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泉 直樹●文 text by Naoki Izumi
山本雷太●撮影 photo by Raita Yamamoto
第21号(2006年11月2日)
【プロ野球】日本ハムが44年振りの日本一〜アジアシリーズ展望

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 今年の日本シリーズは、北海道日本ハムファイターズが制し、44年ぶりの日本一に輝いた。試合前の予測では2年前にも優勝を経験し、また充実した投手力を擁する百戦錬磨の中日ドラゴンズが圧倒的優位、とする声が多かった。その通り、第1戦ではエース・川上憲伸が好投。さらに、ベテランの谷繁元信、井上一樹らのタイムリーなどもあり、ドラゴンズが完勝した。

 しかし、第2戦で日本ハムは先発したルーキーの八木智哉が好投。打線も終盤、金子誠のタイムリーで逆転し、1勝1敗のタイとして盛り上がる地元・札幌に乗り込んだ。札幌ドームは、4万を超える大観衆のほとんどが日本ハムファン。その声援に後押しされ、第3戦は初回に3得点で朝倉を攻略。第4戦では稲葉篤紀のタイムリーなどで奪った3点を、レギュラーシーズン終盤の“舌禍事件”で戦線離脱を余儀なくされたエース・金村曉が復活のマウンドで守り抜いた。

 そして、第5戦。マウンドに立つのは、第1戦と同じくダルビッシュ有と川上。第1戦同様、息詰まる投手戦を展開した。勝って名古屋に帰りたいドラゴンズは、4回に荒木雅博の内野安打で先制。しかし、勢いに乗る日本ハムは5回に金子のスクイズで同点に追いつくと、6回にはフェルナンド・セギノールの2ランで勝ち越し。最後は守護神・マイケル中村が後続を絶ち、ファンの大歓声に包まれながら悲願の日本一に輝いたのである。

 その原動力となったのは、“プリンス”新庄剛志であったことは間違いない。「これからはメジャーでもない、セ・リーグでもない、パ・リーグです!」の一言で、移転間もない日本ハムの一員となってから3年。さまざまなパフォーマンスでファンを呼び込んでいった。日本ハムの優勝が、札幌のファンの後押しによる“地の利”の効果であるとするならば、新庄の功績は多大なものがある。

 その新庄が、日本シリーズを最後にユニホームを脱いだ。すでにレギュラーシーズン最終戦で引退セレモニーを行ない、最後は日本一という最高のフィナーレで締めくくった。

 さらに、長年主砲としてチームを引っ張った小笠原道大も、FA宣言による他球団転出が濃厚だ。ベテランの田中幸雄に代わり、“ミスター・ファイターズ”的な存在であり、何より3割、30本という好成績が望める強打者だけに、来年度のチーム編成に大きな影響を及ぼすことは必至。また、左のセットアッパー・岡島秀樹もFA退団を表明。エース・金村もトレード候補として俎上に上っている。投打の主力が一挙に抜ける可能性もある。

 日本ハムは11月末の大学・社会人ドラフトで、早稲田大学のエース・左腕の宮本賢の獲得が有力視されている。また、ポスト・小笠原として、横浜ベイスターズのホームランバッター・多村仁の獲得も噂される。レンジャーズから次期監督にリストアップされているトレイ・ヒルマン監督の去就同様、目が離せない。

 一方、来シーズン、改めて日本一奪回を狙う、落合博満監督率いるドラゴンズ。これまでのチームは、どちらかというと投手と守りを中心とした、堅実ながらも地味なチームだった。しかしながら、シリーズでは打線が火を噴かず、20イニング連続無得点という不名誉な記録も。そこで、来年度の新たなチームの目玉として、また観客動員を見込み、球界屈指のスラッガー・ファイターズの小笠原獲得を目指す。落合監督にとって、小笠原は現役時代の“弟子”にあたる。もし、入団が決まれば話題を呼ぶことは間違いない。

 また、これまでチームの司令塔として君臨してきた正捕手・谷繁が来季で37歳となることから、後継者の育成も急務。大学・社会人ドラフトでは大学ナンバーワンの捕手・田中大輔を獲得すると見られている。すでに高校生ドラフトでは未来の中軸として、地元・愛工大名電の強打者・堂上直倫を指名。着々とチーム作りが進行しており、このオフは“小笠原獲り”が最大の焦点となりそうだ。

 さて、今季のプロ野球も11月9日に開幕する「KONAMI CUP アジアシリーズ2006」で幕を閉じることになる。今年で2回目を迎えるもので、日本(NPB)・韓国(KBO)・中華台北(CPBL)・中国(CBA)の4カ国のプロ野球の優勝チーム(中国は選抜チーム)がアジアナンバー1の座を争う。昨年は日本代表・千葉ロッテマリーンズが韓国代表・三星ライオンズを下し、初代アジア王者に輝いている。

 昨年同様、優勝争いは日本代表(日本ハム)と韓国代表(三星)で、そこに初の中華台北王者となったLA NEWベアーズが食い込めるか、ということになる。中でも、地元日本代表の日本ハムが一歩リード。新庄は抜けたものの、ダルビッシュら主力は日米野球(11月3日〜8日)を辞退して臨むため、心身ともに充実した状態で戦うことができそうだ。

 一方、三星も投手力の良さが光る。セットアッパー・権五俊(クォン・オジュン)−クローザー・呉昇桓(オ・スンファン)の必勝パターンは地元では“KOパンチ”として恐れられている。ファイターズの日本一に貢献した“HAMの方程式”武田久−マイケルとの対決も興味深い。熱戦が期待できそうだ。

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