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「空中戦なら巨人」という評判通りの強打でサヨナラ勝ち。巨人の中心で阿部が叫ぶ
日本シリーズ第5戦(5日、東京ドーム)は巨人が勝って対戦成績を3勝2敗とし、7年ぶりの日本一奪回へ王手をかけた。ゴンザレス、オビスポの先発試合で3勝、内海と高橋尚で2敗。シーズン中同様に外国人選手頼みが顕著な巨人にあって、生え抜き最後の砦が、サヨナラ本塁打を放った阿部慎之助捕手(30)。阿部抜きの巨人は巨人ではなく、阿部なくして巨人の将来像は描けないといっても過言ではない。
【来季海外FA権取得も流出阻止へ】
巨人は1点を追う9回、阿部が中大の後輩にあたる弟分の亀井の同点ソロに続き、1死後に右翼席へサヨナラ弾をたたき込んだ。「無心で振った」という一発は、サヨナラ本塁打通算5本を放っている阿部にとっても日本シリーズでは初の感激で、「格別なものがある」。
2003年から06年まで球団史上ワーストの4年連続V逸と低迷していた巨人が、阿部が主将に就任した07年からリーグ3連覇と生まれ変わったのも偶然ではなさそう。今季から選手会長も兼ね、責任は重くなるばかりだ。
昨年オフに巨人からトレードで移籍し、日本シリーズで古巣と対戦している日本ハム・林昌範投手(26)がこう証言する。
「僕は06年まで阿部さんと一緒にオフの自主トレを行っていたけれど、『来年もお願いします』と言ったら、『お前はもう俺にくっついて来る立場じゃない。おまえが若いやつを連れていくようでないとダメだ』と断られちゃった。阿部さんは去年と今年は(坂本)勇人と自主トレをやったけれど、おそらく来年は独り立ちさせるんじゃないかな。むしろ勇人にあこがれる選手の面倒を見てやる立場だからね。阿部さんと尚さん(高橋尚)はそういうことまで考えられる人。巨人でいい伝統を引き継いでいると思う」
弱冠20歳の坂本に早々と“のれん分け”を許すかどうかはともかく、周囲の人間、チームの伝統にまで気を配ることができる阿部らしいエピソード。外国人選手とFA移籍組が主軸を占める中で、亀井、坂本、松本ら、どうやら脇役レベルから生え抜きが育ちつつある背景に、“元締め”としての阿部の力量があるとみて間違いない。
巨人OBの夕刊フジ評論家、須藤豊氏は「高校野球ならいざ知らず、プロの世界で、ただでさえ守備の要である捕手へ主将の重責まで背負わせる例はあまりない。主将は自チーム全体に気を配らなければならないが、捕手はバッテリーを組む投手、対戦相手に注意を払うことで精いっぱいだから。ところが阿部の場合は主将就任以来、それまで悪い意味で人の良さが出ていたリードに厳しさが加わり始めた。『投手が気分よく投げられるように』という発想から『チームが勝つために』という発想へ変わりつつあるのだろう。珍しいケースではある」と分析する。
原監督が06年の就任時に呼んだ「生え抜き4人衆」のうち、上原、二岡は移籍、高橋由は腰の手術でいまやチームにいない。阿部が最後の砦。となれば、城島がマリナーズを退団し、宿敵の阪神が獲得へ乗り出した際にも、球団が「ウチには阿部慎之助という日本一のキャッチャーがいる。それ以上の話はない」(清武球団代表)と即座に明言したのも当然。阿部は今季中に国内FA権を取得し、来季中にはメジャー移籍も可能な海外FA権を手にする見通しだが、巨人はこの選手だけはどんなことがあっても流失させるわけにいかない。(宮脇広久)
[夕刊フジ:2009/11/06 17:05]
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