巧打を備えた九州屈指のスラッガー。176cm/85kgと立派な体格ながら、意外にも強肩で足も速く、そのあたりも全国の舞台でアピールしたいところ。
斎藤一色になりそうな今大会で、“それ以外”の選手が注目を浴びるには、やはり対斎藤、対早大が格好の舞台となる。
今回取り上げた選手について言えば、2回戦で九州国際大、3回戦で関西国際大、準決勝で愛知学院大。そして決勝では逆ブロックの東洋大、東海大、奈良産大に対決の可能性がある。
実力、人気ともに早大の戦いを追いながら、その牙城へ挑む選手たちにも大いに注目したい。





